2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格
JIS
F 0024-1993
造船用語−機関−軸系,プロペラ
及びウォータージェット推進装置
Shipbuilding−Machinery−Shafting, propeller and water
jet propulsion system−Vocabulary
1. 適用範囲 この規格は,軸系,プロペラ及びウォータージェット推進装置関係の用語について規定す
る。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS F 0011 造船用語(船体編−基本計画)
2. 分類 用語の分類は,次のとおりとする。
(1) 一般
(2) 軸及び軸受
(3) シール装置
(4) プロペラ
(5) ウォータージェット推進装置
(6) その他
3. 用語及び定義 用語及び定義は,次のとおりとする。
なお,対応英語を参考として示す。
(1) 一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
軸系
主機からプロペラに軸出力を伝え,船に推進力を与える機
構の総称。
軸系装置
軸レーキ
軸系を構成する軸,軸受,船尾管,プロペラなどを機能的
に配列した装置。
船体の基線に対する軸系基準線の傾き。
軸系アライメント
軸系装置で,軸のたわみ,軸受荷重などを考慮した軸系の
据付け配置。軸系が直線となるような軸受配置(ストレー
トアライメント:straight alignment),及び各軸受の位置を
上下に調整して,軸受荷重の分散配分を考慮した軸受配置
(オフセットアライメント:offset alignment又はスロープ
アライメント:slopealignment)とがある。
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F 0024-1993
(2) 軸及び軸受
番号
用語
定義
プロペラ軸
プロペラを装置備する軸。
中間軸
プロペラ軸と主機とを連結する軸。
スラスト軸
船尾管軸
給油軸
プロペラのスラストをスラスト軸受を介して船体に伝え
る軸。スラストカラをもつ。中間軸の一種。
船尾管内を通る軸。中間軸の一種。
シリンダ軸
中実軸
中空軸
軸スリーブ
軸の中心部を中空にしてある軸の総称。
軸コーンパート
プロペラ又は組立継手を取り付けるために,軸に設けた円
すい構造のはめあい部。
スラスト軸受
プロペラのスラストを受けて船体に伝える軸受。主機及び
減速機に組み込まれることがある。
中間軸受
中間軸を支える軸受。
プロペラ軸受
プロペラ軸を支える軸受で,船尾管より船首側にあるも
の。
最後部軸受
船尾管より船首側に設ける軸受のうち,最も船尾側の軸
受。プロペラ軸受の場合と中間軸受の場合とがある。
船尾管
軸が船体を貫通し,船体にでる箇所に装備する筒状の構造
物。
船尾管軸受
船尾管内にあって,プロペラ軸又は船尾管軸を支える軸
受。
水潤滑式船尾管軸
受
海水又は淡水によって潤滑を行う船尾管軸受。軸受支面材
としては,リグナムバイタ (lignumvitae),合成ゴム
(rubber),合成樹脂 (plastic) などがある。
油潤滑式船尾管軸
受
潤滑油によって潤滑を行う船尾管軸受。軸受支面材として
は,一般に,ホワイトメタル (white metal) が使用される。
船尾管軸受裏金
船尾管軸受を構成する部品で,内面に軸受支面材を保持す
る筒状の構造物。
張出し軸受
多軸船などで,プロペラ軸を支持するために船外に張り出
した軸受。
シャフトブラケット軸受ともいう。
軸継手
軸をつなぐ継手。継手フランジが軸と一体に鍛造される一
体形継手 (solid type),軸にはめ込む構造の組立形継手
(built-uptype) 及びスリーブによる締付けで軸をつなぐ構
造の継手 (sleeve type) がある。
可変ピッチプロペラにおいて,プロペラ羽根の変節を行う
シリンダへ作動油を分配給油する穴をもつ軸。中間軸の一
種。
可変ピッチプロペラにおいて,プロペラ羽根の変節用のシ
リンダを組み込んだ軸。中間軸の一種。
軸の中心部が中空でない軸の総称。
海水との接触による軸の腐食を防ぐため軸にはめる覆い。
一般に銅合金鋳物で製造され,軸に焼きばめされる。軸受
に当たらない部分について,ゴムを巻いたもの (rubber
lining),また,合成樹脂を巻いたもの (plastic lining) など
がある。
対応英語(参考)
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F 0024-1993
番号
用語
定義
対応英語(参考)
軸継手をつなぐボルト及びナット。
軸継手ボルト及び
ナット
船尾管座金
船尾管を取り付けるために,船尾隔壁に設ける座金。
船尾管ナット
船尾管を船尾骨材に固定するナット。
(3) シール装置
番号
用語
水潤滑式船尾管シ
ール装置
油潤滑式船尾管シ
ール装置
シールライナ
シールリング
非常用シール
隔壁パッキン箱
定義
対応英語(参考)
軸系の船体貫通部から船外の水が船内に流入するのを防ぐ
装置。船尾管の機関室内側に装備される。グランドパッキ
ン (gland packing) 方式のもの,メカニカルシール
(mechanicalseal) 方式のものなどがある。
船外の水が船尾管内に流入するのを防ぐとともに,船尾管
内の油が船外及び機関室内に流出するのを防ぐ装置。船外
側の船尾側シール装置と,機関室内側の船首側シール装置
によって構成されている。
油潤滑式船尾管シール装置において,シールリングとのし
ゅう動部に設けられる円筒状の軸の覆い。船尾側シールラ
イナ (aftseal liner) はプロペラに固定され,また,船首側シ
ールライナ (forward seal liner) は軸上に設けられた二つ割
りクランプリングに固定され,シールリングとしゅう動し,
密封機能を形成する。
一般に船尾側シールライナには高クロムステンレス鋼,船
首側シールライナには高クロムステンレス鋼又は特殊鋳鉄
が使用され,クロムライナ (chrome liner) とも呼ばれる。
船尾管シール装置において,水又は油を密封する働きをす
るリングで,リップシール形 (lip seal type),端面シール形 sealing ring
(face sealtype),セグメントシール形 (segment seal type) など
があり,合成ゴム (Rubber),合成樹脂 (Plastic),炭素
(Carbon) などが材料として使用される。
船尾管シール装置(特に,メカニカルシール方式)内に装
備される合成ゴムなどで作られた部品。シールリング損傷
などの非常時に圧力空気などによって,一時的なシールを
目的として用いられる緊急時に使用するシール。
緊急シールともいう。
水密隔壁の軸貫通部に設ける封水用のパッキン箱。
(4) プロペラ
番号
用語
定義
対応英語(参考)
プロペラ
羽根の回転によってスラストを発生し,船を推進させる装
置。
羽根がボスに固定され,ピッチ角が変えられないプロペラ。 fixed pitch propeller
固定ピッチプロペ
ラ
可変ピッチプロペ
ラ
一体形プロペラ
組立形プロペラ
ピッチ角を前進から後進まで自由に変えることができる機
構をもったプロペラ。
羽根及びボスが一体構造のプロペラ。
羽根とボスとを別々に作って組み立てたプロペラ
キーレスプロペラ
キー付きプロペラ
プロペラ軸とプロペラボスとのはめあい部に,キーを使わ
ずにプロペラを押し込み,摩擦力によって固定する構造の
プロペラ。
プロペラ軸とプロペラボスとのはめあい部に,キーを用い
て取り付ける構造のプロペラ。
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4
F 0024-1993
番号
用語
定義
対応英語(参考)
一定ピッチプロペ
ラ
ピッチが羽根の根元から先端まですべて等しいプロペラ。 constant pitch propeller
逓増ピッチプロペ
ラ
逓減ピッチプロペ
ラ
ハイスキュープロ
ペラ
ピッチが羽根の根元から先端にかけて徐々に増加している
プロペラ。
ピッチが羽根の根元から先端にかけて徐々に減少している
プロペラ。
スキュー角が大きいプロペラ(付図2参照)。
遊転プロペラ
二重反転プロペラ
ダクトプロペラ
スーパーキャビテ
ーションプロペラ
サーフェスプロペ
ラ
プロペラ羽根
プロペラボス
プロペラキャップ
プロペラナット
プロペラ直径
プロペラピッチ
プロペラをプロペラ軸に締め付けるナット。
プロペラ羽根先端が回転して描く円の直径。
プロペラ羽根のねじれ角度によって,プロペラの1回転で propeller pitch
進む理論上の距離。
プロペラピッチ比
プロペラボス直径
プロペラボス比
羽根先端
プロペラピッチとプロペラ直径との比。
プロペラ羽根取付部のボスの直径(付図1参照)。
プロペラボス直径とプロペラ直径との比。
プロペラ羽根の最先端(付図1参照)。
羽根根元
羽根前縁
羽根後縁
プロペラ羽根のボス取付部(付図1参照)
プロペラ羽根の正転回転方向側の縁(付図1参照)。
羽根前縁と反対側の縁(付図1参照)。
羽根前進面
羽根後進面
羽根プロファイル
羽根断面
羽根幅
羽根厚さ
プロペラ全円面積
通常のプロペラの後部に別に設けた,自由に回転するプロ
ペラ。プロペラ後流のエネルギーを活用してスラストを得
る。
前方・後方の2個のプロペラを適当な逆転機構によって互 contra-rotating propeller
いに反対方向に回転させ,推進効率の向上を図ったプロペ
ラ。
プロペラの外周又は前方にダクトを装備し,同一トルクに
おけるスラストを増加させ,推進効率の向上を図ったプロ
ペラ。
プロペラの翼面上に積極的にキャビテーションを発生させ
たときに,より高い性能を得ようとするプロペラ。
静止時に大半を水面上に露出させた状態で作動させ,プロ
ペラの露出によってプロペラ効率が低下しても船の推進効
率を高めることができるプロペラ。
プロペラのスラストを出す羽根状の部分(付図1参照)。
プロペラをプロペラ軸に取り付けるボス部(付図1参照)。 propeller boss,
プロペラナット用の覆い。プロペラナットを兼ねることも
ある。
プロペラボンネットともいう(付図1参照)。
プロペラ羽根の前進時にスラストを受ける面(付図1参 blade face,
照)。
プロペラ羽根の後進時にスラストを受ける面(付図1参 blade back,
照)。
プロペラを横方向から見た羽根の輪郭。
プロペラ羽根の円周方向に沿った断面。
プロペラ羽根の各断面を平面に引き延ばしたときの幅(付
図1参照)。
プロペラ羽根の各断面の厚さ(付図1参照)。
プロペラ羽根の先端が回転して描く円の面積。
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F 0024-1993
番号
用語
羽根投影面積
羽根伸張面積
羽根展開面積
羽根レーキ
ウォッシュバック
スキューバック
スキュー角
プロペラ押込み力
プロペラ押込み量
プロペラアパーチ
ャ
プロペラチップク
リアランス
プロペラ充てん材
定義
対応英語(参考)
軸心に垂直な面に投影したプロペラ羽根の面積。
プロペラ羽根の各半径位置において,設計中心線を軸とし
て,それぞれのピッチ角だけ羽根を回転させたとき,各羽
根断面がなす曲線(円弧で近似される)によって構成され
る羽根図形(伸張図)の面積。
伸張図で,円弧上にある各羽根断面を一直線に延ばした状
態でのプロペラ羽根の面積。
軸心に垂直な面に対するプロペラ前進面の基線の傾き(付
図1参照)。
プロペラ羽根の各断面で,前縁及び後縁が前進面基準線よ
り反り上がった状態(付図1参照)。
プロペラ羽根の設計中心線と羽根先端とのずれの距離(付
図1参照)。
プロペラ羽根投影図において,プロペラ軸中心と羽根幅中
心線の羽根先端の点とを結ぶ直線と,プロペラ軸中心から
羽根幅中心線へ引いた接線とがなす角度(付図2参照)。
プロペラをプロペラ軸コーンパート部に圧入する力。
プロペラをプロペラ軸コーンパート部に圧入するときの軸
方向の押込み量。
プロペラとプロペラ付近の船体との隔たり。又はプロペラ
を取り付ける部分の船体の空所。
プロペラ羽根先端と船体との隔たり。
プロペラ軸の防食のため,プロペラボス及びキャップ内に
充てんする材料。タロー,グリースなどが使用される。
(5) ウォータージェット推進装置
番号
用語
定義
対応英語(参考)
ウォータージェッ
ト推進装置
船外から低速で水を取り入れ,インペラでエネルギーを与
えて,高速で後方へ噴出させ,そのとき働くスラストによ
って船を推進させる装置。
吸水口
水中から水を吸引する入口。船底からの突出物がないフラ
ッシュ形 (flush type),スクープを設けて水の取入れをよく
したスクープ形 (scoop type),船底からピトー管のように突
出するポッド形 (pod type) がある。
異物吸入防止グリ
ット
水吸入管路部
水を吸引するとき水の中の異物の侵入を防止する格子。吸
水口に設けられる。
固定式のものと,詰まった異物の掃除を容易にする可動式
のものがある。
吸水口から吸い込んだ水をインペラ入口まで導く部分。
主軸
羽根車に動力を伝達する軸。
インペラ
案内羽根
水にエネルギーを与えるための羽根をもつ回転体。
インペラで発生した旋回流を軸方向に整流させる部分。
ノズル
インペラからの整流された水を噴出させる部分。ノズルと
案内羽根とが一体構造となったものもある。
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F 0024-1993
番号
用語
定義
対応英語(参考)
デフレクタ
ノズルから噴射された水流の方向を左右に転向させてか
じ(舵)の働きをする装置。
リバーサ
ノズルから噴射された水流の方向を前進と反対方向に転
向させて船を後進させる装置。
(6) その他
番号
用語
定義
対応英語(参考)
軸系接地装置
軸系と船体との電位差をなくすことによって,電気的腐食
を防ぐために,両者を導体で結ぶ装置。
軸遊転防止装置
軸が自由に回転するのを防止する装置。
ターニングギヤ
ロープガード
コーンゲージ
板ゲージ
ウェアダウンゲー
ジ
プロペラ引抜き装
置
プロペラ軸引抜き
装置
プロペラ鳴音
プロペラ深度
プロペラ空気吸込
み
プロペラキャビテ
ーション
停船中に,プロペラ及び軸系を主機以外の動力でゆっくり
回転させる機構。
プロペラ軸がロープや漁網などを巻き込むのを防ぐため
に,プロペラと船尾骨材のボス部との間に設ける構造物。
コーンパートの仕上がり精度を調べる円すい形のゲージ。 cone gauge
コーンパートの仕上がり寸法を調べる板状のテーパゲー
ジ。
軸受の摩耗による軸降下量を測定するゲージ。油潤滑式船
尾管シール装置に装備するケースが多い。
プロペラ軸コーンパートに圧入されているプロペラを,油
圧ジャッキなどを用いて軸から引き抜く装置。プロペラボ
ス内面に油溝を設けて,そこに油圧をかけて引き抜く方法
もある。
プロペラ軸を機関室内又は船外に引き抜く装置。一般に,
アイプレート,台車,トロリーなどで構成される。
プロペラ後縁から生じるカルマン渦の発生と羽根の固有振
動数とが同調して発する音。
プロペラの中心から水面までの距離とプロペラ直径との
比。
プロペラの深度が浅い場合,水面から空気を吸い込み,ス
ラスト及びトルクが急激に減少して回転速度数が上昇し,
プロペラ効率が低下する現象。
船のプロペラ翼に水が作用したとき,翼表面の圧力の低い
部分から水が離れ,そこに気孔又は空所を発生する現象
(JIS F 0011参照)。
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F 0024-1993
付図1 プロペラ各部名称
付図2 スキュー角の決め方
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F 0024-1993
原案作成委員会 構成表(軸系委員会)
氏名
(委員長)
吉 井
所属
弘
越 野 隆 弘
前 橋 正 雄
矢 崎 敦 生
鈴 木 博 信
中 嶋 孝 雄
原 俊 夫
渋 谷 秀 樹
太 田 徹 造
米 沢 純 一
中 島
草 間
山 邊
稔
毅
繁
NKK総合エンジニアリング事業部
船舶・海洋本部
財団法人日本海事協会
運輸省船舶技術研究所
財団法人日本造船技術センター
社団法人日本舶用工業会
ナビックスライン株式会社
住友重機械工業株式会社
船舶海洋鉄構事業部追浜造船所
三井造船株式会社船舶・海洋事業部
三菱重工業株式会社長崎造船所
株式会社神戸製鋼所高砂製作所
鉄鋼事業本部生産本部
ナカシマプロペラ株式会社
日本マリンテクノ株式会社富山工場
株式会社第一内燃機