銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十五話(2) わたしをバトルに連れてって
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バトル会場となるアステロイドのC3に到着すると、すでにギャラリーがたくさん集まっていた。
通信モニターに紫の前髪の男性が映った。驚いた顔でわたしたちを見つめる。

「レイター、お前、きょうのバトル、助手席に人を乗せて飛ばすのか?」
「あん? アレグロ、そうだぜ」
アレグロと呼ばれた人は、どうやらギャラクシー連合会の関係者のようだ。
わたしが乗ると船が重くなって不利だ。「大事な一戦に、ふざけたことをするな」と怒り出すんじゃないだろうか。
「それは、よかった」
意外なことにアレグロさんはほっとした顔を見せた。
「お前は裏将軍の頃、いつ死んでもいい様に人を乗せなかったからな。二人乗りだと俺は安心するよ」

「レイターは病んでた。あの頃、彼は死んだら彼女に会える、って滅茶苦茶な飛ばしをして、船に乗ったまま死にたがってた」
裏将軍時代の恐ろしい飛ばしの動画が頭に浮かぶ。
レイターは死に場所を求めて船を飛ばしていたのだ。
フローラさんの後を追おうとして・・・。

ちらりとレイターの表情を見る。
「あんた、いつの時代の話してんだ。じじくせぇな。俺はきょう、御台の代打ちなんだろ」
「恩に切るよ」
いつもと変わらない様子にほっとする。
「ティリーさん、こいつがギャラクシー連合会の総長、アレグロ・ハサムさ」
総長さんとは意外だった。アレグロさんの話す様子は紳士的で、荒くれた飛ばし屋を率いるというイメージと違う。
「初めまして。ティリー・マイルドです」

「アレグロです。ティリーさんのことは御台から話を聞いてます。きょうはよろしくお願いします」
一瞬、焦った。ヘレンさんはアレグロさんにどんな話をしたのだろうか。気になる。
アレグロさんがレイターに言った。
「白魔は御台と対戦できないことに激昂している。今日は白魔の希望で大将戦のみだ」
「そりゃ負けられねぇな。御台に怒られちまう」

大将戦のみということは、レイターが白魔に負けたらギャラクシー連合会の旗が取られて、ホワイトブリザードの傘下に入るということだ。
レイターが負けることはないと思うけれど、レースは何が起こるかわからない。宇宙塵が当たることだってあるのだ。
*
白魔の船は一目でわかった。
真っ白なマウグルア。ライバル社ギーラルの小型機だ。
「噂は本当だな。白魔の船、よく手入れされてる。相当な使い手と見た」
レイターは目を細めた。速い相手と対戦できるのがうれしくて仕方ないと言った表情だ。
スタート地点に着く。白魔のマウグルアが隣に並んだ。
白魔が通信を入れてきた。モニターに顔が映る。
名前の通り白い。肌も、髪も、服も。前髪に入った一筋の赤いメッシュだけが際立っている。

わたしと同じ年ぐらいだろうか。まだ、若い。
透けるような白い肌を真っ赤にして怒っていた。
「オレは御台所とバトりたかったんだ。御台所め逃げたな。オレと対戦しなかったことを後悔させてやる」
レイターがわたしに顔を寄せて小さな声で言った。
「御台は大人気だな。今や飛ばし屋ナンバーワンだもんな」
白魔がわたしたちを見て、さらに怒りを募らせた。
「助手席に女を乗せて飛ぶ気か! オレを、オレをなめてるのか」
「そう怒るなよ。俺は人を乗せて飛ぶのが好きなんだ」
わたしの頭にレイターが軽く手を置いた。温もりが伝わる。

胸の鼓動がトクンと音を立てた。
「今から負けた時の言い訳かよ」
「あんたの言い訳はバトルの後で聞いてやるぜ」 (3)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」