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銀河フェニックス物語<少年編>第十八話(2)身長はいつまで伸びる?

銀河フェニックス物語 総目次
<少年編>第十八話「身長はいつまで伸びるもの」(1
<少年編>マガジン

 格闘技で勝つために練習しても、それ以上に相手が大きくなる。レイターがいらだつのもわかる。
 自分の身長か。いつからだろう。気にしなくなったのは。
 子どもの頃、背が伸びること、大きくなることは純粋に嬉しかった。
 一方で、自分の身長がどこまで伸びるのか不安にもなった。参考になるのは親の身長だが、レイターは両親の背が高かったのかどうかわからないという。
 同じ十二歳か。
 坊ちゃんと比べるのはレイターに酷だ。坊ちゃんは大人の僕より背が高く、運動もできる。そして、大人の誰よりも頭がいい。
 僕たち大人には見えている。坊ちゃんとレイターを比較することに意味がないことを。坊ちゃんもわかっている。
 でも、レイターはそうはいかない。同じ十二歳、として比較してしまうんだろう。なぜ勝てないのか。一生勝てないのか。
 部屋の隅で膝を抱えて座る姿が浮かぶ。
 苦しいだろうな。
 レイターは手足も細く十二歳より幼く見える。一方で精神面は早熟でしっかりしているだけにコンプレックスが強いのだろう。しかも、この艦には坊ちゃん以外は大人しか乗っていない。一癖も二癖もある大人たち相手に必死に背伸びをしているのがわかる。
 いつかこの経験がレイターの将来に役立つことを祈るばかりだ。

 なんて考えていた僕は、基礎格闘技の訓練でレイターに負けた。手を抜いたわけではない。なんとまあ、すばしっこいのだろう。気づくと間合いを詰められていた。突きや蹴りに威力は無いが、とにかく正確なのだ。細かく得点を稼がれた。
 僕は通信士でバルダンの様な戦闘員ではないけれど、ちょっと悔しい。
 バルダンに聞いてみた。
「レイターはこの先、随分強くなるんじゃないかい?」
「ああ、喧嘩慣れしているし、いいセンスを持ってる。あの正確性は武器だ。あいつは自分が思うとおりに身体を動かすことに才能がある」

 僕もそれは感じている。彼の楽器を扱う能力は天性のものだ。
「だが、アーサーには勝てん」
 バルダンが言い切った。
「身体が小さいからかい? これから成長したらわからないんじゃないかな」
「体格の問題じゃない。あいつは努力をせん。そこそこできるから筋トレもサボる、ランニングも適当。あれでは パワーも持久力もつかん。一方で坊ちゃんはストイックだ。人が嫌がる辛い訓練もガキの頃から黙々と続けてきた」
「レイターも好きなことには努力を厭わないけどね」
 操縦訓練やギターの練習は放っておいたらいつまでも続けている。その集中力や持久力は、サボり癖のある人間とは別人のようだ。

「坊ちゃんを一発蹴ることぐらいはできるだろうが、レイターが格闘技で勝つことはないだろな」

 そんなサボリ魔のレイターが筋トレを始めた。きっかけはバスケだった。艦内の運動場にはバスケットコートがある。
 時々有志が集まってバスケを楽しんでいた。背の高いバルダンはその常連で、僕は観る専門だ。

 その日、レイターもゲームに参加していた。
「がはは、チビに触れさすボールはない」
 バルダンがレイターにちょっかいを出している。
「くっそぉ、空中戦かよ」
 レイターは驚くほどバネがある。小さな身体で、あと、少しと言うところまでジャンプをするが、バルダンが阻止する。

 その時だった。レイターのチームのカナリアがボールをカットした。

 カナリアはこの艦の隊員の中で一番背が低い。だが、彼は学生時代にバスケ部だった。
「地上戦だ」
 というが早いか、長身のバルダンの腰の下をドリブルで駆け抜ける。気がつくとゴール下に入りシュートを決めていた。
「くっそー」
 バルダンが地団駄を踏む。

 バルダンは体格の良さと持ち前の運動神経でどんなスポーツもうまいが、本格的な経験者にはかなわない。
 横でレイターが目を丸くしている。
「す、すげぇ」
 ボールがカナリアの手に吸い付いていた。そして、見事なほど正確なスリーポイントシュート。
 カナリアはあれを会得するためにどれほどの努力をしたのだろうか。
最終回へ続く


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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」

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