銀河フェニックス物語<出会い編> 第七話(11) 真っ赤な魔法使いはパズルもお得意
<第七話のあらすじ>
アーサーが作成したパズルに感動した顧客のジョンソンは、宇宙船をティリーから買うことを約束した。その帰り道、エアカーを突然爆発が襲った。厄病神が発動したのか。(1)~(10)
衝撃がおさまったところで、レイターがエアカーを停車させた。
振り向くと砂煙が舞い上がっている。
「アーサー、てめぇ」
怒っているレイターを無視してアーサーさんは腕につけた通信機に話しかけた。
「カルロス、どうだ?」
軍服を着た若い男性の姿が浮かび上がった。

「成功です。敵のアジトも割れました」
「よし、後は任せる」
「了解しました」
アーサーさんは通信機のスイッチを切るとわたしを見てにっこり笑った。
「もう、安全です」
もう、安全って、アーサーさんは爆発をわかっていたということ?
「カルロスさんって誰ですか?」
わたしの疑問にアーサーさんが答えた。
「将軍家付きの秘書官です」
「ポチだよポチ、将軍家の下僕。で、アーサー、説明してもらおうじゃねぇか。何だよあの爆発は?」
かみつくようにレイターが言った。
「道路に穴が空いてしまったな。反連邦の過激派組織による砲撃だ。最近、彼らが私の命を狙っているという情報が入ったんだ」
え?
「そういうことは先に言え!」
アーサーさんが平然とした顔で続けた。
「私が、軍用車で移動しているからか、動きが止まっていてね」

「それで、あんた、囮になって俺のエアカーに乗ったところを狙わせたってことかよ」
「彼らが動いたお陰で敵のアジトも突き止められた。感謝するよ」
この人は銀河一の天才軍師だった。
「俺を利用しやがって」
「お互い様だろ」
「ティリーさんが乗ってんだぞ」
「銀河一の操縦士であるお前の運転なら大丈夫だと思ったからだ。ただ、焦ったぞ」
「何がだよ?」
「お前が不穏な気配に早く気付き過ぎて、敵が撃つ前に加速しようとするから、私が立てた作戦が失敗するんじゃないかとヒヤヒヤした」
アーサーさんが笑った。
ああ、それでレイターに「スピードを落とせ」と言ったんだ。
レイターが苛立った声で言った。
「俺は朝からずっと違和感を感じてたんだよ。このせいかよ。くっそー」
何だろう、この二人のやりとり。
命を狙われているという話なのに、まるでスポーツ談義のような軽いノリ。
わたしにはついていけない世界の人たちだ。
*
本社でベルが喜んでくれた。

「よく、ハールとの戦いでわたしの仇を打ってくれたね、しかも魔法使い相手に」
「まだ、正式には契約してないけどね」
「一体、どんな手を使ったの?」
「最終兵器というか」
「最終兵器?」
これはちょっとベルにも言えない。
*
課長には信じられないという顔をされた。
「契約できたのか?」
「い、いえ、まだですけど。アラマットを購入したいとおっしゃっていまして」
「何、のんびりしてるんだ。早く作業を進めないと。敵は魔法使いだぞ!」
「は、はい」
あわてぶりを見ていて思う。課長はわたしが魔法使いに勝つなんてみじんも思っていなかったのだろうな。
けど、その分、気持ちが良かった。
*
そして、わたしは再度アポイントを入れ、フェニックス号でジョンソンさんの自宅へ向かった。
リビングでジョンソンさんと向かい合って座った。ここへ来るのも三度目だ。慣れてきた。
「こちらが、契約書になります」
バッグから契約ボードを取り出す。
契約書を見た瞬間、ジョンソンさんが首を捻った。
「う~ん」
明らかに様子がおかしい。不安になる。
「これじゃないんだよね」
心臓がドキンとなった。 最終回へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」