銀河フェニックス物語<出会い編> 第五話(7/25) 今度はハイジャックですって?!
<第五話のあらすじ>超豪華客船『カシオペア』がハイジャックされた。犯人の要求は敵国であるアリオロン同盟への亡命だった。怯えるティリーにレイターはアリオロンへ行ったことがあると話した。(1)~(6)
「どんな人たちなの?」
「地球人そっくりさ」
「じゃあどうして戦争してるのよ?」
わたしたち非戦を国是とするアンタレス人には意味が分からない。
「ティリーさんは自分にそっくりの人間がいたら、そいつのことを愛するかい? それとも憎むかい?」
自分とそっくりの人間・・・。
その人を愛するというのも自意識過剰な感じがするけど、憎むというのも自己否定のようだ。
どちらかと言えば、その人を嫌うよりは仲良くしたい。もしかしたら気が合うかも知れないし。

「わたしはできることなら仲良くしたいわ」
「俺なら、そいつを叩きのめす」
随分、穏やかじゃない答えだ。
「銀河一の操縦士は俺一人で十分だ」
そう言ってレイターは笑った。確かにそういう考え方もある。でも、わたしは納得できない。
「似ているから闘うなんて、悲しいわ」
* *
数時間前のことだった。
フェニックス号に連邦軍特命諜報部のアーサーから突然短い連絡が入った。

「不穏な動きがある。アラワンから豪華客船カシオペアに乗ってくれ」
と。
レイターは怒っていた。
不穏な動きって、ハイジャックじゃねぇかよ。
ティリーさんと一緒の時にこういう任務は止めろっつったのにあの野郎。
公安の資料を思い出す。
反ス連は、アラ星系を拠点とする学生団体だ。「連邦反対!」って小っちゃなデモするぐらいで大した活動してなかっただろ。
一体何があった?
ハイジャック犯を観察する。
ハンスはリーダー含め十人ってところか。動きは素人。学生だな。
あいつらの武器はスプレー銃。要するに高性能な水鉄砲だ。訓練も何もいらねぇ。誰でも扱える。当たらなくても毒をまき散らすのが厄介だ。
空調に毒物仕掛けたって言ってたな。警備室を押さえたんだろう。そこにも仲間がいて見張ってるな。
ハンスの奴らは、俺の武装解除もしねぇ素人だ。
今すぐ目の前の奴ら撃ち殺してやってもいいが、警備室の仲間が操作して空調から毒をまかれたら犠牲者はでる。
アーサーの狙いはおそらく人質百人の安全。こりゃ俺一人じゃ無理だぞ。
* *
「ここまで作戦は順調だ」
防毒ヘルメットの内側でオグリースは安堵のため息をついた。
反連邦スチューデント連盟のリーダーを務めて二年。誰にも見向きされていなかった僕たちが今、世界を動かそうとしている。
銀河連邦中心部のソラ系地球では、連邦評議会が開かれた。僕たち反ス連の犯行声明について対応を協議するためだ。
これまで、連邦の統治システムは間違っている、といくら訴えても誰も耳を貸さなかったのに。
半年前に彼が訪ねてきてから僕たちは変わった。
「アリオロンへ亡命するのであれば、手を貸そう」
彼はミスターRと名乗り素性は明かさなかった。おそらくアリオロン人だ。
ミスターRが描いたシナリオは僕たちを魅了した。
豪華客船のカシオペアは僕らの地元アラ星系を経由する。
カシオペアに乗っている連中は、辺境の地からの搾取の上に潤っているのだ。彼らに鉄槌を下すこと。これは反連邦を掲げる僕たちの使命だ。
* *
ハイジャック犯と警察の交渉が再開した。
モニターに流れるその様子をティリーは息をひそめて見ていた。
「反ス連のリーダー。君はオグリース君だな?」
警察の問いにヘルメットをかぶった背の低いリーダーは答えなかった。でも、多分オグリースと言う名前なのだろう。
「君たちがアリオロンへ行くために戦闘緊張地帯で攻撃されないように連邦軍を通じて手配する」
「ありがとうございます。間違って撃ち落されない様、軍との交渉を引き続きお願いいたします」
オグリースが頭を下げた。
「もちろんだ。だから、アリオロンへは君たちだけで向かってくれたまえ。今ならまだ、被害者はいない。君たちを罪に問わない。これは取引だ」
そうだ、亡命したいのなら自分たちだけ行けばいいのだ。この交渉がうまくいけばわたしたちは解放される。 (8)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」