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銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十話(3) 修理のお礼は料理です

第一話のスタート版
第三十話(1)(2

「あん?」
 レイターはねじをくわえたまま、チラリとわたしの顔を見た。

n27レイター振り向き大人ねじカラー

 そして、視線を手元に落とすと、何も答えず作業を続けた。意識的にわたしの質問を無視した。
「ちょっと、気になるじゃないの」

 裏蓋をはめながらレイターがつぶやくように言った。
昔のことさ

 『愛しの君』の姿が頭に浮かんだ。

n202フローラ正面カーデ@微笑

「フローラさん?」
「・・・・・・」
 レイターは答えなかった。

 間違いない、当たりだ。
 さっきレイターが優しい表情をしていた。
 だから、彼女のことに思い当たった。

 フローラさんは、レイターの前の彼女。『愛しの君』と呼ばれている。アーサーさんの妹で将軍家のお嬢さまだ。七年前に亡くなったという。

 レイターは、婚約していたという彼女のことを今も愛している。

フローラ結婚写真

 先日、レイターと彼女が暮らしていた月の御屋敷に出かけて、そのことを強く確信した
 わたしには関係ない。

 なのに、なんだろうこの不快感。 

「ほら、直ったぜ」
 レイターが壁面にパネルをはめ込んだ。

「レースチャンネルを映して」
 ホストコンピューターに話しかけると、モニター画面が起動し、きょうのレース映像が映し出された。

 見違えるように画像が美しい。それだけじゃない。
「あれ? 音が違う」

「あんた、折角のサラウンドシステムをなんで使わねぇんだよ」
「そんな機能がついてるなんて、知らなかった」
「マジ?」

 レイターは部屋の家電に触りはじめた。
「ったく、もったいねぇなあ」

 わたしはリビングとつながったキッチンで、二人分のポトフを温めた。
 ジャガイモ、にんじん、玉ねぎ、キャベツをざくざく切って入れただけ。安いインスタント食品だけれど、香りがいい。料理が苦手なわたしの強い味方だ。

 このクイックレシピのポトフが、修理の料金というのは悪い気がしてきた。電気屋さんの見積もりは結構、高かったのだ。

 RRRRR
 通信機が鳴った。

 調理機を止めて、リビング側で受信する。
 同期のベルからだった。卓上モニターに映る表情が真面目だ。察するにこれは仕事の話。
「ティリー。今、時間ある? 休みのところごめん」

n42ベル3sカラータートル眉怒り

「えっと、あると言えばあるけれど・・・」
 ちょっと言葉を濁す。

「あら、お客さん?」
「お客さん、と言えばお客さんだけど・・・」
 ベルの通信に気がついたレイターが、モニターの前にやってきて手を振った。

「は~い。ベルさん」
「あら、レイターだったの」
「これからティリーさんの手料理を食べるところ」
「ごめん、明日の仕事の話を、ちょっとだけティリーとしてもいい?」
「どーぞどーぞ」 

 ベルは、明朝予定されている会議の話を始めた。わたしも参加する予定の会議だ。ベルのクライアントは随分と難題をふっかけてきていた。
「代替案を示せってうるさいのよ。だから、ティリーも提示できることを考えて、援護して欲しいの」
「わかったわ」
 会議は紛糾しそうだ。

「あの客、こんな休みの日まで連絡入れてきてさあ、最低だよ」
 ベルが話す内容の大半は愚痴だった。

 わたしとベルが通信をしている間、レイターがキッチンで何かしていた。
 冷蔵庫を開ける音がする。勝手にのぞかないで欲しい。

忍者ティリーワンピ

 電気屋さんが来ると思って部屋はきれいにしたけれど、さすがに冷蔵庫の中までは気が回っていない。     (4)へ続く

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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」