Zendesk「CXトレンドレポート2026」発表--AI活用は「検証」から「実装」へ

加納恵 (編集部)

2026-01-29 11:23

 Zendeskは1月28日、年次調査「CXトレンドレポート 2026年版」の公開に合わせ、記者説明会を開催した。日本市場におけるAI活用の現状と、2026年に向けて企業が押さえるべき5つのトレンドなどを説明した。

 CXトレンドレポートは、Zendeskが毎年実施している顧客体験(CX)に関する世界規模の調査結果をまとめたもの。今回で8回目となり、日本を含む、世界22カ国の消費者とCXリーダーなど約1万1000人以上を対象に実施している。

 2025年7月に代表執行役社長に就任した森太郎氏は「Zendeskに入社してから見られた傾向は、大きく2つ。1つは、2025年はAI機能を検証・実証し、実装、そして稼働へと取り組むケースが大きく増加した。業務でのAIへの取り組みは非常に活発で、実装が大きく前進した。もう1つは、複雑化している問い合わせに対し、サポート担当者とユーザーの双方が『簡潔さ』を求めていること。複雑な操作は誰も求めておらず、お客さまは『以前のやりとりを最初から把握しておいてほしい』という思いが強い。それらを最新のAI機能でサポートできるようになっている」と、AIが実装フェーズへと進化した変化を話した。

 同社では、この1年で米国のHyperArcやイスラエルのUnleashを買収し、分析機能やAI検索機能などを強化。AIに対する取り組みを一層強めた。

 CXトレンドレポート 2026年版では、核となる概念として「コンテクスチュアル・インテリジェンス(文脈的知能)」を挙げる。これは、AI、データ、そして人の理解(ナレッジ)をリアルタイムに組み合わせることで、サポートサービスの定義を再構築するもの。動化するだけでなく、全社的に統合されたナレッジベース上で機能し、構造化データ、過去の対応履歴、動的シグナル、顧客対応ポリシーなどを掛け合わせて判断する。

 AIが単なる事実の処理にとどまらず、つながりを理解できることが特徴だ。コンテクスチュアル・インテリジェンスこそがCXの未来であり、企業の競争力の源泉であると位置付ける。

 CXトレンドレポート 2026年版では、(1)メモリーリッチAIへの投資が真のパーソナライズを実現する鍵に、(2)AI搭載のセルフサービス型サポートが消費者の即時解決ニーズを拡大、(3)マルチモーダルサポートでチャネルをまたぐ体験をひとつに、(4)プロンプトベース分析が切り拓くAI時代のCX指標と意思決定、(5)AIの判断理由と透明性に対する消費者の要求の高まり――の5つをトレンドとして発表した。

2026年のトレンド
2026年のトレンド

 (1)のメモリーリッチAIとは、「文脈を記憶するAI」という意味。顧客は「同じことを何度も説明させられる」ことに強いストレスを感じており、過去のやりとりや文脈を全て記憶し、継続的な会話ができる「メモリーリッチAI」への投資が、真のパーソナライズを実現する鍵になる。

 (2)は、顧客は丁寧な対応以上に迅速な解決を求めており、CXリーダーの約8割は初回の問い合わせで解決できなければ顧客は離れる」と認識している。日本ではこの傾向がより顕著にあらわれており、丁寧な話し方よりも解決スピードが重視される傾向にある。そのため、24時間365日対応可能なAIセルフサービスが標準になりつつある。

 (3)の、マルチモーダルとは、テキスト、画像、音声などを統合して処理する技術のこと。日本のサポート担当者の76%が「マルチモーダルAIエージェントが次の波になる」と期待しており、特に日本の消費者は音声チャネルの利用率が高い。

 (4)は、自然言語で問いかけるだけで、高度なデータ分析結果を数秒で得られるようになるとのこと。ただし、日本においては分析する基盤としてのツールの導入が遅れており、今後の課題と見られる。

 (5)は、消費者の多くが「AIの判断には根拠が必要」と回答しているにもかかわらず、AIが理由を示すことが極めて重要と考えている日本のリーダーは3割程度にとどまっており、消費者と企業の認識に大きなギャップが生じている。

 Zendeskでは、顧客の声(VoC)を経営判断に生かす仕組みづくりの支援は、経営層が求める投資対効果(ROI)を明確にするシステム構築を、アナログプロセスが残る日本企業に寄り添って推進していく方針を示す。

 森氏はAIと人の役割分担に対し、「すでに共存フェーズに入った」とコメントし、下調べや定型処理はAIに任せ、人はより高度な判断に集中するすみ分けが定着しつつあるとした。

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