銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十七話(3) 漆黒のコントレール
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・第三十七話(1)(2)
チャムールがわたしの肩を叩いた。
「レイターなら格納庫の方にいるはずよ。なんせ戦闘機部隊に所属していない代打ちで表には出られないから」
言われてみればその通りだ。レイターは民間人なのだ。会えなくて当然だけれどちょっぴり残念。そんなわたしにチャムールが思わぬ提案をした。
「格納庫へ行ってみましょ」
「いいの?」

「任せて」
チャムールは笑顔で空母の艦内へと歩いていった。わたしは後ろからついていく。
人混みから遠ざかる。関係者以外立入禁止の札がかかりドアが閉まっていた。
チャムールがパスをかざすとドアが開いた。
「勝手に入っちゃだめでしょ?」
「平気よ。この家族パス、ちょっと特別なの」
特別な家族パス。よく見ると短剣をかたどった将軍家の紋章が入っていた。
チャムールはアーサーさんと結婚前提で付き合っている。
一般庶民のわたしには想像がつかない。将軍家との結婚って大変に違いないけれど、それを乗り越えようと二人の気持ちがつながっているのがうらやましい。

チャムールは迷うことなく奥へとずんずん進んでいく。すれ違う隊員は何も言わない。細い通路と階段を通り抜ける。
「道、あってるの?」
「大丈夫よ。私これでも設計士なんだから」
そうだった、チャムールは天才設計士だ。
*
格納庫の手前に立入禁止の看板が出ていた。
銃を持った兵士が立っていた。緊張する。
チャムールが家族パスを示す。
「はっ!」
警備兵は最敬礼で応えた。
将軍家の家族パスの威力はすごい。
格納庫の中に、ピンク色に輝く戦闘機が駐機していた。
その横に、レイターとアーサーさんが向かい合って立っているのが見えた。
言い合う声が聞こえてくる。
「ったく、整備がなってねぇっつってんだよ」
「それと金額はリンクしない」

「あんたが頼む、っつうから仕方なく出てやったんだぜ、謝礼金をもっとはずめっての」
どうやらきょうの出場に関して金額でもめているようだ。レイターはお金にうるさい。「仕方なく出た」というのは絶対嘘だ。あの飛ばしを見ればわかる。彼は、楽しんでいた。
レイターが振り向いた。
「およ、ティリーさん?」
一瞬驚いた顔をしたけれど、チャムールが首から下げている家族パスを見てすべて理解したようだ。
「なぁんだ、ティリーさんが見てたの知ってたら、宇宙に大きなハートマーク書いたのに」
とわたしにウインクした。

「知らなくてよかったわ」
この人は本当にやりかねない。
レイターが軍のパイロットスーツを着ていた。
似合っていて格好いい。彼は『銀河一の操縦士』。パイロットは本職なのだ。レーシングスーツとは違う軍服。胸が締め付けられるように苦しい。
チャムールが話しかけた。
「さっきの宙航戦すごかったわね。撃ち落した数は、レイターが最多でしょ」
美しく激しい飛ばしが頭によみがえる。レイターは得意げな顔で答えた。
「ご存じの通り『銀河一の操縦士』だからな。模擬弾だって手は抜かねぇぜ」
この人にとって操縦をほめられることは人生をほめられるのに等しいのだ。
初めて見る、戦闘機乗りのレイター。
わたしはたずねた。
「これまでにどれぐらい対戦したことがあるの?」
レイターはわたしの目を見て逆にたずねた。
「模擬弾? 実弾?」
わたしが何を知りたがっているか確認している。
「実弾」
わたしは正直に聞いた。 最終回へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」