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銀河フェニックス物語<出会い編>  第一話 永世中立星の叛乱 (4)

 第一話の初回はこちらから

 慌てて駆けつけると、レイターが鍋を振っていた。

n35料理@2エプロン

「どうしたんでい、あわてて。そんなに食べたいのかい? ガキは食い意地がはってんなあ」

「違います。今、炎が・・・」
 船内で火がでたら危ない。

「ほれ、味見してみ」
 炒め物が乗った小皿が目の前に差し出された。緑野菜を口にする。パリっとした歯応え。口の中で甘味が広がる。
「おいしい!」

n37やや驚く逆

 アンタレスの実家には火のコンロがあった。母が作る料理を思い出す。
 レイターはクイックレシピじゃなくてちゃんと調理をしていた。

「さ、飯にしようぜ」
 フレッド先輩は自室で食べると言う。
 わたしはダイニングテーブルでレイターと向かい合った。
 炒め物もスープも、作り立てだ。こんなちゃんとした食事は久しぶりだ。

 サラダの野菜がみずみずしい。
 と思ったら、冷蔵庫の隣に小型の野菜工場が設置されていた。長距離船でなら見たことあるけれど、中型船には普通乗せない。
「宇宙にいると新鮮なもの食べたくなるじゃん」

 どのメニューもおいしかった。レイターの腕がいいのは間違いない。

「もう少しいただいてもいいですか」
 つい、おかわりしてしまう。
「よしよし、ガキはたくさん食わねぇと大きくならねぇからな」
「ガキじゃありません」
 この会話、いつまで続ける気だろうか。

* *

  厄病神の船だから期待していなかったのだけれど、この船、居心地が良い。
 ベッドに入るとほんのりと温かい。顔を洗おうとすると水の温度が心地よい。
 マザーは一体どういう制御をしているのか。痒い所に手が届くサービスが提供されている。

 レイターに聞いてみた。
「これ、どこのメーカーの船なんですか?」
「さあ、拾ったからよくわかんねぇんだ」
 フレッド先輩に聞いた答えと同じだ。
「拾ったってどういう意味ですか?」
「文字通り、拾ったんだよ。銀河警察にも届けたけど落とし主が現れなかったから、俺の船になったんだ」
 説明を聞いても意味がわからない。

 マザーのデータベースは最新刊から何から何まで無料で読み放題だった。わたしの地元アンタレスの本も好きなだけ読める。本好きのわたしには夢のような環境だ。

 本だけでなく音楽も動画も網羅されていた。これは高額な法人契約しかありえない。
「勝手に使っていいぜ。どうせファミリー割引だ」
 とレイターは言う。

 折角だからラールシータのガイドブックを読んでおこう。
 珍しい星だ。銀河連邦にもアリオロン同盟にも加盟せず、政治的に永世中立星を宣言している。

 国民はラール信教という一神教を信仰し、政教分離していない。
 教皇のラール八世が統治している独裁の星。
 経済活動は銀河連邦と普通に取引をしているけれど、自分の常識が通用しない星というのは不安だ。 


 ラールシータまでの三日間、暇を持て余すことの無い船だった。
 レイターは特別手当を要求していたけれど、この船が飛ばしているようには見えない。
 しかも、ほとんどマザーの自動操縦だ。ぼったくりじゃないかと疑った。


 惑星ラールシータに近づいた。
 操縦席前のフロントウィンドウから赤茶けた巨大惑星が目視で確認できる。

v10ラールシータ@

 恒星になっていても不思議じゃない大きさだ。
 小さな衛星を一つ持っている。小さなと言ってもソラ系の地球ぐらいの大きさがある。

 ところどころに巨大な白い円が見えた。ドーム状の重力フィールド。そこが人の住める都市だ。
 白いガスでできたドームの中は重力制御装置で一Gにコントロールされている。その外は十Gで人間は生きていけない。

 重力制御装置が文字通りこの星の生命線となっていた。      (5)へ続く

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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」