銀河フェニックス物語<出会い編> 第五話(11/25) 今度はハイジャックですって?!
<第五話のあらすじ>超豪華客船『カシオペア』をハイジャックしたオグリースはアリオロン人のミスターRから人質の純正地球人を殺害するよう命じられた。(1)~(10)
オグリースは驚いた。
ミスターRのシナリオでは基本的に一般人は殺害しないはずだ。
「彼は危険分子だ。純正地球人は君たちの敵だろ。公開処刑をすることで君たちの主張はより明確になる」
ミスターRは淡々と警備ロボットの操作を始めた。
「純正地球人、レイターフェニックスを殺害せよ」
オグリースは背中に寒いものが走った。物腰柔らかだったミスターRとは別人のようだ。いや、これが本当の彼なのか。
「大丈夫だ。君たちの手を汚すことは無い。すべては警護ロボットがやってくれる。死体の処理もね」
息を飲むオグリースにミスターRは微笑みかけた。
*
オグリースが警備室を出た後も、ミスターRは笑っていた。

君とこんなところで再会するとは思わなかったよ。
レイターフェニックス、君にはここで死んでもらう。暗殺協定の発動だ。
アリオロン軍の秘密工作員ライロット・エルカービレは低い声で笑った。
*
オグリースは中央船室へ入ると純正地球人の男の前に立った。リーダーの僕がやるしかない。
「レイター・フェニックスさん。こちらへ来てください」
「あん?」
スプレー銃を突き付けながら金髪の男のシートベルトを解除した。
僕は自分に言い聞かせた。
これは革命だ。正義の戦いだ。必要な犠牲なのだ。誰かの命を奪うことを恐れてはいけない。
操縦席と特等座席の間の空間に、二台の人型警護ロボットを死刑執行人として立たせている。
「さて、なんでしょう?」
そう言いながら背の高い純正地球人は前へ出てきた。
「純正地球人のあなたをここで公開処刑します」
「何なのそれ? やめてちょうだい!」

連れ合いの若い女性が大きな声を出した。シートベルトが邪魔で立ちあがれないでいる。
警護ロボは船内では基本的に銃は使わない。だが、鉄のドアすら破壊する警護ロボに殴られたら人間は簡単に死ぬ。
仲間たちもシナリオにない展開に驚いている。
ミスターRが提示したシナリオ。
うまくいけば人質に危害を与えることなく亡命できる。だが、警官隊が突入たり、不測の事態が起きた場合は人質を殺害する。
それを了承した時、僕たちは殺人者となることを覚悟したんだ。
その事実を思い出せ。
それにしてもこの純正地球人、これから処刑されるというのに怯えた様子がまるでない。自分の置かれた立場がわかっていないのか、警護ロボットの能力を知らないのか。
「それでは始めます」
僕の宣言とともに二台の警護ロボが標的の純正地球人へと向かっていった。
彼には僕たちの理想のために生贄となってもらう。
*
後方の三等座席のモニターにも純正地球人と二台の警護ロボットが映し出されていた。
公開処刑か。
縦縞スーツを着たビジネスマンは映像を凝視した。
「それでは始めます」
オグリースの合図とともに警護ロボットが地球人に襲いかかった。
速い。宇宙海賊の襲撃に対応する最新鋭の警護ロボ。
皮肉なものだ。
彼は紙飛行機で『警備ロボットの武装を解除するまで動くな』と警告してくれた男だ。
カシオペアの船内パンフレットを確認したところ警備ロボは三十体搭載されていた。
危なかった。
あそこで蜂起していたら全滅だ。
彼も気の毒に。たまたま純正地球人に生まれたばかりにこんなところで死ぬ羽目になるとは。
*
どうしてこんなことになっちゃうの。ティリーは泣きたかった。

シートベルトが邪魔で前の様子は直接見えない。モニターにはレイターと警護ロボが映っている。
ガシャン、シュッツ。
警護ロボの機械音。
タタッツ。
レイターが逃げる足音。
音はそのまま聞こえる。耳を塞ぎたい、目を閉じたい。 (12)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」