銀河フェニックス物語 <出会い編> 第四十一話(2) パスワードはお忘れなく
営業へ復帰したティリーの仕事は無事終わったが、レイターの特命諜報部の任務は始まってもいなかった。
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・第四十一話(1)
* *
ビビビビビビッツ!!
突然、公共船内に警報音が鳴り響いた。
ティリーは思わずレイターの顔を見た。

嫌な予感がする。
ビビビビビ…。
警報音にかぶせるように男の声がスピーカーから聞こえた。
『乗務員は乗務員室から出るな。砲撃するぞ』
こ、これは、厄病神の発動だ。
窓の外を見ると黒い船が公共船に横づけしていた。小型戦艦の改造船だ。
リル星系のエンブレムの上に赤いバツ印を描いたマークが描かれている。現地ニュースで見たゲリラの船だ。
砲塔がわたしたちに向いている。
「悪りぃなティリーさん。厄病神が起きちまったみたいだ」

レイターは落ち着いていた。まるで、こうなることを予想していたかのようだ。
「ティリーさんは、とにかくここから動かないでくれ」
「わかったわ」
レイターの言うとおりにしていれば大丈夫。
厄病神だけれどボディーガード協会のランク3Aで仕事は優秀。これまでだってずっと平気だった。
公共船の警備はあってないようなものだ。
大型銃を手にした男たちが、ドカドカと客室に乗り込んできた。十人ぐらいいる。
円柱のヘルメットに丈の長いマント。リル星系の民族宇宙服を着ている。あんな、威力のある銃を船内で撃ったら船に穴が開いてしまう。
どういうわけか男たちはまっすぐにレイターに銃を向けた。
黒いマントで全身黒ずくめの人物が口を開いた。
「レイター・フェニックスだな?」

顔は見えないけれど男性だ。
「どうせなら、おっかけは美女がよかったんだけど」
「一緒に来てもらおうか」
「サインはやらねぇぞ」
そう言いながらレイターは、素直に席を立った。
ど、どうすればいいの?
よくわからないけれど犯人はレイターを狙っている。でも、レイターと離れるのは嫌だ。
「わ、わたしも」
と立ち上がった。
レイターは驚いた顔をしてわたしの方を振り向くと、声には出さなかったけど「バカッ」と言った。

しまった。ここから動くな、とレイターに言われたばかりだった。
男の一人がわたしに銃を向けながら、黒ずくめの男にたずねた。
「こちらの女はどうしますか?」
「人質として一緒に連れていけ」
レイターが大きな声を出した。
「一般人は巻き込まねぇ約束だろが!」
約束?
「安心したまえ、私は手荒なことは好きではない。君がおとなしく言うことを聞いていれば客人に危害は加えない」
「ちっ」
舌打ちするレイターの手に、男たちが手錠をかけた。
わたしのせいで状況が悪化している。どうしよう。どうしようもない。
突き付けられた銃は脅しじゃない。何かあれば撃つ気だ。だからレイターもおとなしく従っている。
わたしたちは、接続した黒いゲリラ船へと身柄を移された。
旧式の戦艦だった。
司令官室へと連れていかれた。
「ようこそ、レイター・フェニックス」
黒ずくめの男がヘルメットを取って声をかけた。
四角い民族帽と黒いマスクで顔はわからない。目だけが鋭い。四十代ぐらいだろうか、口調は丁寧。それが、余計に怖い。
レイターは、折り畳みの簡易椅子に座らさせられた。重そうな足枷ベルトで両足とも椅子の脚と固定される。
「有名人の君の方からやってきてくれるとは」
S1に乗ってレイターは有名になった。けれど、やってきたのはあなたたちでしょ、と言ってやりたいけれど声にならない。
「俺の契約金は高いぜ」
いや、契約とかそういう話じゃないわよ。この状況は…。 (3)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」