銀河フェニックス物語<出会い編> 第一話 永世中立星の叛乱 (5)
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「さあて、重力管制に入るから、シートベルトよろしく」
操縦席からレイターがわたしたちに声をかけた。すぐ後ろの後部座席にフレッド先輩と並んで座りシートベルトを付けた。
ラールシータの高重力圏に突入する。
ガイドブックには高重力圏の出入りには衝撃がかかるため注意するよう書かれていた。緊張する。
真っ白なガスの中へフェニックス号が入っていく。
フロントウィンドウが白一色となった後、すぐに霧が晴れるように、円形に広がる町並みが目に入った。
「一Gに入ったよん」
軽い調子でレイターが言った。重力制御装置の管理圏内に入ったということだ。衝撃に備えて緊張していたのに、拍子抜けする。
ほっとしたわたしは隣のフレッド先輩に話しかけた。
「もっと衝撃があるのかと思ってました」

レイターが振り向いてにやりと笑った。
「誰が操縦してると思ってんだい。俺は銀河一の操縦士だぜ」
円形の都市に建つ建物はほとんどが低層だ。円の中心に一棟だけ高層の建造物がそびえ立っている。
「あれが『神殿』だ」
レイターが中心の塔を指で指した。
『神殿』には教皇ラール八世が住んでいて重力制御装置が設置されている、とガイドブックに書いてあった。
空港は中心部から少し離れたところにあった。
予定通りの夕方五時、時間通りにラールシータ空港に到着した。
*
先方のガーディア社との約束は明日の午前中だ。
フレッド先輩は都心のホテルを予約していたけれど、新人のわたしはこのままフェニックス号に泊まることにした。はっきり言ってこの船、安いビジネスホテルよりサービスがいい。
先輩がホテルへ向かうのに合わせて、打ち合わせがてら街で夕食を食べようと言うことになった。
出がけにレイターが手にしているものに目が釘付けになった。
銃だ。生まれて初めて見た。
「どうしたんでぃ?」
わたしが動揺しているのがレイターに伝わったようだ。わたしは聞いた。
「それ、本物なの?」
「あん?」
レイターはにやりと笑った。

「お子さまは、おもちゃで遊びたかったかい?」
「違います」
レイターは手慣れた様子で銃を上着の内ポケットにしまった。
わたしの故郷「アンタレス」は銃の所持が禁止されている。
だから、これまで本物の銃なんて見たことがない。
レイターはわたしたちのボディガードだ。銃の免許も持っているだろうし、違法でも何でもないのだろうけれど。
こんなに身近なところに銃があるなんて落ち着かない。
*
三日ぶりに船の外へ出た。
白いガスでできた空がぼんやりと赤く染まっている。
すぐ目に入ったのが、空港の壁に飾られた巨大な肖像画だった。白髪に白い髭、仙人の様な風貌。
怖いような優しいような、表情はよく読み取れない。

「このじいさん誰だか知ってる?」
肖像画を指さしながらレイターがわたしに聞いた。わたしを試している。
「知ってます。現教皇のラール八世でしょ。重力制御装置を管理している王様かつ神様」
「ご名答。生きてる神様だよ。ご利益あるぞ」
とにかくこの星は生命線の重力制御装置を管理するラール王室が絶大な力を持っている。
そのトップが肖像画のラール八世だ。 (6)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」