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ミックス作業で大事なこと④:ミックスは作曲・アレンジの段階から始まっている

【DTM】作曲の方法・コツのまとめ」という記事でも触れていますが、ミックス作業の成否は、その前の作曲やアレンジと密接に関連しています。

「ミックスがうまくいかない」と感じたとき、その原因はミックスの技術不足ではなく、アレンジそのもののバランスが原因であるケースも多々あります。
ミックスを担当する方が作曲に関わっていない場合は難しい問題ですが、最近では作曲とミックスを一人でこなすDTMerが増えています。
その場合、作曲段階から「どうすればミックスがうまくいくか」を意識しておくだけで、後々のミックス作業が格段に楽になります。

ここでは、作曲・アレンジの段階で意識すべきポイントをいくつかご紹介します。



周波数バランスの問題

曲全体の周波数バランスを意識することは、ミックスを成功させるための重要な鍵となります。

たとえば、キーボードのバッキングトラックが広範囲にわたって音が散らばり、聴きづらい印象があったとします。
これをミックス段階で解決しようとすると、イコライザーでカットしたり、コンプレッサーで音を抑えつけたりといったプラグイン処理では、なかなか思うような効果が得られないことがあります。

このような場合は、ボイシング(コードの構成音の配置)を工夫することで、プラグインでは解決できなかった問題が簡単に解決することがあります。
ベースとぶつかりやすい低音域をオクターブ上げて配置したり、他の楽器と音が重なりすぎないようにコードの構成音を調整したりすることで、全体がすっきりと聴きやすくなります。

また、キックドラムの音圧が足りないからといって、ミックス段階でイコライザーを使って低域をブーストするケースがあります。
しかし、もともと低域が少ない音源を使っている場合、いくらイコライザーでブーストしても、ただ音がこもるだけで良い結果は得られません。

この場合は、イコライザーで無理に解決しようとせず、低域がしっかり含まれている別のキック音源に差し替えることを検討してみてください。
音源の選択は、ミックスの土台を築く上で非常に大切な要素です。

このように、作曲段階から周波数バランスを意識してMIDIを打ち込んだり、音源を選んだりすることで、ミックスの作業が驚くほどスムーズに進みます。

(【DTM】作曲の方法・コツのまとめ」→「◇コードボイシング」参照)


音の「長さ」の問題

ミックスの段階でコンプレッサーやマキシマイザーを適用した際、音が飽和してしまい、聴き取りにくいサウンドになってしまうことがあります。
このような問題も、アレンジの段階で音の長さに配慮することで解決できることがあります。

たとえば、ギター、シンセ、ストリングスといったバッキングパートがすべて「白玉(音価の長い音符)」で演奏されていると音が密集しすぎてしまい、ミックス段階でいくら調整してもクリアな分離感が得られにくいことがあります。

このような場合は、バッキングパートの音の長さを調整し、「点」の要素を取り入れるとアレンジがよりクリアでバランスの取れたものになります。

具体的には、以下の工夫を試してみてください。

  • シンセの「プラック」、弦楽器の「ピッチカート」、鍵盤楽器の「スタッカート」など、アタック感が強くリリースの短い音色を活用する。

  • 伴奏に使う楽器の数を減らしてシンプルにする。

  • 和音楽器のコードの構成音を減らし、1音か2音程度にしてみる。

  • 音と音の間のタイミングを大きく空けてみる。

パートごとの音の長さに変化をつけることで、音の密集を避け、ミックスしやすい土台を作ることができます。


楽器の数の問題

ミックスがうまくいかない原因として、単純に使用されている楽器やパートの数が多すぎるというケースもあります。
ボーカル、ドラム、ベースに加えて、エレキギター、シンセ、ストリングス、ピアノ、パッドなど、複数の楽器が同時に鳴っている状態では、ミックスでそれぞれのバランスを調整するのは至難の業です。

一般的に、使用する楽器やパートの数が少ないほど、ミックスの難易度は低くなります。
例えば、アマチュアバンドのライブを見ていると、聴き取りやすくすっきりとしたサウンドになっているのは、ギターボーカル・ドラム・ベースの「3ピースバンド」や、ボーカルとピアノ、ボーカルとアコースティックギターといった編成の、楽器数が少ないバンドであることが多いです。

一方で、ギターが2本いるバンドや、ギターの他にキーボードがいるバンド、同期でシンセやストリングスを重ねているバンドなどは、音が聴き取りにくいケースも多いです。
これは、楽器の数が増えるほど、PAエンジニアの調整が難しくなったり、ライブハウスの機材の処理能力を超えてしまったりすることが原因です。

ミックスが難航していると感じた場合は、まず楽器やパートの数が多くないか確認してみてください。
パート数が5個を超えるようなら「断捨離」できるパートがないか検討したり、前述のように音の長さを工夫して音の密集を避けるだけでも、解決の糸口が見つかると思います。

(【DTM】作曲の方法・コツのまとめ」→「◇楽器の音の「長さ」を意識する」参照)


トランジェントの問題

トランジェントシェイパーなどのプラグインを使って、ミックス段階で音のアタック感を調整するDTMerが増えてきました。
しかし、プラグインに頼る前にできることもあります。

ドラム音源やシンセサイザーの中には、パラメーターでトランジェントを調整できるものが増えています。
また、ギターアンプシミュレーターもモデルを変更するだけで、トランジェントの特性が大きく改善することがあります。

トランジェントに問題があると感じた場合は、プラグインで無理に解決しようとする前に、まず音源やアンプの段階で調整できないか試してみると良いです。
元の音源の特性を最大限に活かすことで、より良い結果が得られることが多いです。

このように、ミックス作業は、作曲・アレンジ・音源選びといった初期段階からすでに始まっています。
後からプラグインで強引に修正しようとするのではなく、理想のサウンドを最初から意識して制作を進めることが、ミックスを成功させる一番の近道ではないかと思います。


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