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本当に久しぶりに指紋認証ができた。うれしいよりも、ちょっとびっくりした。

 梅雨があるかないかわからないうちに、夏になったようだ。

 とても暑いというよりも、空気の質感が変わったような気がするが、それでもエアコンの温度設定は、冷房時でも29度くらいで、それもしばらく経つとなんとなく寒くなってくるので、スイッチを切る。

 それから時間が過ぎて、またさすがに暑くなってくるので、冷房を入れる。

 そんな話を何かの拍子に、暑がりの人にすると、嫌がられる。29度は冷房とは言わないのではないか、といった指摘をされるが、真夏日が当たり前になった最近の夏であれば、立派に冷房だと思うのだけど、と弱い反論をしたり、しなかったりする。


手湿疹の季節

 昨年の秋から冬にかけて、手がかゆかったり、あれたり、ひどい時には、全部の指にアカギレができた。

 若い時は、食器洗いの時に、素手でどれだけ洗っても平気だったのに、それができなくなった。皮膚科に何度か行って、それで薬をもらい、寝るときは白い綿の手袋をするような、手モデルのような生活(何かで知った薄い知識ですが)をしていたのに、なかなか良くならなかった。

 春になったら、よくなりますよ、と皮膚科の医師にも言われていて、だけど、暖かくなってきても、肌があれる感じは治らなかった。

 自分としては生まれて初めて、これだけ手肌の手入れをして、手袋をして寝て、寝ている間に、その手袋がどこかへいってしまい、探して、さらにはいくつか購入して、洗っては干して、というような新しい手間が増えた。

 アカギレは痛くて、ものを握るのがちょっと怖くなったり、だか実質的に握力が弱くなっていたのだけど、春が過ぎ、梅雨になる頃には、やっと痛みは無くなってきた。皮膚科には行かなくなった。

 それでも、肌はあれ、ハンドクリームや、薬用という文字が入ったクリームを塗り続ける日々は続く。

 これはアカギレも含めて手湿疹という症状らしい、と皮膚科の医師から聞き、アカギレもその一種らしいが、何かに触りましたか?は終始言われていたが、それについては、心当たりがないままだった。

 それでも、日常生活では、あまり支障がなくなったが、手の指が微妙に太くなったような、何かに薄く覆われているような感覚は続いた。

 なんなのだろう。

 そういう不安もあったが、でも、見た目の荒れが減ると、すこしずつ気にならなくなってきていた。

コンピュータと指紋認証

 ずっと携帯もスマホも持っていないのだけど、ノート型のコンピュータは使っていて、だから、こうして文章を書いてnoteに投稿を続けられている。

 それも、1999年にマックのパワーブックG3を購入してから、ずっとアップル社の製品を使っているのは、最初にコンピュータの操作を覚えようとしたときに、身近で教えてくれる人が、マックを使っていたからだ。

 それから、あまり操作が上手くもならないままだけど、急に画面が真っ暗になってハードディスクが壊れたり、さまざまなサイトにアクセスができなくなって、Yahoo!ニュースも見られなくなった時に、何台か買い替えたりしてきた。

 そして、今使っているのは2019年からだけど、この機種になってから初めて指紋認証を使うようになった。自分の右手の人差し指をキーボードの右隅の電源のスイッチでもある黒い小さい四角に触るというよりも、もう少し強くあてるというような動作をすると、それまでの画面が変わったり、パスワードの確認もしてくれていた。

 ときどき、セキュリティの確認のために指紋認証を求められることもあったが、ほとんど言いなりに指を押し当てていた。

 それが、昨年、手湿疹になってから、指紋認証ができなくなった。

 アカギレがひどい時は、肉眼で見ても、指先の状況が変わっているのはわかるから仕方がないと思えたけれど、それから一生懸命、治療のための塗り薬を塗り続け、手袋をして眠って、の生活をして、何より季節が変わったことで、見た目には平常時になっているのに、何度、人差し指をキーボードのキーにあてても、細長い四角い場所は震えて、受け付けてくれないままだった。

 だから、ずっとパスワードを打ち込む作業を続けていた。

 それほどキーボードを打ち込む速度も早くないから、指紋認証を使う時に比べて、この秋から冬、春から梅雨にかけて、どれくらいの時間が余計にかかったのか、とも思う。

 そして、時々、指紋認証を試した。

 でも、画面の下の方の、細長い小さい四角は、拒絶感を表現するように細かく、でもはっきりと震えるだけだった。

 指紋認証を試す。拒絶される。パスワードを打ち込む。

指紋認証ができた

 その行為も随分と数を重ねた。

 その試す作業も、一種の惰性になっていた。だから、期待も小さくなるだけで、やっぱり、と確認するような気持ちの流れも習慣化されていた。

 夏になった、その日も、ふと思い立って、キーボードの右上段の小さい四角に人差し指を当てた。

 画面が変わった。

 指紋認証ができた、ということになる。

 うれしいよりも、ちょっと驚く。

 それよりも、たまたまではないかという疑いが強いのは、これまで、拒否され続けてきた半年以上があったからだ、と思う。

 次の機会に、また右手の人差し指をあてる。

 指紋は認証される。

 大丈夫だろうか。

 それから、うれしいというよりも、大げさかもしれないが、微妙にあった緊張感が抜けたような、トンネルがやっと終わったような、ホッとした気持ちの方が強く、さらには急にまた拒絶されるような恐れのようなものもずっとある。

 まずは、今、ちょっと指の付け根のあたりが、時々、かゆいような気もするので、ずっとハンドクリームは使うようになってきているが、手のコンディションには、改めて気をつけようと思う。

 これから夏が過ぎて、秋になって、冬を迎える頃になっても、指紋認証を使えることも、小さな目標の一つになった。そんなことを思うと、自分が、実は、もう2度と指紋認証を利用することができないのかもしれない、とひそかに覚悟していたことにも、気がついたりする。

 とりあえず、よかった。今は、すこし喜んでおこう。






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