銀河フェニックス物語<少年編>第十九話(2)敵とブラックアウト
銀河フェニックス物語 総目次
<少年編>第十九話「敵とブラックアウト」(1)
<少年編>マガジン
アリオロン人と純正地球人が同じと聞いてはいたが、本当だったんだ。
仕切りの向こうにストレッチャーが入ってきた。血の匂いがじわりと漂う。機械を挟んで俺と敵がチューブでつながった。
何で俺たち戦ってるんだろ。
いつか隣のアリオロン兵と戦地で会うんだろうか。そうしたら撃ち合って殺しあうんだよな。何のために血を抜かれてるんだか、訳わかんねぇな。
白い天井を見ていたら。頭がぼぉっとして、指先が冷たくなってきた。
採血終了のチャイムが鳴った。身体を起こすと軽いめまいがした。
ジェームズが振り向いた。
「大丈夫か? ちょっと多めに抜いたから部屋でゆっくり安静にするんだぞ。きょうはもう調理場行かなくていいから」
「ああ」
艦内はいつもと違ってわさわさしている。一大イベントが起きてるんだ。部屋に戻っても眠れそうもねぇな。こういう時は船磨きだ。コルバの戦闘機でも整備するか。
格納庫にパイロットは誰もいなかった。みんなアリオロン艦の対応に追われているんだろう。襲ってくる敵もいねぇから戦闘機の出番もねぇしな。
主翼についた塵をブラシで落とす。敵船の救助って、美談だが偽善だよな。小天体流星群に敵が襲われたのが戦闘中だったら、これ幸い「神風が吹いた」とか言って撃ち落とすんだぜ。
機体を磨くといつもなら無心になれるのに、きょうはモヤモヤが消えねぇ。
立派な操縦士って何なんだよ。銀河一の操縦士は立派じゃなきゃいけねぇのかよ。
ウウウウウウウウウウゥゥゥゥ……。
緊急サイレンが鳴り響いた。
「出撃できる機体あるか?」
アレックのアナウンスが入る。俺はコルバ機の通信スイッチを入れた。
「俺だ、レイターだ。すぐ出られるぞ」

「お前、戦闘機に乗ってるのか」
「整備終わって、いつでもOKさ」
「新たな小天体流星群が確認された。すぐに出ろ」
「了解」
勝手知ったるコルバの機体を出撃させる。レーダーが反応した。小天体群が近づいてくる。アレックの艦とアリオロン艦はエネルギー管で繋がっているから自力で回避できねぇ。小天体を破壊するしかねぇな。
「激突予定の小天体っていくつある?」
「五つだ」
「OK。ミサイルでバラバラにしてやる」
「待て」
アレックが止める。
「あん?」
「船外作業班が収容できてない」
「マジかよ」
爆破後の小天体の破片が当たったら死ぬぞ。
「収容完了時刻は?」
「確認中だ」
ギリギリまで引き付けて一気に爆破するか。難易度は上がったがクリアできる。
「衝突時間までに私を含め全員退避は無理です」
アーサーの声がした。天才の計算が外れることはない。

あいつ、船外作業班だよな。なんでしんがりを務めてんだよ馬鹿なのか。
アレックから指示が来た。
「ミサイルで小天体の軌道をずらせ」
小天体の一か所を攻撃して爆破させずに軌道を変えろということか。だが、俺の腕をもってしても五つ全部ずらすってのは時間的に辛い。
「アレック、もう一機頼む」
「今からでは間に合わん」
こいつはやべぇぞ。
(3)へ続く
いいなと思ったら応援しよう!
ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」