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銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十二話(2) キャスト交代でお食事を

銀河フェニックス物語 総目次
第三十二話 まとめ読み版 (1

 俺は運ばれてきたリエットを、焼き立てのバゲットに乗せて口に入れた。
 きちんと丁寧に作られた味だな。
 赤ワインとよく合う。

「でもさあ、どういうわけか、ティリーも一歩引いてるんだよね」

n44ベル横顔@タートルカラーむ

 ベルさんは話を続けた。
 どうやら俺を恋愛話のゲームに出塁させたいらしい。
「だろうな」
「どうして?」
「まじめに答えて欲しいかい?」
「もちろん」

 あんまり食事中にしたい話じゃねぇが、しょうがねぇ。

「俺が人殺しだから」
「・・・・・・」
 ベルさんが無言で俺を見つめる。

「俺は、ティリーさんの目の前で、人を撃ち殺したことがある」

 ティリーさんの初めての出張。
 俺は、狙撃犯を射殺した

銃大人@シャツカラー

 思いのほか、ベルさんは平然としていた。
「さすが厄病神だね。でも、理由があったんでしょ」
「そりゃそうさ。正当防衛さ。あっちが撃ったから俺も撃った」
 ベルさんは、じいさんが皇宮警備の元長官、父親は連邦保安官だ。血なまぐさい話に慣れてるな。

「ティリーは、平和で真面目な星の出だからね」
 出身星系のアンタレスでは、銃を所持することすら許されない。

 メインディッシュの仔牛のソテーが、二人分運ばれてきた。

 俺が切り分ける。
 ナイフがいい具合に肉に入る。適度な焼き加減。少しだけにじむ血を見ながら、今度は俺がベルさんにボールを投げた。
「ベルさんは、もし、フェルナンドが目の前で人を殺したらどうする?」
「ど、ど、どうしてフェル兄の話が出てくるのよ」

n26横顔前目微笑逆

 フェルナンドはベルさんの従兄弟で、俺と同じボディガード協会ランク3Aの同業者。先日、ティリーさん含め4人で食事に出かけた。

「あんた、フェルナンドのこと好きなんだろ?」
 直球ストレートでお返しだ。
「なんでわかったの?」 

 わからないと思っている方が不思議だ。ベルさんの顔が赤くなった。かわいい。

 俺はベルさんの皿にソテーを取り分ける。
「そりゃわかるさ。恋する瞳が輝いてる」

 ベルさんが、俺を見て答えた。
「フェル兄は、意味なく人を殺したりしないよ」
「俺だってしねぇよ」
 と返したが、俺は殺し屋だ。フェルナンドとは違う。
 
「わたしは受け入れるよ。フェル兄のこと信じているから」
 フォークに刺した肉を口に入れてゆっくりと噛む。塩加減も固さも文句のつけどころがないソテー。
 フェルナンドがうらやましいな。

 俺は、いじわるな質問がしたくなった。
「フェルナンドが隠し事してたらどうする?」

ひまわり大

「構わないよ。わたしに隠すことに理由があるんだから、仕方ないよ」
 すごいな、ベルさんは。

 俺は素直に感動した。フェルナンドに聞かせてやりてぇ。

 もし、ティリーさんが、俺にここまで全幅の信頼を置いてくれたら・・・。
 何、妄想してるんだ俺は。浮かんだ考えを即座に打ち消す。

 連邦軍の特命諜報部員は、家族にもその所属を隠して活動する。
 俺に家族はいねぇ。 
 フローラが死んで、もう誰も愛することもないし、家族を持つこともない。
 強いて言えば、将軍家が家族代わりだ。

 こんな俺は諜報部員に適任だ。
「お前、父上のために働かないか?」
 特命諜報部の隠密班を受け持つことになったアーサーの申し出を、俺は悩むことなく受け入れた。

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 これまでに俺は、何人殺しただろう。

 もともと褒められた育ちじゃねぇし、戦地でも随分と活躍して、暗殺協定にも躊躇しなかった。

 こんなことは、ティリーさんに明かせねぇ。
 銃も軍隊も嫌ってるティリーさんと俺が、つきあえるわけがねぇんだよ。

 俺は特定の女性とはつきあわねぇ。
 そのことを了解した上での、深い仲の女友だちはいる。
 いつ死んでもいい楽しい毎日。それ以上、俺が人生に求めるものは何もねぇ。        (3)へ続く

第一話からの連載をまとめたマガジン 
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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」