銀河フェニックス物語 <出会い編> 第四十一話(3) パスワードはお忘れなく
レイターとティリーは公共船に侵入してきたゲリラに拉致された。
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・第四十話(1)(2)
「お嬢さんは、こちらへ」
わたしは船に備え付けられているシートに腰かけさせられた。強制シートベルトがしまる。これは自力でははずせない。

隣にいたゲリラがわたしに小型の銃を突きつけた。さすがに自分の船内で大型銃は使わないようだ。小型銃と言っても、撃たれれば死ぬことに変わりはない。
どうせ強制シートベルトで逃げられやしないのだから銃を向けないでほしい、と思ったところで気が付いた。
これは、わたしが逃げないようにではなく、レイターの動きを封じるための銃だ。
レイターの足を引っ張ってばかりだ。
「さて、レイター・フェニックス。君は危険だ。だから悪く思わないで欲しい」
「悪く思うな、ってことは悪いことするぞって宣言してるわけだ」
男たちが二人がかりで、手錠がかかったレイターの手を簡易机の上で押さえつけた。
黒ずくめのリーダーは変わった形の銃を取り出すと、レイターの両手のひらに照準を合わせた。
バシューン
青い光のような波動がレイターの手にあたった。
「っつう」
レイターが顔をゆがめる。
レイターの両手の指が力なくだらりと垂れ下がった。
あれは振動波銃だ。
レイターの指の骨が折れたんだ。
「あんたら十分手荒だぞ」

レイターの身体検査が行われた。二丁の銃とレーザー鞭が取り上げられた。
レイターは普段わたしに銃を見せないようにしている。だから二丁も持っていたことに驚いた。
リーダーが名乗った。
「我々は、リル星系解放連盟だ」
思った通り政府軍によって制圧されたゲリラだ。
「ゲリラの残党かよ」
レイターの言葉に、男が反論した。
「残党ではない」
リル星系は銀河連邦からの離脱をめぐり、長くゲリラと政府軍が内紛を繰り返していた。
五年前、政府軍が抑え込み、状況が落ち着いたことから経済活動が再開した。
宇宙船を求めるニーズが高く、危険はなくなったという判断でうちの会社も現地に販売店を置いた。
「我々はリル星系から独立し、新たに生まれ変わるのだ」
「へぇ、独立にゃ金がかかるだろ」
「そのために君に来てもらった」
「残念だな。俺は借金の方が多いぜ。将軍家も俺のための身代金なんて払わねぇし」
「連邦軍特命諜報部のキーパスワードが知りたい」
特命諜報部といえば、アーサーさんが管轄している将軍家直轄の部署だ。

「それを手みやげにすると、アリオロンから軍資金がもらえるってわけか」
「さすが、ものわかりが早いな。特命諜報部のキーパスは所属部員しか知らない。そして、記憶にしかとどめない。私たちは一人ずつたずね歩いている。君は有名人だから探すのが楽だった」
「そりゃどうも」
所属部員しか知らない。ということはアーサーさんは知っているということだ。
わたしたちを人質にしてアーサーさんから聞き出そうという魂胆に違いない。
「さっそくだが諜報部のキーパスを教えて欲しい」
「知らねぇよ」
「諜報部員はみんなそう言う」
この人たち、何か勘違いしている。レイターは諜報部員じゃない。
その時だった。
若い男が部屋に飛び込んできた。二十歳ぐらいだろうか。茶色い帽子に茶色いマントを羽織っている。
「俺にやらせてくれ」

「ロベルトか。いいだろう」
ロベルトと呼ばれた男はレイターの顎を無造作に持ち上げた。
「お前が、レイター・フェニックスだな」
「俺、大人気だな」
バキッ。
レイターが返事をし終わるよりも早く、ロベルトはレイターの左頬をおもいっきり殴った。
「つうぅ」
レイターの唇が切れて、血が飛んだ。 (4)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」