銀河フェニックス物語<出会い編> 第五話(12/25) 今度はハイジャックですって?!
<第五話のあらすじ>ハイジャックされた超豪華客船『カシオペア』では純正地球人であるレイターの公開処刑が始まり警護ロボが襲い掛かった。ティリーは目を閉じようとした (1)~(11)
駄目だ逃げちゃ。わたしに何ができる?
「乗客の皆さまは動かないでください」
オグリースのスプレー銃はわたしたちの方を向いている。
「おっととと」
警護ロボットに殴られそうな瞬間にレイターが身をかわす。
危ない! 警護ロボの動きが加速する。
レイターの背後に一台が回り込んだ。
「レイター、後ろっ!」
わたしは叫んだ。後ろから警護ロボがレイターの腕を掴んだ。と思ったらスルリと抜けた。まるで手品みたいだ。
「サンキュー、ティリーさん」

そんなことを言っている場合じゃない。
逃げ場がないのだ。気が付くとレイターは二台に挟まれている。
ザッツ。
背中側のロボが素早くレイターの両肩をつかみ、羽交い絞めにした。レイターの動きが封じられた。
絶体絶命だ。もう一台が殴りかかる。
レイターが死んじゃう。
「やめてぇっ!」
わたしは叫んだ。
と、次の瞬間、訳の分からないことが起きていた。
レイターを殴ろうと警護するロボの動きが止まった。警護ロボを給仕係のロボットが背後から抱えて引っ張っている。
艶やかな黒髪。

「キョウコ、ありがとよ」
レイターが笑った。そうだ、キョウコだ。と思ったその時、
ピピピピピーーーーーーーーー。
緊急警報音が船内に鳴り響いた。
ダ、ダダーン。
「キャアー」
カシオペアが大きく揺れた。
*
中央船室の照明が付いたり消えたりしている。
ティリーは顔を上げた。カシオペアはガタガタと振動を繰り返している。焦げ臭いにおいがした。煙が漂っている。壁に穴が空いていた。
シートベルトのおかげでケガはない。
レイターはどうなったのだろう。モニターを見る。
煙でぼやけた画面の真ん中に人影が見える。
レイターがキョウコにつかまって立っていた。良かった。
二台の警護ロボは倒れている、というか転がっている。一体何があったの?
*
「バカな!民間船を砲撃するとは」
カシオペアの警備室でアリオロンの工作員ライロットは叫んだ。

椅子から投げ出されたライロットは服を払いながら立ち上がった。
銀河連邦軍か。あり得ない。民間船を砲撃するなぞ。
幸いバリアを貫通せず物理的被害は無いようだ。
中央船室のモニターを見るとレイターフェニックスは女性型ロボと立っていた。警護ロボは床に転がっている。
警護ロボのリモート制御が切れていた。一体何が起きた。
あと少しでレイターフェニックスの息の根を止められたのに。
砲撃は一発で終わった。再度攻撃してくる様子はない。
中央船室の映像を少し前に戻して再生する。
レイターフェニックスを警護ロボが背後から捕まえた。もう一台が殴りかかる。ここで殴られていればあの男は死んだのだ。そこへ女性型給仕ロボが邪魔に入った。
なぜ、この女性型ロボに我々のリモート制御が効いていない?
そして、警報が鳴り響き、カシオペアへの砲撃。
衝撃で映像が乱れる。
迂闊だった。レイターフェニックスは銃を持っていた。
彼が警護ロボットの前に立っても平然としていたのは銃を持っていたからか。
一瞬の出来事だった。
スローにしないとわからない速撃ち。
砲撃で揺れた瞬間、レイターフェニックスは上着の内ポケットから銃を抜いた。中央船室の入り口近くの壁内にスタッフロボのコントロール系統が走っている。彼はそこを正確に撃ち抜いた。
警護ロボが制御を失って転がる。
そして、レイターフェニックスは誰にも気づかれない速さで銃を懐へしまった。わずか二秒の出来事。
彼は銃を使う時機を慎重に見計らっていたのだ。
武器を持っていることを反ス連に知られないために。
オグリースたちはやはり素人。武装解除を怠ったな。
警護ロボだけではない、スタッフロボはすべて制御が切れている。
各所モニターを見る。調理場ではコックロボが、医務室には看護ロボが転がっていた。
ふむ。この流れはよろしくない。 (13)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」