Codexの週間使用量が想定より増えない理由:キャッシュだけでは説明できない¶
先に確認する境界
Codexの週間表示は、キャッシュ、モデル、処理内容、5時間枠と週間枠の設計を分けて判断する。 OpenAIの現行文書は、モデル、コンテキスト、推論、ツール、検索、キャッシュが使用量を変えると説明する一方、5時間枠と週間枠の固定換算比率は示していない。1
| 確認対象 | 公式資料から言えること |
|---|---|
| キャッシュ入力 | 通常入力より少ないクレジットで計算される |
| モデルと処理内容 | モデル、推論、ツール、検索などで消費が変わる |
| 5時間枠と週間枠 | 同じ固定比率で動くとは公表されていない |
| 表示の不一致 | 公開情報だけではキャッシュ効果か不具合かを確定できない |

Codexの使用量は生の総トークン数では決まらない¶
OpenAIのCodex Pricingは、クレジットを入力、キャッシュ入力、出力のトークン別レートで計算し、モデル、コンテキスト、推論、ツール、検索、キャッシュも使用量を変えると説明している。1 したがって、処理ログに見える総トークン数と使用量表示は比例せず、キャッシュ入力の比率、出力の長さ、モデル、推論量、ツール呼び出しが違えばクレジット消費も変わる。 ただし、週間メーターの内部集計式は公開されておらず、クレジットのレートカードと画面上の百分率を同じ計算式として扱うことはできない。
ChatGPTプランとAPIキーでは料金の読み方が異なる¶
CodexをChatGPTプランで使う場合と、APIキーで使う場合は分けて考える必要がある。 ChatGPT Plus、Pro、Businessなどではプラン内の利用枠と追加クレジットが基準になり、APIキーでは標準API料金が適用される。1
この区別はキャッシュ書き込みの扱いにも影響する。 ChatGPTプラン向けのCodexレートカードは、キャッシュ書き込みにクレジットを課さないと明記している。2 一方、OpenAI APIの料金表はGPT-5.6ファミリーのキャッシュ書き込みを通常入力の1.25倍、キャッシュ読み込みを通常入力の10分の1として掲載している。3
したがって、「キャッシュ書き込みが無料」はChatGPTプラン向けCodexの説明であり、APIキー課金へ一般化できない。 使用量調査では、ChatGPTプランとAPIキーを最初に区別する。
5時間枠と週間枠に固定比率は示されていない¶
OpenAIの現行文書は、ChatGPTプランのローカルメッセージとクラウドチャットが5時間枠を共有し、追加の週間制限が適用される場合があると説明している。1 しかし、5時間枠を1回使い切ると週間枠が必ず20%減る、といった固定比率は示していない。
このため、5時間枠と週間枠の差だけで不具合を確定することはできない。 両方の枠が同じモデル、処理、集計期間、換算式を共有するという前提が公開資料で確認できないからだ。
キャッシュ入力は通常入力の10分の1で計算される¶
2026年8月22日時点のCodexレートカードでは、GPT-5.6 Sol、Terra、Lunaのキャッシュ入力はいずれも通常入力の10分の1のクレジット率になっている。1 キャッシュ入力として扱われた部分が再利用されれば、画面やログに現れる入力トークン数に比べてクレジット消費が小さくなる可能性がある。
それでも、キャッシュが効いた量は総トークン数だけからは分からない。 セッションごとの入力、キャッシュ入力、出力の内訳がなければ、「大量のトークンに対して週間表示の増加が小さかった」という観察からキャッシュ効果を逆算することはできない。
モデル選択は同じ作業の消費を変える¶
GPT-5.6 Sol、Terra、Lunaは、能力だけでなくクレジット率も異なる。 OpenAIはSolを複雑な推論や高度なコーディング向け、Terraを知能とコストの均衡向け、Lunaを高速かつ大量の処理向けと位置づけている。1
モデルを切り替えた前後の使用量を比べるときは、タスクの難易度、コンテキスト、推論設定、ツール利用も揃える必要がある。 モデル名だけを揃えても、長時間のエージェント処理と短いローカル修正では比較条件が一致しない。
Fast modeや画像生成も利用枠を速く消費する。 「同じ一往復」という数え方では、処理内容の違いを吸収できない。1
15%しか増えなかった報告は未解決の観察である¶
OpenAI公式のCodexリポジトリには、Pro 20xで5時間枠を使い切った一方、週間使用量は約15%しか増えなかったというissueがある。4 2026年8月22日時点でissueはopenのままで、bugとrate-limitsのラベルが付いている。
ただし、このissueは利用者の観察報告であり、公開スレッドにはキャッシュ起因または不具合確定のどちらの保守者診断もない。 投稿者自身も、5時間枠の過大計上、異なる倍率、リクエストまたは再試行の重複、割当量の不一致など複数の可能性を挙げている。
したがって、この報告が証明するのは「5時間枠と週間表示の乖離を観察した利用者がいる」ことまでである。 同じ症状が出ても、個別セッションのキャッシュ内訳やサーバー側の集計を確認できなければ原因は確定できない。
使用量の異常は条件を分けて確認する¶
使用量表示を調べるときは、次の順序で条件を固定する。
- 利用者が、ChatGPTプラン内の利用かAPIキー課金かを確認する
- 利用者が、使用モデル、推論設定、Fast mode、画像生成、ローカルまたはクラウドの違いを記録する
- 利用者が、クライアントとアカウントに表示される使用量をタスク前後で記録する
- 利用者が、同程度のタスクで再現する場合だけ、アプリ版、プラン、時刻、利用可能ならセッション識別子や診断情報を添えて不具合報告する
この手順でも、ユーザー側から週間メーターの内部計算を監査することはできない。 確認できるのは、公式レートカード、選択した実行条件、表示の前後差、再現性までである。
キャッシュは「大量のトークンに対して消費が小さい」現象を説明しうるが、唯一の原因ではない。 再現条件を揃えた後に残る乖離を不具合候補として扱う。
関連記事¶
出典¶
OpenAI「Codex Pricing」(2026年8月22日確認)。プラン、5時間枠と週間制限、使用量へ影響する要因、クレジットのトークン別レート、モデルの位置づけを確認した。 ↩↩↩↩↩↩↩
OpenAI Help Center「Codex rate card」(2026年8月22日確認)。ChatGPTプラン向けCodexではキャッシュ書き込みにクレジットを課さないことを確認した。 ↩
OpenAI API「Pricing」(2026年8月22日確認)。GPT-5.6ファミリーの通常入力、キャッシュ入力、キャッシュ書き込み、出力のAPI料金を確認した。 ↩
openai/codex Issue #32392「[Pro 20x] 5-hour limit exhausted while weekly usage increased by only 15%」(2026年8月22日確認)。利用者の観察、open状態、ラベル、公開スレッド上の回答範囲を確認した。 ↩