銀河フェニックス物語<出会い編> 第二十四話(2) 展覧会へようこそ
・第一話のスタート版
・第二十四話(1)
俺が不貞腐れているのを見て、アーサーが続けた。
「とは言え、展覧会の観客人員は膨大な数になる。一般人を巻き込まないために、簡単には暗殺協定は発動しないだろう」
暗殺協定には、一般人を巻き込まないことが条件に入っている。だが、
「あいつは、時々協定を破るぞ」
「彼も、このソラ系ではそこまで動けない」
確かに、敵陣まっただ中だからな。
何をしに、ここまであいつが出ばってきたのか、気にはなる。
「お前が見張っていれば、ライロットも下手に動けないだろう」
「嫌がらせ、ってわけだ」

「平和と友好を謳ったアリオロンの企画展は、展覧会最大の目玉だ。要人も訪れる。お前はアリオロン語もできるから、ボディーガード協会も適任だと考えている」
「特別手当を上乗せしろよっ」
「任務が終わってから検討する。大切な芸術作品が傷つけられてはたまらないからな」
「ふんっ」
*
アレンカトゥーナ展覧会の警備は、銀河総合警備が担当している。
「よろしく頼むよ」

ガキの頃から知っているクリスが、ニコニコ笑って俺に制服を渡した。
相変わらずカバみたいにでかい。
「お前がいてくれると安心だよ。数少ないアリオロン帰りだしな」
「通訳代取るぞ」
「アリオロンの学芸員は、銀河連邦語が達者だから通訳はいらないそうだ」
*
俺は警備員の制服を着用して、アリオロンの絵画が展示してある企画展の会場へ入った。
と、同時に指の先まで緊張した。
あいつが、工作員のライロットがいた。
ドロスン・バルーダ学芸員、と言う偽名で、ライロットは働いていた。
あいつは、にこやかな笑顔を見せて俺に近づいてきた。

直接顔を合わせるのは、ハイジャックん時以来だ。
「警備ご苦労さまです」
流暢な銀河連邦共通語。
俺は無視する。
「君が守ってくれるなら、誰も指一本触れられないだろうね」
気軽に声をかけてくんな。
俺はライロットとは目を合わせず、展示された絵画を見ながら答えた。
「裸婦の絵でもあれば、もうちっとやる気もでるけどな」
「君は、音楽については才能があるようだが、美術、こと絵画については勉強が足りない」
こいつ、他人の個人情報をベラベラしゃべりやがって。
俺もアリオロン語で言ってやった。
「あんたほんとに学芸員なのか。剣術を極めているんだってな。今年もどこぞの大会で優勝されたそうで」
周りにいるアリオロン人の職員が、俺たちの会話を気にしているのがわかる。
「趣味ですよ。健康のためにたしなんでいるんだ。一度、君とお手合わせをしてみたいものだな」
「ご遠慮させていただくぜ」

あんたと手合わせなんて、絶対っしたくねぇよ。
*
企画展の一番の目玉は、巨大なアリオロンの風景画だった。
『山河の春』と題されたその絵画を見た瞬間、俺の胸に懐かしさと痛みが走った。
こんなにでかい絵だったんだ。
ライロット、いやバルーダ学芸員が話しかけてきた。
「これほど素晴らしい絵画を直に見ることができて、君も幸せだな」
「ああ、再会に感動してるところさ。俺は、これを毎日見てたぜ」
「毎日?」
「こいつは、五月のカレンダーだった」
十六の頃、俺はアリオロン軍の捕虜になって、帝都ログイオンの児童福祉施設に保護された。
そこに飾られていた五月のカレンダーが『山河の春』だった。
この題名は、今回初めて知った。 (3)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」