銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十二話(3) キャスト交代でお食事を
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・第三十二話 まとめ読み版 (1)(2)
* *
会社帰り、ティリーは自宅へと歩いていた。
最近オープンした、おしゃれなビストロフレンチの前を通る。
きょうも入り口に行列ができている。一度入ってみたいね、ってベルと話しているけれど、空いていたことはない。
「え?」

足が止まった。
店の窓ガラスの向こうに、見間違うはずのない顔が見えた。
胸がドキンとなる。
よそいきレイターだ。
その向かい側にはベルが座っていた。
どうして?
そんな予定は聞いてない。

真剣な表情で話をしている二人の横顔は、親密に見えた。
反射的に窓に背を向けた。
逃げるようにその場を立ち去る。
足早に歩きながら考える。
別にベルとレイターが一緒に食事をしていたって、不思議じゃない。仕事の打ち合わせかもしれない。プライベートだって構わない。
どうしてわたし、逃げたりしたんだろう。動揺する方がおかしい。
そうか、ベルのせいだ。
一緒にあの店へ行こう、って言ってたのに、ベルに裏切られたようで寂しいからだ。
「ティリーさん」
聞き覚えのある声がわたしを呼んだ。足を止めて振り返る。
「怖い顔をしてどうしたんですか?」
フェルナンドさんだった。

その顔を見たら、つい、誘ってしまった。
「一緒にお食事でもいかがですか?」
ベルの憧れの人だと知っているのに、わたしったら。
ベルがレイターと二人で食事をするからだ。
「いいですよ。どちらへ行きますか?」
フェルナンドさんの落ち着いた声を聞いたら冷静になった。
罪悪感にかられる。二人で食事をしたらやっぱりベルに悪い。
「あ、あのハンバーガーでもいいですか?」
ファストフードのチェーン店が目に入った。このくらいならベルも許してくれるだろう。
*
店内は学生であふれていた。
スーツをビシっと決めて背筋の伸びたフェルナンドさんは、ちょっと浮いている。申し訳ない。
「場違いでしたね。すみません」
「いえいえ、久しぶりで新鮮です」
ハンバーガーにポテト。紙のコーヒーカップが乗ったトレイを、カウンターの上に置く。
隣に座ったフェルナンドさんがわたしに聞いた。
「どうかしたんですか?」

ベルとレイターが食事しているのを見て動揺した、なんて言えない。
「ちょっと、一人で食べるのがさびしくて」
嘘でもなく本当でもない答えをした。
フェルナンドさんが上品にフィッシュバーガーの包みを開きながら言った。
「ベルから聞きましたよ。レイターさんの『愛しの君』は亡くなった将軍家のご令嬢だったんですね」
「ええ、レイターは今も忘れられないそうですよ」
『愛しの君』のフローラさんは、研究所のジョン先輩が嫉妬するほど頭がいい才女。
美しくて、将軍家のお嬢様で、わたしに無いものを全て持っている、レイターが言うところの『銀河一のいい女』。

よそいきレイターが頭に浮かんだ。
どうして彼は今、ベルと食事をしているんだろう。
何度も浮かび上がってくる疑問。
「ティリーさんはレイターさんのこと、好きですか? 嫌いですか?」
「え?」
ポテトを手にしたまま、フェルナンドさんの顔を見つめてしまった。
好きか嫌いかの二択。こんな直接的に聞かれたのは初めてだ。
初めて思った、フェルナンドさんはベルと少し似てる。 (4)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」