さよならスパチキ🍔|終売する前にパティ倍でお別れの晩餐😋
スパチキが売り切れ次第、販売終了らしい。最後に食べたのはいつだっただろう。思い出そうとしても、記憶の引き出しから出てくるのはビッグマックの堂々たる姿ばかりである。
マクドに行けば、まず大正義ビッグマックが玉座に座っている。その横では期間限定バーガーが派手な衣装で踊っている。そんな宮殿のすみっこで、スパチキはずっと庶民派の顔をして立っていた。

終売が発表されたとき、ネットでは「スパチキのないマックなんて」と惜しむ声が並んでいた。気持ちはわかるが同時に耳が痛かった。なくなると聞いてから大切だった気がしてくる現象は、人の得意技である。
部屋の片づけをしていて、何年も読んでいない本を捨てようとしたときだけ「まだ読むかもしれない」と言い出す、あの情けない心の動きに似ている。スパチキもきっと、私の中ではハンバーガー界の古雑誌だった。

それでも、最後に一度くらいは会っておこうと思い、アプリで販売店舗を確認した。危うく期間限定のN.Y.バーガーズに吸い寄せられそうになったが、今回は別れの席である。新しい恋に目移りしている場合ではない。私はスパチキを、せめてもの礼儀としてパティ倍で注文した。

包み紙を開けると、そこには記憶より少し小さく、しかし知らないわけでもない顔があった。ひと口食べる。辛い。うまい。けれど、涙が出るほどではない。「これこれ!」と叫ぶほどでもないし「なんで今まで食べなかったんや」と後悔で崩れ落ちるほどでもない。ただ「ああ、こんな味やったな」と思った。久しぶりに会った元同級生と、近況を二、三言交わして、それ以上話が広がらない感じである。

スパチキは私にとって主役ではなかった。でも、店のメニュー表にいることで、どこか安心していたのだ。選ばれなかった者は、ある日そっと舞台袖にはけていく。私はそのときになって、拍手を忘れていたことに気づくのである。
さよなら、スパチキ。私はきっとまた、何かが終売になるたびに同じ顔をして、最後の一個を食べに行くのだろう。そして包み紙をたたみながら、勝手なことを言うのだ。
マクドよ、スパチキのことは見送る。だけど、ストローだけは舞台袖に下げんといてくれ。

※ スパチキソースの作り方
シラチャーソース:大さじ2
マヨネーズ:大さじ1
ケチャップ:大さじ4
はちみつ:小さじ1/3
⬅️ 前話はこちら:恵方巻き👹
↩️ シリーズ序章:期間限定?アレンジ?やっぱ定番やろっ❣️
