無印良品週間の日に知った、誕生日クーポン終了のお知らせ
レジの前で、無印のアプリを3回閉じた。
画面の中で2月生まれを探す。
ない。
お誕生日クーポンが、どこにもない。
スクロールする。
どこや。
戻る。
ないやんけ。
ログイン状態を確認する。
何度見てもポイントが0のまま。
いや、そんなはずないやろ。
去年まで、たしかにいた。
500円だけ味方してくれる、小さな制度が。
店員さんは静かだった。
後ろの人も静かだった。
静かでないのは、自分の頭の中だけだった。
この沈黙の中でだけ、500円の存在がやけに大きい。
少し嫌な予感がして、その場で検索する。
──昨年8月で終了。
終わっとった。
半年前に終わっていた。

2月22日生まれ。
猫の日で覚えられやすい。
ただ、無印は去年の8月で忘れていた。
正月が終わり、バレンタインデーが過ぎ、
世の中がちょっと落ち着いた頃にやって来る。
無印からの500円は、毎年ひっそり楽しみにしていた。
今年も当然あるものとして待っていた。

今日から無印良品週間。
10%オフ。
そこへ誕生日クーポンも重ねるつもりだった。
今日は制度に愛される側だと思っていた。
収納ケースだけ買う予定だったのに、気持ちが少し緩む。

不揃いバウムを3本。
桜。
メープル。
チョコがけショコラ。
季節限定が一本入った時点で、理性はだいたい終わっている。

レトルト棚でも足が止まった。
ハンバーグの入ったデミグラスソースカレー。
ちょっとお高い。
だけど、今日はクーポンがある。
そう思って迷わずカゴに入れた。
ついでにマドレーヌも入れた。
カゴの中だけ、まだお誕生日クーポンが生きていた。
でも現実は違った。
その世界線は、去年の8月で静かに終わっていた。
誕生日特典がひとつ減るたびに、少しずつ歳を取っていく。

結局、全部そのまま買った。
必要だったことにした。
収納ケースだけの予定だった人間とは思えないレシートになった。
不揃いバウム一本ぶんだけ、
まだ心が納得していない。
桜を戻せばよかった気もする。
過去に戻った姿を想像してみた。
あの棚の前でもう一度やり直しても、また桜を選ぶだろう。
クーポンは消えていたのに、
桜だけは今年もちゃんと並んでいた。
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