銀河フェニックス物語<裏将軍編>第一話(6) 涙と風の交差点
・銀河フェニックス物語 総目次
・<ハイスクール編>「花は咲き、花は散る」(1)
・<裏将軍編>第一話「涙と風の交差点」(1) (2) (3) (4) (5)
考えごとの時間が途切れるのは好きじゃねぇ。
「いいなあ、バイトは抜け出せて」
サブリーダーが俺にうらやましそうに声をかけた。
「冗談じゃねぇよ! 俺はもっと続けてぇんだ」
お前が料理を作れ、って言葉が喉まででかかった。
でもやめた。サブリーダーだけじゃない。みんな疲れていらだっている。下手すると喧嘩になる。この俺が頭脳派の連中に腕力で負けるとは思わねぇが、バイトを首になるのは困る。
炊事場で俺は鍋に入ったシチューをかき回した。その時、思いついた。

そうだ、燃料の流れの検証がまだ済んでねぇ。俺は夢中になってメモに数式を書き込んだ。いけるぞ。
おっとっと。鍋が吹いてる。やべ、焦げそうだ。
あわてて調理に戻る。手を動かしながら俺はずっと頭の中で計算を繰り返した。
食事が終わると洗い物だ。
早く議論に加わりたいが仕方ねぇ。
みんなが使った食器を炊事場へ運ぶ。変だ。メモがない。数式を書き込んだメモを冷蔵庫のドアに張りけておいたのに…。別に無くても頭に入っているから問題ねぇが、何だか気分がざらっとする。
そんなことより計算の続きだ。
大量の皿の汚れをふき取りながら暗算する。食器を食洗機に並べ終える頃には、解が見えてきた。これならいける。
俺は議論が続く会議室へと入った。
その瞬間、驚いた。
「あれっ…」
『燃料の流れ』が議題に上がっていた。俺が考えてた数式がモニターに出ている。
サブリーダーが馬鹿にしたように俺を見た。
「あれ、じゃないよ。議論は進んでいるんだ。ルーギアが新しい視点からの提案をしてくれた。君がいない間にね」
俺は何も言わずに末席に着いた。
リーダーのルーギアが無表情で議論をリードしている。

俺のメモの計算通りに。
あいつ、冷蔵庫に張っといたメモを盗みやがったに違いない。でも、ここで騒いでも証拠はねぇ。
俺は発言する気も失せて議論の行方をみていた。
計算はどんどんと進み、俺が導いた解と同じ結論が出た。
「じゃあこの線で改良を進めよう、さすがルーギアだよ」
サブリーダーは議論が収束したことを喜び、ルーギア誉めたたえた。老師もうなずいている。
サブリーダーが俺に声をかけた。
「どうしたレイター、議論を続けたい、とか大口を叩いたくせに、一言も発言しないで。実力の違いがようやくわかったか」
嫌みなサブリーダーのことなんてどうでもいい。俺はさっきから別のことを考えていた。
みんなが計算する様子を客観的に見ていて気がついた。
「まだだ。計算は終わっちゃいねぇ」
「は、何、負け惜しみを言ってるんだ」
「三段目の解析は流動性を網羅できてねぇ」

俺の発言にルーギアが細い目を見開いた。
「グリゴロン解析を使った方が範囲が広い」
「な、何を言い出すんだ」
サブリーダーが慌てている。
「ほお」
老師が感心したような声を出した。
「グリゴロン解析には気づかなんだわ。どれ、三段目に戻って計算をやり直すとするか」 (7)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」