L 2101 : 2000
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS L 2101 : 1994は改正され,この規格に置き換えられる。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
(1)
日本産業規格
JIS
L 2101 : 2000
綿縫糸
Cotton sewing thread
序文 この規格は,綿縫糸について規定したもので,1958年(昭和33年)に制定された。今回の改正で
は,引用規格の改正に伴い,引用規格の規格名称及び項目番号を変更している。
1. 適用範囲 この規格は,綿縫糸について規定する。
備考 この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるもので,参考とし
て併記したものである。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8896 メチルレッド(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS L 0104 テックス方式による糸の表示
JIS L 0105 繊維製品の物理試験方法通則
JIS L 0803 染色堅ろう度試験用添付白布
JIS L 0842 紫外線カーボンアーク灯光に対する染色堅ろう度試験方法
JIS L 0844 洗濯に対する染色堅ろう度試験方法
JIS L 0849 摩擦に対する染色堅ろう度試験方法
JIS L 1095 一般紡績糸試験方法
JIS Z 8401 数値の丸め方
3. 種類 綿縫糸の種類は,次のとおりとする。ただし,括弧内は,種類の略号である。
a) 綿ミシン糸(ミシン糸又はカタン糸)(1)
注(1) グレース仕上げのものを含む。グレース仕上げとは,ろう引加工した綿ミシン糸をいう。
b) 綿手縫糸(手縫糸)
c) 綿製袋用縫糸(製袋用)
4. 品質
2
L 2101 : 2000
4.1
外観 外観は,糸むら,よりびり,毛羽などが少なく,色沢が良好で,加工むら及び汚れが目立っ
てはならない。
4.2
つなぎ節 つなぎ節数(2)は,6.2によって試験したとき,表1のとおりとする。
注(2) もろよりのものは,上よりのつなぎ節数とする。
表1 つなぎ節数
単位 個/km
4.3
糸長
つなぎ節数
100m以下のもの
100mを超え1 000m以下のもの
1 000mを超えるもの
2.2以下
2.0以下
1.0以下
長さ又は質量 1巻若しくは1かせの長さ又は質量(3)は,6.3又は6.4によって試験したとき,表示
された値に対し,表2又は表3のとおりとする。
注(3) 質量は,絶乾質量に公定水分率 (8.5%) を加えたものとする。
表2 長さ(長さ表示のもの)
単位 %
長さ
許容差
1 000m以下のもの
1 000mを超え5 000m以下のもの
5 000mを超えるもの
表3 質量(質量表示のもの)
単位 %
質量
50gを超え
100g以下のもの
100gを超えるもの
4.4
許容差
50g以下のもの
正量繊度 正量繊度は,6.5によって試験したとき,表示された原糸繊度に対し,次のとおりとする。
a) 漂白又は染色加工したもの
±10%
b) 漂白又は染色加工しないもの ±5%
4.5
引張強さ 引張強さは,次のとおりとする。
a) 綿ミシン糸 綿ミシン糸の引張強さは,6.6によって試験したとき,原糸繊度と合糸数の組合せによっ
て表4を満足しなければならない。
3
L 2101 : 2000
表4 綿ミシン糸
呼び
原糸繊度
{原糸番手 S}
合糸数 引張強さ(最低値)
#40(2コード)
#50(2コード)
#60(2コード)
#70(2コード)
#80(2コード)
#90(2コード)
#100(2コード)
#120(2コード)
#150(2コード)
#8(3コード)
#20(3コード)
#30(3コード)
#40(3コード)
#50(3コード)
#60(3コード)
#70(3コード)
#80(3コード)
#100(3コード)
#6(6コード)
#8(6コード)
#10(6コード)
#20(6コード)
#30(6コード)
#40(6コード)
#50(6コード)
備考 グレース仕上げのものは,表の引張強さの5%増しとし,か
つ,JIS Z 8401によって小数点以下1けたに丸めた値とする。
b) 綿羊縫糸 綿手縫糸の引張強さは,6.6によって試験したとき,原糸繊度と合糸数の組合せによって,
表5を満足しなければならない。
表5 綿手縫糸
呼び
原糸繊度dtex
{原糸番手 S}
合糸数 引張強さ(最低値)
4
L 2101 : 2000
呼び
原糸繊度dtex
{原糸番手 S}
合糸数 引張強さ(最低値)
備考 しつけ糸は,表の引張強さの15%減とし,かつ,JIS Z 8401
によって小数点以下1けたに丸めた値とする。
c) 綿製袋用縫糸 綿製袋用縫糸の引張強さは,6.6によって試験したとき,原糸繊度と合糸数の組合せに
よって,表6を満足しなければならない。
表6 綿製袋用縫糸
呼び
原糸繊度dtex
{原糸番手 S}
合糸数
引張強さ(最低値)
d) 表4〜6の表中にない原糸繊度と合糸数の組合せのもの 表4〜6の表中にない原糸繊度と合糸数の組
合せのものの引張強さは,6.6によって試験したとき,次の式によって算出した値を,JIS Z 8401によ
って小数点以下1けたに丸めた値以上とする。
1) 同一原糸繊度であって合糸数の異なるものがあるとき
1.1) 片よりのもの
F
F
=31 ×
n
ここに,
F: 引張強さ (N)
F1: 当該原糸繊度の片より3本のものの引張強さの最低値 (N)
n: 当該合糸数
1.2) もろよりのもの
F
F
=62
×
n
ここに,
F: 引張強さ (N)
5
L 2101 : 2000
F2: 当該原糸繊度のもろより2×3本のものの引張強さの最低値
(N)
n: 当該合糸数
2) その他のもの
2.1) 片よりのもの
F
=
F
3
F F
D
−
D
2
−
3
−
4
×
1
×
n
3
3
3
D
3
−
D
2
ここに,
F: 引張強さ (N)
F3: 直近の太い原糸繊度の片より3本のものの引張強さの最低値
(N)
F4: 直近の細い原糸繊度の片より3本のものの引張強さの最低値
(N)
D1: 当該原糸繊度 (dtex)
D2: 直近の太い原糸繊度 (dtex)
D3: 直近の細い原糸繊度 (dtex)
n: 当該合糸数
2.2) もろよりのもの
F
=
F
5
F F
D
−
D
2
−
5
−
6
×
1
×
n
6
6
6
D
3
−
D
2
ここに,
F: 引張強さ (N)
F5: 直近の太い原糸繊度のもろより2×3本のものの引張強さの
最低値 (N)
F6: 直近の細い原糸繊度のもろより2×3本のものの引張強さの
最低値 (N)
D1: 当該原糸繊度 (dtex)
D2: 直近の太い原糸繊度 (dtex)
D3: 直近の細い原糸繊度 (dtex)
n: 当該合糸数
4.6
引張強さ変動率 引張強さ変動率は,6.7によって試験したとき,10.5%以下とする。
4.7
より数変動率 より数変動率は,6.8によって試験したとき,7.5%以下とする。
4.8
合糸数 合糸数は,6.9によって試験したとき,表示された合糸数と一致しなければならない。
4.9
残留硫酸及び残留塩素 漂白したものについては,6.10によって試験したとき,硫酸又は塩素の残
留が認められてはならない。
4.10 染色堅ろう度 染色堅ろう度は,6.11によって試験したとき,次のとおりとする。ただし,紙袋な
どの口縫い糸であって,標識用として染色したものを除く。
a) 普通染 洗濯試験の判定が変退色3級以上,汚染3級以上であり,かつ,摩擦試験の判定が3級以上
であること。
b) 洗濯堅ろう染 強洗濯試験の判定が変退色4級以上,汚染4級以上であり,かつ,摩擦試験の判定が
3級以上であること。
c) 堅ろう染 強洗濯試験の判定が変退色4級以上,汚染4級以上であり,摩擦試験の判定が3級以上で
あり,かつ,耐光試験の判定が4級以上であること。
4.11 仕立て 綿縫糸の仕立ては,かせ,カード,玉巻,紙管,プラスチック管などに巻いたものとし,
仕立ての状態は,良好でなければならない。
5. 材料 材料は,縫糸に適した良質の綿糸を使用する。
6
L 2101 : 2000
6. 試験方法
6.1
試験室及び試料の準備 試験室は,原則として標準状態(4)とする。試料は,この試験室内に放置し
て1時間以上の間隔で質量を測定し,その前後の質量差が,後の質量の0.1%以内となったものを用いる。
ただし,試料を標準状態にするには,乾いた方の状態から吸湿させる。
注(4) JIS L 0105の4.1(試験場所)に規定する標準状態とする。
備考 試験室が標準状態に保たれない場合は,試験時の温度及び湿度を付記する。
6.2
つなぎ節 つなぎ節の試験は,試料を10個以上採取し,そのつなぎ節数(2)を数え,次の式によって
算出し,JIS Z 8401によって小数点以下1けたに丸める。
A=
k
l
ここに, A: つなぎ節数(個/km)
k: 試料のつなぎ節数を合計した数(個)
l: 試料の測定長さを合計してkmに換算した値 (km)
6.3
長さ 長さの試験は,JIS L 1095の9.1(糸長)によって行う。この場合,初荷重は,JIS L 1095の
6.1(初荷重)による。
6.4
質量 質量の試験は,JIS L 1095の9.3(正量)によって行う。
6.5
正量繊度 正量繊度の試験は,20g以上の試料を採取し,6.3によって糸長 (m) を求め,その糸長と
絶乾質量 (g) から次の式によって算出し,JIS Z 8401によって小数点以下1けたに丸める。
10 000
×
m
×
1
D
1
=
+
5.8
100
L
×
n
+
5.8
100
D
2
=
+
t
L
×
n
×
1
+
1
100
10 000
×
m
×
1
ここに,
6.6
D1: 漂白又は染色加工したものの正量繊度 (dtex)
D2: 漂白又は染色加工しないものの正量繊度 (dtex)
L: 糸長 (m)
m: 絶乾質量 (g)
8.5: 公定水分率 (%)
n: 合糸数
t: JIS L 1095の9.16(より縮み率)によって測定したより縮み
率 (%)
引張強さ 引張強さの試験は,定速緊張形引張試験機又は定速伸長形引張試験機を用いて,JIS L
1095の9.5(単糸引張強さ及び伸び率)によって行う。この場合,初荷重,つかみ間距離及び引張速度は,
次のとおりとする。
a) 初荷重 6.3と同じ値とする。
b) つかみ間距離 50cm(測定不可能な場合は25cm)とする。
c) 引張速度 30±2cm/minとする。
備考1. 測定回数は,20回以上とし,その平均値をJIS Z 8401によって小数点以下1けたに丸める。
2. 引張強さに用いる試験機は,当分の間,引張強さが従来単位によって表示されたものを使用
7
L 2101 : 2000
してもよい。
この場合,引張強さは,1kgf=9.806 65Nの換算率でSI単位に換算し,JIS Z 8401によって
小数点以下1けたに丸める。
6.7
引張強さ変動率 引張強さ変動率の試験は,6.6における引張強さの値を用いて,次の式によって算
出する。
Tr
=
ここに,
6.8
×
100
x
Tr: 引張強さ変動率 (%)
x: 6.6によって測定した各々の引張強さ (N)
x: 6.6によって測定した引張強さの平均値 (N)
n: 測定回数
より数変動率 より数変動率の試験は,JIS L 1095の9.15(より数)によって,つかみ間距離25.4cm
間のより数(5)を測定し,次の式によって算出する。
なお,初荷重は,6.3と同じ値とする。
注(5) もろよりのものについては,上より数とする。
備考 測定回数は,20回以上とする。
Yn
=
ここに,
y
×
100
Yn: より数変動率 (%)
y: 各測定におけるより数
y: より数の平均値
n: 測定回数
6.9
合糸数 合糸数の試験は,6.8の試験の際,測定する。
6.10 残留硫酸及び残留塩素
6.10.1 残留硫酸 残留硫酸の試験は,次のとおりとする。
a) 試料約3gを三角フラスコに入れ,これに水(6)100mlを加えてときどき振り混ぜながら20〜30分間経
過した後,この抽出液5mlを試験管にとり,メチルレッド溶液 (0.02%) (7)0.1〜0.2mlを滴下して着色
の有無を調べる。
注(6) 蒸留水又はイオン交換水を用いる。
(7) JIS K 8896に規定するメチルレッド0.02gを100mlのエタノール(60容量%)に溶かして調製
したものを用いる。
b) 赤い色が現れたときは酸性であるから,試料を三角フラスコから取り出して,その中の抽出液を約5ml
になるまで濃縮した後,塩酸 (5%) (8)1ml及び塩化バリウム溶液 (10%) (9)1mlを加えたとき,白濁す
れば硫酸塩の存在を示す。
注(8) JIS K 8180に規定する塩酸の特級12mlに水(6)を加えて100mlとしたものを用いる。
(9) JIS K 8001の4.2(試薬溶液)に規定する調製方法によって調製したものを用いる。
8
L 2101 : 2000
6.10.2 残留塩素 残留塩素の試験は,試料約3gを三角フラスコに入れ,これに水(6)100ml,硫酸 (10%)
(10)3ml及びよう化カリウムでんぷん溶液(11)1mlを加えてときどき振り混ぜ,10分間経過後,紫又は青い色
が現れれば塩素の存在を示す。
注(10) JIS K 8951に規定する硫酸5.7mlを水(6)10mlに注意しながら加え,冷却後,水(6)を加えて100ml
としたものを用いる。
(11) JIS K 8913に規定するよう化カリウムの特級1g,JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1gを
100mlの水(6)に溶かして調製したものを用いる。
6.11 染色堅ろう度
6.11.1 洗濯試験 洗濯試験は,JIS L 0844のA-2号による。この場合,試験に使用する添付白布は,JIS L
0803に規定する綿及び絹とする。
6.11.2 強洗濯試験 強洗濯試験は,JIS L 0844のA-4号による。この場合,試験に使用する添付白布は,
JIS L 0803に規定する綿及び絹とする。
6.11.3 摩擦試験 摩擦試験は,JIS L 0849による。この場合,試験は,摩擦試験機II形を用いて,乾燥状
態で行う。
6.11.4 耐光試験 耐光試験は,JIS L 0842による。この場合,露光方法は,第3露光法とする。
7. 検査方法 綿縫糸は,4.について検査を行う。この場合,検査は,全数検査又は合理的な抜取検査方
法によって行う。
8. 表示 綿縫糸には,製品ごとに適切な方法で,次の事項を表示しなければならない。
a) 種類又はその略号(12)
注(12) 綿ミシン糸のうち,グレース仕上げの場合には,“グレース”と表示しなければならない。また,
綿手縫糸のうち,しつけ糸の場合は,“しつけ糸”と表示しなければならない。
b) 原糸繊度及び合糸数(13),又は呼び(14)
注(13) 原糸繊度及び合糸数によって表示する場合は,JIS L 0104による。
(14) 綿ミシン糸の表示を呼びで行う場合は,例のように“コード”を“cord”と表示してもよい。
さらに,呼びの括弧書きは離して表示してもよい。
例 #40
(2cord)
c) 長さ又は質量
d) 洗濯堅ろう染(洗濯堅ろう染のものに限る。)
e) 堅ろう染(堅ろう染のものに限る。)
f)
家庭用品品質表示法に基づく表示
1) 繊維の組成
2) 表示者の氏名又は名称及び住所又は電話番号
9
L 2101 : 2000
改正原案作成委員会 構成表
(委員長)
(委員)
(関係者)
(事務局)
氏名
所属
石 川 欣 造
鷺 坂 正
窪 田 明
地 崎 修
横 田 昌 行
井 口 耕 一
中 沢 正 隆
深 沢 保 義
筒 井 清次郎
古 川 元 彦
小 林 成 一
藤 井 幸 二
儘 田 雅 夫
永 井 祐二郎
中 村 治 夫
瀬 古 廉 久
安 藝 雅 夫
土 谷 勝 利
関 口 基
横 田 幸 雄
齊 藤 有 常
前 島 明 宏
吉 岡 初 子
川 又 幸 子
塩 野 博 敏
堀 部 和 作
文化女子大学
通商産業省生活産業局原料紡績課
通商産業省生活産業局総務課繊維企画官
工業技術院標準部
通商産業省通商産業検査所
財団法人日本紡績検査協会
財団法人日本化学繊維検査協会
財団法人撚糸・縫糸検査協会
日本紡績協会
日本化学繊維協会
日本麻紡績協会
株式会社フジックス
儘田産業株式会社
永井撚糸株式会社
大黒絲業株式会社
グンゼ株式会社
全日本紳士服工業組合連合会
全日本婦人子供服工業組合連合会
社団法人縫製機械工業会
全国縫糸卸協会
日本百貨店協会
日本チェーンストア協会
主婦連合会
全国地域婦人団体連絡協議会
財団法人撚糸・縫糸検査協会
日本縫糸工業協会