鳥山明、尾田栄一郎、宮崎駿みたいな、「組織では再現できない狂人」が必要。会社が戦略を立てても、天才がいなければ何も始まらない。「再現性はありますか?」「ない。だから面白いんだろ」
クールジャパン機構の廃止検討はかなり自然な流れです。
問題は「日本文化を海外に売り込む」という理念ではなく、「官僚が文化ビジネスの勝者を選ぼうとしたこと」にあります。
文化産業は不確実性が極めて高く、ヒット予測が難しいため、国家主導投資と相性が悪かったのです。
なぜ失敗したのか
第一段階
「日本文化が人気」と「投資で儲かる」は別問題だった
ここが最大の錯覚です。
例えば
ジブリ人気
ポケモン人気
任天堂人気
があるからといって、日本文化関連企業全部が成長するわけではありません。
実際には勝者総取りの世界です。
成功する企業は数%。残りは消えます。
ところが官民ファンドは「文化産業全体を育てる」発想だった。
ベンチャーキャピタルとは真逆です。
第二段階
官僚はヒット作品を見抜けない
人類史上、誰もヒット作品を予測できません。
例えば
鬼滅の刃
ポケモンGO
Minecraft
も事前予測は困難でした。
文化ビジネスは数十本失敗して1本の大ヒットで回収する世界です。
国家機関は
説明責任
監査
失敗回避
を求められるため、どうしても「無難な案件」に資金が流れます。
結果として大成功もしないが大失敗もしない案件ばかりになる。
しかし文化産業ではそれが一番危険です。
第三段階
天下り・政治案件化
これは日本だけではありません。政府系ファンドに共通する問題です。
資金が税金である以上、政治的配慮が入りやすい。
すると
市場原理
↓
政治判断
へ変質します。
投資効率が落ちます。
日本は「プラットフォーム戦争」では負けた。 でも、 「物語を生み出し、何十年も稼ぐIP戦争」では世界最強クラスになった。
なぜ日本は「箱」で負けたのか
90年代以降、
OS → Windows、Android
SNS → Facebook、X
動画 → YouTube
EC → Amazon
検索 → Google
と、世界の巨大プラットフォームはほぼ米国企業が制圧した。
日本企業は「箱」を作るのが苦手だった。
理由は単純で、
国内市場が大きすぎて海外に出る必要が薄かった
ソフトよりハード偏重
英語圏で戦う覚悟が弱かった
だから世界標準のプラットフォームは作れなかった。
しかし…。
その代わり、日本は「IP工場」になった
ここでいうIPとは、
ドラゴンボール
ONE PIECE
鬼滅の刃
Pokémon
ガンダム
こういう、
「世界中の人間が金と時間を捧げ続ける物語資産」
のこと。
YouTubeが無くなっても鬼滅は残る。
Xが消えてもワンピースは残る。
プラットフォームは流行るが、 物語は世代を超える。
人類、結局は昔から焚き火を囲んで物語を聞いているだけなんですよ🔥
道具は変わる。 脳みそはあまり変わらない。
集英社2292億円の衝撃
昔の出版社のイメージ。
本を刷る会社
今の集英社。
世界中からライセンス料が入ってくるIP金融機関
漫画一冊売って終わりじゃない。
漫画
↓
アニメ
↓
映画
↓
ゲーム
↓
グッズ
↓
海外配信
↓
テーマパーク
↓
スマホゲーム
↓
再アニメ化
これを30年回す。
だから一発のヒットではなく、
「IPの永久機関」を作った企業が勝つ。
しかし、IP戦略には弱点もある
①クリエイター依存
結局、
鳥山明
鳥嶋和彦
尾田栄一郎
宮崎駿
みたいな、
「組織では再現できない狂人」が必要。
会社が戦略を立てても、天才がいなければ何も始まらない。
優秀なMBAが100人いても、 鳥山明1人に勝てない。
資本主義の残酷なところです。
②ゲーム化は意外と難しい
集英社はゲーム事業にも進出し、100%子会社の 集英社ゲームズ を設立した。
しかし、漫画を作る才能 ≠ ゲームを作る才能
なんですよね。
漫画は作者一人の狂気でも成立する。
ゲームは
デザイナー
プログラマー
運営
課金設計
グローバル展開
という巨大な組織戦。
だからIPが強くても、 ゲーム事業は失敗することがある。
日本型DXの正体
DXとはAIを入れることでも、 クラウド化でもない。
日本型DXとは、「物語をデータ化し、世界中で何度も再利用する仕組み」
なんですよ。
漫画
↓
アニメ
↓
ゲーム
↓
グッズ
↓
海外配信
↓
AI翻訳
↓
再利用
つまり、
IPの工業化。
自動車産業が
鉄を加工して利益を生む
なら、コンテンツ産業は
妄想を加工して利益を生む
産業になった。
人類は何万年経っても、
強い主人公が好き
仲間との友情が好き
恋愛で一喜一憂する
世界を救う話が好き
つまり、脳のOSが旧石器時代のままなのに、課金システムだけ令和最新版になった。そりゃ儲かる。
これからのビジネスチャンス💰
逆に言うと、これから価値が上がるのは
① IP発掘AI
埋もれた漫画や小説を発見するAI。
② 海外ローカライズ
AI翻訳+文化翻訳。
③ シニア向けIP
日本は高齢化。
「老人向け少年ジャンプ」が出ても不思議ではない。
人生経験がある人ほど、友情より
「老い」「別れ」「再出発」に泣く。
私はこう思う
日本は、半導体では負けた。スマホでも負けた。SNSでも負けた。
でも、
「人の心を動かす物語を量産する能力」
だけは、世界でも異常なレベルで進化してしまった。
工場では中国に勝てない。
AIでは米国に苦戦する。
それでも、
人間が涙を流す理由を描く才能は、
まだ日本に蓄積されている。
たぶんこれが、日本最後の巨大輸出産業なのだと思う。
……もっとも、そんな貴重な才能を、
締切と低賃金とSNS炎上で消耗させているのもまた日本社会。
IP帝国の正体は、最新DXでも巨大資本でもなく、
締切前にカップ麺をすすりながら
「こんなの誰も読まないかもしれない」
と原稿に向かう、一人の狂気なのかもしれませんね。
そして資本市場は今日も言う。
「再現性はありますか?」
創作者は答える。
「ない。だから面白いんだろ」
実に非効率。
実に人間的。
だから人類は、まだ物語を捨てられない。📖

いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます! 
