銀河フェニックス物語<出会い編> 第七話(10) 真っ赤な魔法使いはパズルもお得意
<第七話のあらすじ>
顧客のジョンソンは船の購入についてパズルで決着をつけようと提案した。パズルを先に解いたのはアーサーだった。勝敗はジョンソンが付ける芸術点が左右する。(1)~(9)
わたしたちは、ジョンソンさんがパズルを解き終えるのを待った。
先にパズルを解いたのはアーサーさんだ。
ジョンソンさんはどんな判断をするのだろう。
魔法使いはにこやかな表情を見せていたけれど、目は笑っていなかった。
研究所のスペシャルコンピューターがスピード勝負で負けるとは思っていなかったに違いない。
*
ジョンソンさんが解答を書き終えた。
満足そうな顔をしている。
「本当にみなさんありがとう。パズルは僕の人生なんだけれど、このところ、マンネリというか、パターンが読めてしまって、行き詰まりを感じていたんだ。だけど、きょうは新しい世界を見ることができた。どちらの問題も素晴らしかった」
そこで、ジョンソンさんは一息入れてわたしたちを見回した。
「甲乙つけがたいんだけれど、あえて、勝敗をつけるとすれば、僕はクロノスさんに軍配を上げたい」
「え?」
わたしと魔法使いが、同時に驚きの声をあげた。

「僕はクロノスさんから船を買うよ。あの三角形パズルの美しさは、キンドレール数学賞ものだ」
「そ、そんな」
肩を落とす魔法使いにジョンソンさんが声をかけた。
「ギーラルさんの問題はこれまでのラーニングから生まれた、まさに英知の結集という最高傑作だった。でもね、クロノスさんのパズルはその枠を超えていた。脳の深いところから刺激を受けたんだ。素晴らしい。人知を超えるパズルだ」
そう言ってジョンソンさんはアーサーさんの手をしっかと握った。
「お褒めいただき、ありがとうございます」
アーサーさんははにかみながらその手を握り返した。

魔法使いと戦う武器を全く持っていなかったわたしに、最終兵器が大逆転をもたらした。
「きょうはこの感動の余韻に浸りたいから、契約はまた後日にお願いするよ」
とジョンソンさんが言った。
一抹の不安を感じたけれど、正式な手続きはあらためて行うことになった。
*
ジョンソンさんの家を出てエアカーの助手席に乗り込んだわたしは、後部座席のアーサーさんに頭を下げた。
「本当にありがとうございました。アーサーさんのおかげです」
隣の操縦席のレイターが不満げに口をとがらせた。
「おいおい、こいつを連れてきたのは俺だぜ」
「そうだっけ」
ちっ、レイターが舌打ちしながらエアカーを発進させた。
フェニックス号が停めてある公共駐機場へと向かう、その時。
「おい、何か変だぞ?」
レイターが緊張した声を出してエアカーの速度を上げようとした。
それを後部座席からアーサーさんが止めた。
「レイター、一旦スピードを落とせ」

「あん?」
加速が緩む。
次の瞬間、窓の外が光った。
「馬鹿野郎!」
レイターが叫びながらアクセルを踏んだ。
急加速で思いっきりGがかかり、シートに身体が押し付けられた。と、
ダダダダダーン。
背後から大きな爆発音。
衝撃がエアカーを襲う。
レイターが必死にハンドルを押さえてエアカーの振動を防ぐ。
外は爆風が吹き荒れている。
な、何? 厄病神の発動? (11)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」