銀河フェニックス物語<出会い編> 第五話(10/25) 今度はハイジャックですって?!
<第五話のあらすじ>超豪華客船『カシオペア』がハイジャックされた。犯人はアリオロン同盟への亡命を要求。ティリーと話すうちにレイターは犯人側の真の目的に気が付いた(1)~(9)
銀河連邦軍の将軍執務室でジャック・トライムス将軍は腕を組み『豪華客船カシオペア ハイジャック事件』の報告書を読んでいた。

この案件には間違いなくアリオロン軍が絡んでいる。
目標は人権委員会の開催だな。このまま帝都のログイオン到着まで手をこまねいているわけにもいかん。
いつでも出動できるようカシオペアの航路周辺に軍艦を待機させた。しかし、銀河警察からの報告では、近くに船を寄せ付けられんという。
ふむ、どうするか。
将軍が小さくため息をついた時、ノックの音がした。
モニターを見ると、黒い長髪を後ろで束ねた息子のアーサーが立っていた。
「入れ」
「トライムス少佐入ります」

いつ見ても息子は落ち着いている。特命諜報部を率いる連邦軍一の天才参謀。
「カシオペアの件で、お諮りしたいことがございます」
「何だ?」
珍しい。アーサーには将軍補佐として権限を与えて任せている。普段はほとんど事後報告だ。
「カシオペアに不穏な動きが見られたので、出港前にレイターを乗せました」
「何? あいつが乗っているのか」
これは話が早い。
「通信妨害されており連絡はつきませんが」
「あいつなら何とかするだろう」
「ハイジャック犯は素人です。レイター一人で制圧可能です」
しかし、ハイジャック発生から三時間が経つ。
「なぜあいつは動かんのだ?」
「レイターが動けば、人質の犠牲は避けられません」
事件の解決か人質の命か。レイターを動かすか否か。アーサーはわしに判断を求めにきたのか。
このままアリオロンまで行かす訳にはいかん。レイターを動かすしかあるまい。
自らの考えを伝える前に、アーサーに聞いてみた。
「お前の考えはどうだ?」
アーサーは躊躇なく答えた。
「カシオペアを長距離からレーザー弾で砲撃したいと思います」
「な、何?」
いつものことだがこの息子には驚かされる。
「将軍の許可をいただきたいのです」
民間の船を連邦軍が攻撃する。これは確かにわしの許可が必要だ。
カシオペアには王族や資産家が乗っている。下手をしたら連邦軍への不信が高まる。
アーサーが説明を続けた。
「カシオペアの自動バリアを破らない程度のレーザー弾を使います。船には相当な衝撃が走るはずですが、ほとんどの乗客はシートベルトの着用を強制させれられおり大きな被害はでないかと」
「それで事件は解決するのか?」
「しません」
解決しない作戦なのか。意味がわからん。
「カシオペアにアリオロン軍秘密工作部のライロット・エルカービレ中佐が乗りこんでいます」
「何だと?」
「レイターはその事を知りませんので、伝えなくてはなりません」
レイターとライロットの間には暗殺協定が結ばれている。二人が出会えば発動し、どちらがどちらを殺害しても罪に問われない。

「あいつの命が危ないぞ」
「ライロットは乗客名簿からレイターのことに気付いているはずです。折角潜入させたレイターが殺されて使えなくなるのは困りますので、こちらからアクションを起こしたいと考えております」
こいつはいつもこういう業務的な表現をする。アーサーだって本心ではレイターのことが心配だろうに。
「わかった、カシオペアへの砲撃を許可する」
*
オグリースをリーダーとする反ス連はカシオペアの警備室を拠点として押さえていた。
警備室の正面にある多数のモニターに防犯カメラの映像が映し出されている。この部屋でカシオペアの船内を把握し、スタッフロボを制御する。
「ここまでシナリオ通りです」
オグリースは警備室の中央監督席に腰かけたミスターRに話しかけた。
「ところがそうでもない、シナリオ外のことが発生した」
ミスターRは硬い表情をしている。
「どういうことでしょうか?」
オグリースは不安になってたずねた。
「君に対処をお願いしたい」
そう言いながらミスターRはモニターを指さした。そこに映っていたのは特等座席に座る金髪の純正地球人。

「彼を殺害する」
「何ですって?」 (11)へ続く
いいなと思ったら応援しよう!
ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」