お餅はなんぼ食べても太らない!最強のダイエットフードや😏
「お餅は腹持ちがいい」と、昔からまことしやかに言われている。けれど、我が家の台所で起きた事件を見るかぎり、その説はかなり怪しい。1.8kg、36個入りのお餅が、三日も経たずに姿を消したのである。これはもう食品ロスではなく、食品ミステリーだ。現場には空になった袋だけが残され、犯人は白い粉を吹いた顔で「知らん」と言っている。
いちおう取り調べはした。朝はおしるこで四個、昼は砂糖醤油で四個、おやつにきなこで四個、夜にまたおしるこで四個。合計十六個。刑事ドラマなら、ここでベテラン刑事が静かに手帳を閉じる場面である。犯行は計画的だった。しかも本人に自覚がないぶん、たちが悪い。
お餅は、見た目がずるい。小さくて白くて、いかにも無害そうな顔をしている。焼けばぷくっと膨らみ、焦げ目をつけて「ちょっとだけですよ」と近づいてくる。砂糖醤油をまとえば屋台の顔になり、きなこをかぶれば健康食品のふりをし、おしるこに沈めば正月の親戚みたいな安心感を出してくる。だが、一度箸を伸ばせば終わりだ。外はサクッ、中はトロッ、胃に届く前にもう次を焼いている。

成分表示を見ると、一個あたり約百九キロカロリーらしい。四個で四百三十六キロカロリー。一日十六個食べても千七百四十四キロカロリー。なんや、成人男性の一日分にも届いてへんやん。ここで私の中の栄養士が白衣を着て「小豆は食物繊維、きなこはタンパク質。砂糖醤油は……心の栄養です」と囁いた。
お餅はなんぼ食べても太らない。むしろ、食べ方によっては完全栄養食に近いのではないか。私はだいぶお餅側の弁護士になっている。
ただし問題は、腹持ちではなく財布持ちである。1.8kgで約千円。一日で約五百円ぶん消える。安いようでいて、理性が負けるとコスパが悪くなる。お餅は家計に優しい顔をした、白い詐欺師なのだ。
それでも次に買うとき「今回は二個ずつにしよう」と誓う。そして焼き網の上でぷくっと膨らむ白い容疑者を見ながら、追加で四個焼くのである。腹持ちは知らん。証拠隠滅だけは、めちゃくちゃ早い。

⬅️ 前話はこちら:謳い文句に騙される✨
↩️ シリーズ序章:期間限定?アレンジ?やっぱ定番やろっ❣️
