2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
C 60891:2019
目
次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
2A 用語及び定義 ················································································································ 2
3 補正手順························································································································· 2
3.1 概要 ···························································································································· 2
3.2 補正手順1 ···················································································································· 3
3.3 補正手順2 ···················································································································· 3
3.4 補正手順3 ···················································································································· 4
4 温度係数の求め方 ············································································································· 8
4.1 概要 ···························································································································· 8
4.2 装置 ···························································································································· 9
4.3 自然光を用いた場合の手順 ······························································································ 9
4.4 太陽シミュレータを用いた手順 ······················································································· 10
4.5 温度係数の計算 ············································································································ 10
5 内部直列抵抗RS及びR'Sの求め方 ······················································································ 11
5.1 概要 ··························································································································· 11
5.2 補正手順1 ··················································································································· 11
5.3 補正手順2 ··················································································································· 12
6 曲線補正係数κ及びκ'の求め方 ························································································· 13
6.1 概要 ··························································································································· 13
6.2 手順 ··························································································································· 13
7 報告事項について ············································································································ 14
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 16
(1)
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C 60891:2019
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。これによって,JIS C 8916:2005及びJIS C 8937:2005は廃止され,この規格に置き換え
られた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
(2)
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日本工業規格
JIS
C 60891:2019
太陽電池デバイス−
I-V特性測定における温度及び照度補正法
Photovoltaic devices-Procedures for temperature and irradiance
corrections to measured I-V characteristics
序文
この規格は,2009年に第2版として発行されたIEC 60891を基に,構成を変更して作成した日本工業規
格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,太陽電池デバイスの電流−電圧(以下,I-Vという。)測定値に対する温度及び照度補正を
行うための手順,並びにこれらの補正に関連する係数を特定するために用いる手順を規定する。太陽電池
デバイスのI-V測定の要件は,JIS C 8904-1による。
注記1 太陽電池デバイスには,保護カバー付き若しくは保護カバーなしの単一の太陽電池セル,又
は太陽電池セルの部分組立品若しくはモジュールが含まれる。デバイスの種類ごとに,I-V
補正のための異なる関連パラメータ集合が適用される。
モジュール(又は太陽電池セルの部分組立品)の温度係数は,単一の電池の測定値から計
算する場合もあるが,モジュール又は太陽電池セルの部分組立品の内部直列抵抗及び曲線補
正係数は,個別に計測する必要があることに注意する。
注記2 “試験体”という用語は,これらのデバイスを示して用いる。
注記3 I-V補正パラメータに用いるには,注意が必要である。パラメータは,測定した太陽電池デ
バイスに対し有効である。製造ロット又は型式ごとにばらつきが起こる可能性がある。
注記4 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60891:2009,Photovoltaic devices−Procedures for temperature and irradiance corrections to
measured I-V characteristics(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 8904-1 太陽電池デバイス−第1部:I-V特性の測定
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2
C 60891:2019
注記 対応国際規格:IEC 60904-1,Photovoltaic devices−Part 1: Measurement of photovoltaic
current-voltage characteristics
JIS C 8904-2 太陽電池デバイス−第2部:基準太陽電池デバイスに対する要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60904-2,Photovoltaic devices−Part 2: Requirements for photovoltaic reference
devices
JIS C 8904-7 太陽電池デバイス−第7部:太陽電池測定でのスペクトルミスマッチ補正の計算方法
注記 対応国際規格:IEC 60904-7,Photovoltaic devices−Part 7: Computation of the spectral mismatch
correction for measurements of photovoltaic devices
JIS C 8904-9 太陽電池デバイス−第9部:ソーラシミュレータの性能要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60904-9,Photovoltaic devices−Part 9: Solar simulator performance
requirements
JIS C 8904-10 太陽電池デバイス−第10部:線形性の測定方法
注記 対応国際規格:IEC 60904-10,Photovoltaic devices−Part 10: Methods of linearity measurement
JIS C 8960 太陽光発電用語
2A 用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 8960による。
3
補正手順
3.1
概要
測定したI-V特性を,温度及び照度の他の条件(STCなど)に補正するには,三つの手順が適用できる。
第1の手順は,IEC 60891 Ed.1で規定した手順によるが,式は理解しやすいように書き換えている。第2
の手順は,大きな照度補正(20 %を超える)で精度の高い結果をもたらす,代替となる代数補正法による。
これらの手順のいずれにおいても,太陽電池デバイスの補正パラメータを特定する必要がある。特定でき
ない場合は,補正を行う前に決定する。第3の手順は,補正パラメータを入力として必要としない補間法
による。試験デバイスについて最低3本のI-V曲線が測定されている場合に適用できる。これらの3本の
I-V曲線は,補正方法を適用する温度及び照度範囲にわたる。
全ての方法が,JIS C 8904-10で定義する線形デバイスに適用できる。
注記1 変換の精度の見積りが必要である(箇条7参照)。
注記2 全ての太陽電池デバイスは,限定した範囲の照度及びデバイス温度内で線形である必要があ
る。詳細は,IEC 61853-1で規定している。
全ての手順における太陽電池デバイスのI-V特性の測定は,JIS C 8904-1による。
通常,照度Gは,JIS C 8904-2の定義に従って測定した太陽電池基準デバイスの短絡回路電流(IRC),
及びそのSTCの校正値(IRC,STC)から計算する。25 ℃,1 000 W/m2で規定する基準デバイスの相対温度係
数αRC(1/℃)を用いて,基準デバイスの温度TRCとなるよう補正を適用する。
G
=
1 000 I
RC
[
1
−
α
RC
(
T
RC
−
25
)
]
I
RC,
STC
ここに,
G: 照度
IRC: 測定した太陽電池基準デバイスの短絡回路電流
IRC,STC: STCの校正値
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αRC: 25 ℃,1 000 W/m2で規定する基準デバイスの相対温度係
数
TRC: 基準デバイスの温度
太陽電池基準デバイスは,試験体とスペクトル的に一致するか,又はJIS C 8904-7に従ってスペクトル
ミスマッチ補正を行う。基準デバイスは,JIS C 8904-10で定義するように,関心のある照度範囲において
短絡回路電流で線形でなければならない。
3.2
補正手順1
測定したI-V特性を,次の式を適用して,標準試験条件,又は他の選択した温度及び照度値に補正する。
I
2
=
I
1
+
I
SC
G
2
−
1
+
α
(
T
2
−
T
1
)
·················································· (1)
G
1
V
2
=
V
1
−
R
S
(
I
2
−
I
1
)
−
κ
I
2
(
T
2
−
T
1
)
+
β
(
T
2
−
T
1
)
································ (2)
ここに,
I1,V1: 測定した特性の座標点
I2,V2: 補正した特性の対応する点
G1: 基準デバイスで測定した照度
G2: 標準照度又は他の目標照度
T1: 試験体の測定温度
T2: 標準又は他の目標温度
ISC: G1及びT1において測定した試験体の短絡回路電流
RS: 試験体の内部直列抵抗
α及びβ: 関心のある温度範囲内における標準照度,又は補正目標
照度における試験体の電流及び電圧の温度係数
κ: 曲線補正係数
注記1 低照度から高照度に変換する場合に,データ点VOC1が電流軸から離れるに従って,変換した
VOC2は,VOC1の近く及び下の最低三つのデータ点からの線形外挿によって決定するか,又は
元のI-V曲線をVOC1から十分な距離をとって測定する必要がある。
注記2 全ての補正パラメータの単位は同じとするのがよい。
注記3 試験体がモジュールの場合,太陽電池セルI-V補正パラメータは相互接続回路から抽出でき
る。これらの太陽電池セルパラメータは,同じ太陽電池セルを用いている他の種類のモジュ
ールのモジュールI-V補正パラメータの計算に用いることができる。
注記4 通常,結晶シリコン太陽電池デバイスでは,αは正でβは負である。
試験体のI-V補正パラメータの決定手順は,箇条4〜箇条6で説明している。
式(1)は,I-V曲線全体の測定中に一定な照度で測定したI-V曲線にだけ適用できる。したがって,I-V測
定中に照度減衰及び他の種類の照度変動があるパルス太陽シミュレータには,式(1)を適用しない。この場
合,測定した各I-V曲線は,ISC測定の前に,追加の倍率が必要な一定の照度において等価なI-V曲線に修
正する必要がある。実質的な理由で,この倍率は測定したISCに対応する照度と関係がある。照度が定ま
らない場合,式(1)は次の式(3)になる。
G
′
I
2
=
I
1
+
1
I
SC
G
SC
G
2
−
1
+
α
(
T
2
−
T
1
)
············································ (3)
G
1
ここでGSCは,ISC測定時の照度値であり,G'1は各I-Vデータ点のデータ取得時において測定した照度
である。
3.3
補正手順2
この手順は,太陽電池デバイスの簡易1ダイオードモデルを基にしている。半経験的変換式には,五つ
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のI-V補正パラメータが含まれており,これらは異なる測定及び照度条件におけるI-V曲線の測定によっ
て決定する。一般的に,短絡回路電流(α)及び開回路電圧(β)の温度係数のほかに,温度に伴う内部直
列抵抗(及び曲線因子)の変化を説明するための追加の温度係数(κ')を用いる。
補正手順は,電流及び電圧について,式(4)及び式(5)で定義する。
I
2
=
I
1
[
1
+
α
rel
(
T
2
−
T
1
)
]
G
2
························································· (4)
G
1
V
2
=
V
1
+
V
OC
1
β
rel
(
T
2
−
T
1
)
+
a In
ここに,
G
2
G
1
−
R
S
′
(
I
2
−
I
1
)
−
κ
′
I
2
(
T
2
−
T
1
)
····· (5)
I1,V1: 測定した特性の座標点
I2,V2: 補正したI-V曲線上にある対応する点
G1: 基準デバイスで測定した照度
G2: 補正したI-V特性の目標照度
T1: 試験体の測定温度
T2: 試験体の目標温度
VOC1: 試験条件における開回路電圧
αrel及びβrel: 1 000 W/m2で測定した試験体の相対電流及び相対電圧
温度係数である。これらは,STCでの短絡回路電流及
び開回路電圧に関連する。
a: 開回路電圧の照度補正係数であり,pn接合のダイオー
ド熱電圧D及びモジュール内で直列接続した太陽電
池セルの数nSに関連する。
R'S: 試験体の内部直列抵抗
κ': 内部直列抵抗R'Sの温度係数
注記1 照度補正係数aの標準値は,0.06である。
注記2 補正手順2のR'Sの数値は,補正手順1のRSとは異なることに注意するのがよい。
3.4
補正手順3
3.4.1
概要
この手順は,二つの測定したI-V特性の線形補間又は外挿に基づいている。ここでは,二つ以上のI-V
特性を用いて,補正パラメータ及び適合パラメータを必要としない。測定したI-V特性を,式(6)及び式(7)
を適用して,標準試験条件又は他の選択した温度及び照度値に補正する。
V
3
=
V
1
+
a
(
V
2
−
V
1
)
····································································· (6)
I
3
=
I
1
+
a
(
I
2
−
I
1
)
····································································· (7)
(I1,V1)及び(I2,V2)の組は,I2−I1=ISC2−ISC1となるように選択する。
ここに,
I1,V1: 照度G1及び温度T1における測定した特性の座標点
I2,V2: 照度G2及び温度T2における測定した特性の座標点
I3,V3: 照度G3及び温度T3における補正した特性の対応する座
標点
ISC1,ISC2: 試験体の測定した短絡回路電流
a: 補間の定数であり,照度及び温度と式(8),(9)の関係にあ
る。
G
3
=
G
1
+
a
(
G
2
−
G
1
)
·································································· (8)
T
3
=
T
1
+
a
(
T
2
−
T
1
)
····································································· (9)
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この方法は,ほぼ全ての太陽光発電技術に適用できる。式(6)〜式(9)は,照度補正,温度補正,並びに照
度及び温度の同時補正に用いることができる。
3.4.2
測定した二つのI-V特性を活用した照度及び温度の補正
I-V特性を(G1,T1)及び(G2,T2)の照度及び温度で測定した二つのI-V特性から,(G3,T3)の照度
及び温度に補正するための手順を次に示す[図1 a) 及び図1 b)]。
a) G1,T1及びG2,T2の照度及び温度で,二つのI-V特性をそれぞれ測定する[図1 a) の実線]。ISC1及
びISC2の値を求める。
b) 式(8)又は式(9)を用いてaを計算する。例えば,二つのI-V曲線を次の条件で測定し,aを計算する。
G1=1 000 W/m2及びT1=50 ℃
G2=500 W/m2及びT2=40 ℃
関心のある照度がG3=800 W/m2の場合:
式(8)からa=0.4を用いる。
また,式(9)からT3=46 ℃を用いる。
c) I-V特性1の点(V1,I1)を選択する。I2−I1=ISC2−ISC1[図1 b)]の関係を満たすような特性2の点(V2,
I2)を特定する。
d) 式(6)及び式(7)を用いて,V3及びI3を計算する。
e) I-V特性1のデータ点集合(V1,I1)を複数選択し,手順c) 及びd) を用いてそれぞれについて(V3,
I3)を計算する。
f)
照度G3及び温度T3のI-V特性3は,データ点集合(V3,I3)によって得られる[図1 c) の破線]。
図1 a) 及び図1 b) に照度補正の例,図1 c) に温度補正の例,及び図1 d) に照度及び温度の同時補正を
示す。0<aが0を超え1未満の場合,補正手順は補間による。それ以外の場合の補正手順は,外挿による。
G1,G2,T1及びT2が固定されている場合は,それらは式(8)及び式(9)に規定する関係にあるため,G3及
びT3を個別に選択することはできない(図2参照)。
例えば,G1=1 000 W/m2,T1=20 ℃,G2=0 W/m2,T2=60 ℃(60 ℃での濃いI-V曲線)の場合,G3=750
W/m2で新しい曲線を求める場合,aは式(8)によって0.25と計算できる。したがって,式(9)からT3は30 ℃
となる。
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Isc2
電
流
Isc1
電
流
Isc1
Isc1‒Isc2
Isc2
電圧
IEC 2414/09
電圧
Isc1
Isc2
Isc1
IEC 2415/09
電
流
電
流
Isc1‒Isc2
IEC 2416/09
Isc2
Voltage
電圧
Voltage
電圧
IEC 2417/09
a) 及びb) に照度補正,c) に温度補正,d) に照度及び温度の同時補正を示す。
図1−式(6)及び式(7)によるI-V特性の補正例
注記1 通常は,外挿より補間の方が正確な結果が得られる。
注記2 ISC1≠ISC2であって,開回路電圧周辺で補正したI-V特性が必要となる場合は,測定した特性
はVOCを超える。
注記3 完全にI2=I1+(ISC2−ISC1) を満たすデータ点が測定できなかった場合,V2及びI2は,I-V曲線
2のデータ点を補間することで計算できる。
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温度及び照度の
同時補正
温
度
Irradiance
照度
IEC 2418/09
実線及び破線は,それぞれ補間及び外挿によって計算するG3及びT3の範囲を示す。
図2−式(8)及び式(9)によって得られる固定値T1,G1,T2,及びG2の照度並びに温度の同時補正で
選択できるG3及びT3の関係の略図
3.4.3
測定した三つのI-V特性からの照度及び温度の補正
3.4.2で規定する手順を組合せることで,様々な範囲の照度及び温度にI-V特性を補正できる。例えば,
(Ga,Ta),(Gb,Tb),及び(Gc,Tc)の照度並びに温度で測定した三つの特性は,図3 a) に示す場合,あ
らゆる照度及び温度(Gn,Tn)のI-V特性は,次のとおり計算できる。
a) (Gm,Tm)での特性は,(Ga,Ta)及び(Gb,Tb)での特性によって計算する。
b) (Gn,Tn)での特性は,(Gm,Tm)及び(Gc,Tc)での特性によって計算する。
例えば,(Ga,Ta),(Gb,Tb),(Gc,Tc),及び(Gn,Tn)がそれぞれ(950 W/m2,15 ℃),(850 W/m2,
25 ℃),(1 100 W/m2,30 ℃),及び(1 000 W/m2,25 ℃)の場合,(Gm,Tm)は,(900 W/m2,20 ℃)であ
る。
Iscc
温
度
電
流
Isca
Iscb
Isca‒Iscb
Irradiance
照度
a)
Iscc‒Isca
電圧
IEC 2419/09
b)
IEC
a)
b)
a) の影付きの部分は,補間によって計算できる範囲を示す。b) は,a) に対応するI-V特性の例を示す。
図3−測定した三つの特性を基に様々な範囲の照度及び温度にI-V特性を補正する際の略図
2420/09
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3.4.4
測定した四つのI-V特性からの照度及び温度の補正
図4のように,(Ga,Ta),(Gb,Tb),(Gc,Tc),及び(Gd,Td)の照度並びに温度で測定したI-V特性が
四つある場合,照度及び温度(Gn,Tn)におけるI-V特性は,次のように計算できる。この方法は,広い
範囲の照度及び温度におけるI-V特性を補正することができる。(Gn,Tn)での特性を計算する(Gl,Tl)
及び(Gm,Tm)の組は一意ではないが,一般に (Ga−Gl)/(Ga−Gb)=(Gc−Gm)/(Gc−Gd) が満たされたとき
に良好な補正結果が得られる。あらゆる照度及び温度(Gn,Tn)のI-V特性は,次のとおり計算できる。
a) (Gl,Tl)での特性は,(Ga,Ta)及び(Gb,Tb)での特性によって計算する。
b) (Gm,Tm)での特性は,(Gc,Tc)及び(Gd,Td)での特性によって計算する。
c) (Gn,Tn)での特性は,(Gl,Tl)及び(Gm,Tm)での特性によって計算する。
例えば,(Ga,Ta),(Gb,Tb),(Gc,Tc),(Gd,Td),及び(Gn,Tn)がそれぞれ(500 W/m2,55 ℃),(400
W/m2,31 ℃),(1 000 W/m2,60 ℃),(950 W/m2,32 ℃),及び(800 W/m2,45 ℃)の場合,(Gl,Tl)及
び(Gm,Tm)は,それぞれ(450 W/m2,43 ℃),及び(975 W/m2,46 ℃)と算出できる。
図4の影付き部分に示されている範囲の照度及び温度におけるI-V特性は,補間によって計算する。
影付き部分以外の範囲の特性は,外挿を用いて計算する。ただし,広範囲にわたる外挿によって,補正
結果の質及び補正の精度が低下しないよう注意する必要がある。
温
度
Irradiance
照度
IEC 2421/09
影付きの部分は,補間によってだけ計算できる範囲を示す。
図4−測定した四つの特性を基に様々な範囲の照度及び温度にI-V特性を補正した場合の略図
4
温度係数の求め方
4.1
概要
太陽電池デバイスでは,一般に,次のパラメータに温度係数を用いる。
− 短絡回路電流(α)
− 開回路電圧(β)
− ピーク電力(δ)
これらのパラメータは,自然光又は疑似太陽光での測定によって決定する。決定した係数は,測定を行
った照度において有効となる。線形太陽電池デバイスの場合,この水準の±30 %の照度範囲で有効となる。
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薄膜モジュールの温度係数は,照度,スペクトル照度及びモジュールの熱履歴に依存することもある。
温度係数を参照する場合は,熱履歴,照度の条件及び結果に関する履歴を示す。
異なる照度水準におけるモジュール温度係数の評価については,JIS C 8904-10を参照。
4.2
装置
測定装置は,次による。
a) 装置及び器具は,JIS C 8904-1の要件に従わなければならない。
b) 太陽シミュレータが放射源として用いる場合は,JIS C 8904-9の等級B-B-B以上でなければならない。
c) 装置には,試験体の温度を関心のある範囲で変更させるために必要な装置を含む。
注記 これまで有効に用いられている装置を,次に示す。
1) 試験体を空気流によって冷却及び加熱する送風機
2) 単一の太陽電池セル又はモジュール全体と密着する様々な温度の取付け台
3) 内部温度を制御できる,透明な窓付きのチャンバ
4) 取外し可能な日よけ(自然光を用いている場合。)
d) 試験デバイスがモジュールの場合は,モジュールの温度を,図5に規定する四つの位置(各位置が太
陽電池セルのすぐ後ろにあることを確認する。)と,おおむね同じ位置で測定する。さらに,それらの
値を平均する。
図5−試験モジュールの温度を測定するための位置(測定点は,太陽電池セルの背面)
4.3
自然光を用いた場合の手順
自然光での測定は,次の条件の場合でだけ行わなければならない。
1) 総照度が少なくとも関心範囲の上限の水準とする。
2) 短期変動(雲,煙霧及び煙)によって起こる照度の変化が,基準デバイスで測定した総照度の±2 %
とする。
3) 風速が2 m/s未満。
注記1 スペクトル条件の変化の影響を最小限に抑えるため,自然光での測定は,同じ日の数時間内
に可能な限り迅速に行う。迅速に行うことができない場合は,スペクトル補正が必要になる。
自然光を用いた場合の手順は,次による。
a) 試験体及び基準デバイス(JIS C 8904-2)が温度調節装置をもつ場合は,必要な高さに温度調節装置を
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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C 60891:2019
設定する。
b) 温度調節装置をもたない場合は,環境温度の±2 ℃に一定するまで試験体及び基準デバイスを,日光
及び風からさえぎる。次に,試験体を安定した温度に維持,又は必要な試験温度を下回るまで試験体
を冷却し,モジュールが自然に温まるまで待つ。基準デバイスもその平衡温度の±2 ℃に安定した状
態で,手順を進める。
注記2 大面積モジュールの場合,温度要件が満たされない場合の代替法として,IEC 60904-5に
従って平衡太陽電池セル温度(ECT)を用いる。
c) 目標温度において,試験体のI-V特性及び温度を,基準デバイスの短絡回路電流及び温度と並行して
記録する。必要な場合は,日よけを外した後すぐに測定を行う。ISC,VOC及びPmaxの値を測定する。
d) 温度制御機能を用いてデバイス温度を調節するか,試験モジュールを日光にさらしたり,日光を除け
たりして目標温度を達成し,それを維持する。試験デバイスは,暖機中に定期的に行うb) のデータ
記録手順によって,自然に温まるのを待つこともできる。
e) 試験デバイス及び基準デバイスの温度が±2 ℃に安定し,基準デバイスによって測定した照度が,各
データ集合の記録期間中,±1 %に安定することを確認する。
f)
必要な場合,この規格の手順のいずれかを用いて,報告する温度計数での照度水準にデータを変換す
る。変換は,JIS C 8904-10の規定に従ってモジュールが線形となる照度範囲内でだけ実行する。
g) d)〜f) の手順を繰り返す。関心のあるモジュール温度範囲は,30 ℃以上で,四つの約同じ増分で分散
する。
4.4
太陽シミュレータを用いた手順
太陽シミュレータを用いた手順は,次による。
a) 関心のある温度から±2 ℃に安定するまで,モジュールを加熱又は冷却する。モジュール温度が安定
したとき,照度に基準デバイス(JIS C 8904-2)を用いて必要な水準に設定する。
b) 試験体のI-V特性及び温度を記録し,ISC,VOC,及びPmaxの値を測定する。
c) 30 ℃以上の対象範囲において,約5 ℃間隔でモジュールの温度を変え,手順a) 及びb) を繰り返す。
4.5
4.5.1
温度係数の計算
作図
ISC,VOC及びPmaxの値を,デバイス温度の関数としてグラフ化し,各データ集合に対し最小二乗適合曲
線を描く。
4.5.2
パラメータ係数の算出
最小二乗適合の傾きから,電流,電圧及びPmaxの直線を描く。モジュールについて,短絡回路電流の温
度係数(α),開回路電圧の温度係数(β)及びPmaxの温度係数(δ)を計算する。
注記1 試験モジュールを線形デバイスとみなせるかどうかを決定するには,JIS C 8904-10を参照。
注記2 温度係数は,測定した照度水準及びスペクトルでだけ有効とする。
注記3 %で表した相対温度係数は,25 ℃の電流,電圧及びPmaxの値を,α,β及びδの計算値で除し
て求める。
注記4 モジュールの曲線因子は,温度の関数であるため,Pmaxの温度係数としてα及びβを用いる
には十分ではない。
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内部直列抵抗RS及びR'Sの求め方
5.1
概要
I-V曲線の同じデータ集合で始まるものであるにも関わらず,RS又はR'Sを決定する実験方法は,補正手
順1及び2では異なる。これらのパラメータは,次の手順に従って,自然光又は疑似太陽光を用いて決定
する。
曲線の変換を実行しようとする対象範囲内にわたる三つ以上の異なる照度(G1…GN)及び一定の温度条
件下での試験体のI-V特性を追跡する。照度の正確な値を特定する必要はない。線形デバイスの場合,そ
れはGN=ISC,N/ISC1×G1に従って計算する。I-V測定中のデバイス温度は,±2 ℃で安定しなければなら
ない。グラフにI-V曲線を描く[図6 a)]。
注記 照度を変更するため,透過性が均一な大面積メッシュを用いることができる。スペクトル照度
については,ニュートラルなメッシュフィルターとみなすことができる。
5.2
5.2.1
補正手順1
I-V特性の変換
ISC1を最高照度G1で記録したI-V特性の短絡回路電流と推定し,これより低い照度(G2…GN)でG1ま
で記録した他の全ての(N-1)曲線を,RS=0 Ωを用いて順番に変換する。
5.2.2
作図
補正したI-V曲線をグラフ化する[図6 b)]。
5.2.3
RSの求め方
RSを正又は負の方向に10 mΩずつ変更する。転置したI-V特性の最大出力値の偏差が,±0.5 %で一致
する場合は,適切な“RS”の値が得られている[図6 c)]。
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モ
ジ
ュ
ー
ル
電
流
モ
ジ
ュ
ー
ル
電
流
Module voltage
モジュール電圧
Module voltage
モジュール電圧
IEC 2423/09
a) 異なる照度及び一定温度で測定したI-V特性
IEC 2424/09
b) RS=0 Ωで補正したI-V特性
モ
ジ
ュ
ー
ル
電
流
Module voltage
モジュール電圧
IEC 2425/09
c) RS=最適で補正したI-V特性
図6−内部直列抵抗の決定
5.3
5.3.1
補正手順2
I-V特性の変換
ISC1を最高照度G1で記録したI-V特性の短絡回路電流と推定し,これより低い照度(G2…GN)で,G1
まで記録した他の全ての(N-1)曲線を,R'S=0 Ω,及びa=0を初期値として,式(4)及び式(5)を用いて順
番に変換する。
5.3.2
作図
補正したI-V曲線をグラフ化する[図7 b)]。
注記 規定した初期値がR'S=0 Ω,及びa=0の場合,変換した短絡回路電流だけが一致する。
5.3.3
パラメータaの求め方
式(5)のパラメータ“a”を,0.001ずつ増加し,R'S=0 Ωを維持する。転置したI-V特性の開回路電圧が
±0.5 %で一致する場合は,適切な“a”の値が得られている[図7 c)]。
注記1 変換したVOCの値に一致する適切なパラメータが得られない場合は,補正手順がこの太陽電
池デバイス技術に適していない。
注記2 線形太陽電池デバイスの場合,VOC照度補正係数は,一般に0.1未満である。
5.3.4
内部直列抵抗R'Sの推定
5.3.3で求めた値に“a”を固定する。内部直列抵抗R'Sの推定値として,nS/nP×10 mΩを用いる。ここで,
nSは試験デバイス内で直列接続した太陽電池セルの数であって,nPは並列したブロックの数とする。
5.3.5
R'Sの求め方
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C 60891:2019
R'Sを正又は負の方向に10 mΩずつ変更する。転置したI-V特性の最大出力電力値の偏差が±0.5 %で一
致する場合は,適切な“R'S”の値が得られている[図7 d)]。
モ
ジ
ュ
ー
ル
電
流
モ
ジ
ュ
ー
ル
電
流
Module voltage
モジュール電圧
Module voltage
モジュール電圧
IEC 2426/09
a) 異なる照度及び一定温度で測定したI-V特性
b) a=0及びR'S=0 Ωで補正したI-V特性
モ
ジ
ュ
ー
ル
電
流
モ
ジ
ュ
ー
ル
電
流
IEC 2427/09
Module voltage
モジュール電圧
Module voltage
モジュール電圧
IEC 2428/09
c) a=最適及びR'S=0 Ωで補正したI-V特性
IEC 2429/09
d) a=最適及びR'S=最適で補正したI-V特性
図7−VOC照度補正係数及び内部直列抵抗の決定
6
曲線補正係数κ及びκ'の求め方
6.1
概要
曲線補正係数κ及びκ'を決定する方法は,いずれも,補正手順1及び2の補正手順と同じとする。これ
らは,次の手順を行うことによって自然光又は疑似太陽光を用いて決定する。温度係数α及びβは,κ及
びκ'を決定する入力値として用いるため,特定しなければならない。
6.2
6.2.1
手順
I-V特性の追跡
曲線の変換を実行しようとする関心のある温度範囲内で,異なる温度(T1…TN)及び一定の照度条件下
での試験体のI-V特性を追跡する。I-V測定中に,照度は,±1 %を超えて異なってはならない。照度値は,
箇条5で照度補正パラメータの決定に用いた範囲内の値とする[図8 a) 参照]。
注記1 温度調節のための装置及び測定技法の詳細ついては,4.1を参照。
注記2 モジュールのI-V特性の測定時には,デバイス温度の均一性が,意図した水準の±2 ℃にな
るよう注意する。
6.2.2
曲線の変換
T1を最低デバイス温度と推定し,これより高い温度(T2...TN)で記録した他の全ての(N-1)曲線を,T1
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まで,式(2)のκ=0 Ω/K,及び式(5)のκ'=0 Ω/Kを用いて順番に変換する。
6.2.3
作図
補正したI-V曲線をグラフ化する[図8 b)]。
6.2.4
κ及びκ'の求め方
0 mΩ/Kを起点として,κ又はκ'を1 mΩ/Kごとに正又は負の方向に変更する。転置したI-V特性の最大
出力電力値の偏差が±0.5 %で一致する場合は,適切なκ又はκ'の値が得られている[図8 c) 参照]。
モ
ジ
ュ
ー
ル
電
流
モ
ジ
ュ
ー
ル
電
流
Module voltage
モジュール電圧
Module Voltage
Module Voltage
Module
voltage
モジュール電圧
IEC 2430/09
a) 異なるデバイス温度でのI-V特性
IEC 2431/09
b) κ=0 Ω/K又はκ'=0 Ω/Kで温度補正したI-V特性
モ
ジ
ュ
ー
ル
電
流
Module Voltage
Module
voltage
モジュール電圧
IEC 2432/09
c) κ=最適,又はκ'=最適,で補正したI-V特性
図8−曲線補正係数の決定
7
報告事項について
温度及び照度補正を測定したI-V特性に適用する場合は,次の情報を提供しなければならない。
a) 試験デバイスの説明
b) 照度及びデバイス温度の測定条件。線形補間法を適用する場合は,全ての(Gi,Ti)集合についての
報告
c) 用いた補正手順の識別
d) I-V補正パラメータの値及びその取得元
e) 温度係数が参照されている照度水準
f)
変換精度の推定値に関する説明事項
I-V補正パラメータが測定されている場合は,次の情報を提供しなければならない。
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C 60891:2019
− 用いた測定方法の識別
− I-V補正パラメータの根拠として用いた照度及びデバイス温度の範囲
− 表,グラフ,写真などを適切に用いて,測定プロトコルと得られた結果の補完について
− 光源のスペクトル照度分布
− I-V補正パラメータの測定不確実性の推定値に関する説明事項
− JIS C 8904-10に従って,太陽電池デバイスを線形デバイスとみなすかどうか,また,どの照度及び温
度の範囲において,それが線形かどうかに関する説明事項
− 該当する場合は,測定前の温度履歴及び光線処理に関する試験体の電気的状態
− I-V補正パラメータを求める際に,測定手順から逸脱,追加又は除外した事項について
参考文献 IEC 60904-5,Photovoltaic devices−Part 5: Determination of the equivalent cell temperature (ECT) of
photovoltaic (PV) devices by the open-circuit voltage method
IEC 61853-1,Photovoltaic (PV) module performance testing and energy rating−Part 1: Irradiance and
temperature performance measurements and power rating
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C 60891:2019
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS C 60891:2019 太陽電池デバイス−I-V特性測定における温度及び照度補正
法
(I)JISの規定
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
箇条
番号
箇条ごと
の評価
追加
箇条番号
及び題名
(II)国際
規格番号
内容
用語及び定義
内容
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60891:2009,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
技術的差異の内容
対応国際規格にはない,本文中で用
いられている用語及び定義を追加
した。
技術的差異はない。IECへの提案
を検討する。
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表