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銀河フェニックス物語<少年編>第十八話(3)身長はいつまで伸びる?

銀河フェニックス物語 総目次
<少年編>第十八話「身長はいつまで伸びるもの」(1)(2
<少年編>マガジン

 カナリアは戦闘機部隊に所属している。メカニック兼操縦士だ。
 戦闘機で一対一で戦う時の技量は、ずば抜けているという訳では無い。けれど、五対五のような複数機の空中戦で力を発揮した。
 カナリアの撹乱は的確だった。敵と味方の動きを俯瞰でよく見ている。その操縦はバスケの動きに通じている。

「カナリアさま。俺にバスケを教えて下さい」
 試合の後、レイターが深々と頭を下げて頼んだ。
「嫌だ」

 カナリアは子ども嫌いを公言している。
「どうしたら教えてくれますか?」
「お前は筋トレもランニングもしない。身体づくり、体力づくりの出来ていない子どもに教える程、僕は暇じゃ無い」
「ちゃんとトレーニングします。だから教えてください」
 レイターが必死に訴えている。あれは夢を追いかけている時の目だ。
 あいつの夢は『銀河一の操縦士』だ。カナリアの多角的な複眼操縦に憧れている。バスケが上手くなりたいわけじゃない。けれど操縦に繋がるものがあると考えているのだろう。カナリアもそのことに気づいている。
「毎日、腹筋、背筋、腕立て百回、艦内グラウンド二十周走る事だね」
「わかりました」

 レイターが僕たちの部屋に来る回数が減った。空いた時間を使って真面目にトレーニングを始めたのだ。アーサーによると自室へ戻るなり倒れる様に寝ているらしい。

 カナリアの様に敵を捉えて飛ばしたい。その一心が辛いトレーニングを支えるモチベーションになっている。
 一週間続けたところで「嘘つきになるのは嫌だ」とカナリアがレイターの指導を始めた。有名な強豪校出身というカナリアは本格的にシゴいていた。
 レイターは器用で少し教えるとみるみる上達する。僕もそうだったが、指導する側も面白くなって、つい力が入ってしまう。子ども扱いはできない。

「くっそー」
 バルダンが怒りながら部屋に入ってきた。
「レイターにボールをカットされた」
 面白い展開になっている。

 休み時間、観戦に出掛ける。バルダンと坊ちゃんを要するチームと、レイターが対戦していた。
 バルダンへのパス。レイターが長身のバルダンの前で飛び上がる。獲物を狙う猫のようだ。
 叩く様にしてボールを奪う。そして、駆け抜けていく。驚いた。速い。そして、動きが力強い。

 アーサーが追いかける。坊ちゃんは猟犬のようにレイターを追い詰める。レイターは間一髪でかわしカナリアへパス。カナリアがスリーポイントを決める。あいつ、プレイヤーの動きをよく見ている。カナリアに相当仕込まれたな。
 レイターが嬉しそうに笑った。

 そこにいたのは膝を抱えていたレイターじゃなかった。カナリアはレイターにとって、一つの未来だ。背の高さは関係ない。やるべき仕事をきっちりやれば評価はついてくる。
 接戦の最後は坊ちゃんがスリーポイントシュートを決めてバルダンたちが逆転した。面白いゲームだった。

「くっそー、アーサーの野郎! 次は止めてやる」
 レイターは悔しそうだったけれど、卑屈な感じがなくなっていた。

 部屋に戻るとバルダンが呟いた。
「ひょっとすると、ひょっとするかも知れんな」
「何がだい?」
「レイターがアーサーを倒す日が来るかも知れん」
「え?」
「あいつ、俺とぶつかっても倒れなかった。足回りがしっかりしてきた。負けてられんぞ、俺も一に練習、二に訓練だ」
 バルダンはいつもの口癖をつぶやきながら、指立て伏せを始めた。                         (おしまい)


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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」

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