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銀河フェニックス物語<少年編>第十七話(1)知らぬが仏

銀河フェニックス物語 総目次
<少年編>第十六話「感謝祭の大魔術」
<少年編>マガジン

 俺が思い付きで企画した感謝祭は成功した。隊員たちは喜んでいたし、親睦も図れた。アーサーも仲間と打ち解けたようで何よりだ。
 感謝祭のトリを務めたヌイは元々プロのシンガーソングライターだった。あいつが作った歌は俺たちの心を一つにした。ヌイをこの艦に引っ張ってきたのは正解だったな。
 驚いたのは一緒に歌ったレイターだ。不覚にも俺はあいつの銀河の歌姫ギブ・ミー・ラブを聞いて涙が出そうになった。
 ヌイによるとどうやら奴には音楽的才能があるらしい。
「艦長、進言いたします。レイターは音階暗号譜を解くための能力に秀でています。通信士の補佐として任務に関わらせてもよろしいでしょうか」

 暗号通信士か。この船にはヌイしか乗っていない。リスクヘッジに悪くない話だ。
「ディープな機密に触れない程度にしろよ」
 と俺は許可した。
「ありがとうございます」
「あのガキにはそんなに才能があるのか?」
 ヌイは音楽の話になるととたんに饒舌になる。専門用語を交えて熱く語りだした。ムーサとか言う音楽の女神がレイターに微笑んでいる、とか何とかかんとか。
 わかったことはレイターの母親は名門のセントラル音楽院で学んだすごい音楽家だったらしい。

 そんな折、報告書が届いた。
 俺の艦に乗せてやるんだから身元ぐらいは調べておくかと、かなり前に依頼したものだ。すっかり、忘れていた。
「アレック、お前、今度はどんな極秘任務を抱えているんだ?」
 同期の特命諜報部員は怪訝そうな顔で聞いてきた。第三次マフィア抗争に巻き込まれて死んだ少年について知りたい、という俺の依頼をどうやら任務だと思ったようだ。
「俺の艦の出航が遅れたんだ、その原因を知っておきたいと思っただけさ」
「それだけじゃないだろ」
「どうしてそう思う」
「少年は抗争に巻き込まれたんじゃない。彼こそが第三次マフィア抗争の発端だ。マフィアに十億リルの懸賞金をかけられて殺されたんだ」
「ほう、十億リル?」
 正直驚いた。ただのガキじゃないとは思ったが、十億リルの懸賞金とは大きく出たもんだ。
「ダグ・グレゴリーの後継者候補だったようだ」

 ますます驚いた。ダグ・グレゴリーと言えば裏社会の帝王だぞ。どうりで銃や船が扱えるわけだ。
「そいつは息子なのか?」
「いや、血縁関係はない。近くに住む孤児だ」
 あいつは如才ないから、帝王に気に入られるというのもわからんでもない。と妙に納得する。
「それで、そいつは対立マフィアに殺されたということか」
「違う」
 違う?
「殺害の懸賞金をかけたのは、ダグ・グレゴリー本人だ」
「意味がわからんな。跡取りを殺せとは」
「どうやらその少年はマフィアから足抜けしようとしてダグの逆鱗に触れたようだ。本人は宇宙船の操縦士になりたがっていたらしい」
 あいつらしいな。思わず笑いそうになる。
「少年が殺されて町は静かになって、地元の人は喜んでいる。いずれにせよ彼はあそこで殺されてよかったと思うぞ」
「どうしてだ?」
「その少年、レイター・フェニックスは少なくとも三十人以上のマフィアを殺している」
「……」
 軍人の俺はこれまでに何人殺しただろうか?  少なくとも十二歳の頃は殺してないな。
(2)へ続く


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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」

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