秋の北京でパスポートをなくして絶望した話|ユーラシア横断 #3
よく晴れた秋に銀杏の木を見るていると、あの日失くしたパスポートのことを思い出します。
ウルムチからの帰路。北京で飛行機を乗り継ぐときに、機内でパスポートを紛失(置き忘れ)しました。

よりにもよって中国。
パスポートを失くしたときの手続きが面倒くさいランキング1位の国じゃないでしょうか?(知らんけど)
この記事ではパスポートを失くした際の対処方法を、実体験をもとに書いていきます。また、意図せず滞在期間が伸びたため、テンションだだ下がりの中、北京の秋を楽しみました。

北京でパスポート紛失→帰国までの流れ
パスポートを紛失した際にすべき対応は、在中国日本大使館のページに分かりやすく書かれています。

中国でパスポートを紛失した方はまずこのページを読んでください。パスポートを再発行せずに「帰国のための渡航書」で以て帰国するための手順が書かれています。
https://www.cn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/tokosho_00001.html
大ピンチの始まり:機内にパスポートを忘れる
ここからは、私が深夜の北京首都国際空港でパスポートを失くし、4日間足止めされた全記録です。

ある木曜日の午前1時。ウルムチ発北京首都行きの中国国際航空CA1292便、この機内の座席ポケットにパスポートを置いてきてしまいました。完全なる自分の不注意。
気付いたのは飛行機から出て数分後で「あ、やべっ!パスポート忘れてる」と思って機内に戻ろうとするも、客室乗務員さんにもう機内には入れないことを告げられ、焦る。しかしこのときは、「まあ、係員の人に取ってきてもらえるだろう」と事態を軽く見ていました。実際、客室乗務員さんも「機内清掃の際に確認するから大丈夫よ〜」と言っていたので、その言葉を信じていました。
深夜2時、機内清掃が終わるまで北京首都国際空港T2のロビーで待つことに。
乗り継ぎまで時間がない─空港で冷や汗をかき続ける
しかし、パスポートは見つからない。
中国国際航空のカウンターのスタッフに何度も聞いて「パスポートは見つからなかった」とのことでした。冷や汗。いやいや、ちゃんと探したのかと、中国国際航空の清掃スタッフは何をしているんだと、座席ポケットにあるんだから見つからないわけないだろうと、そう思っていても、航空会社のスタッフさんは無いの一点張りでした。
「もしかして、日本に帰れない?」
ようやく、深刻な事態が発生していることを自覚。
現在時刻は朝5時。帰国便の出発は14時。それまでにパスポートを見つけられるか?乗って来た飛行機は既に出発したと聞いてまた冷や汗。親切な人が私のパスポートを見つけて、警察に届けてくれていないか?そう思って空港内の派出所に行くも、私のパスポートは届けられていなかったのです…
ここで、次の選択を迫られました。
帰国便出発のギリギリまでパスポートが届けられるのを待つ
あきらめて「帰国のための渡航書」を取得するための書類を集めに走る
一縷の望みに賭けて「1」を選択しても、パスポートが見つからなければ時間のロスが大きい。「2」を選択したならば、今日丸一日を書類集めに使える。
待つべきか、諦めるべきか、ギリギリまで悩んでいました。
紛失確定→帰国不可で絶望の中、会社へメールを打つ
朝8時になっても私のパスポートはどこにも届けられていませんでした。
そんなわけで、「2」を選択。つまり、パスポートを紛失したことを確定させ、「帰国のための渡航書」を取得するために動き始めました。
調べてみると、「帰国のための渡航書」は即日発行されるが、中国を出国するためには査証(ビザ)が必要らしく(なんで出るのにビザが要るのか謎)、それの発給に数日かかるようでした。となると、今日が木曜日なので帰国はどんなに早くても土日になりそうだとわかりました。ああ、絶望。
まずは、勤めていた会社に連絡です。上司に「明日は会社に行けない」ことを伝えないといけません。このとき勤めていた会社が、(幸か不幸か)海外旅行をメインで扱う旅行会社で、「旅行会社の社員がパスポート無くすなよ!」と怒られるのを覚悟しました。(まあ旅行会社じゃなくても普通に怒られるでしょうけど)
とりあえず上司にメール。返信は来ない(来ても見る勇気がない)。

次に、帰国便を変更するために中国国際航空のカウンターへ行きました。
正直、中国国際航空のスタッフが機内をちゃんと探さなかったからパスポートが見つからなかったのではないか、と疑いを持っていましたが、結局は忘れてきた自分の責任なので、中国国際航空に文句をつけるつもりはないです。
カウンターでパスポートを紛失した旨を伝え、この日の帰国便のキャンセルし、別の日のフライトに変更することにしました。ありがたいことに、変更の手数料はかからなかったです。査証の発給が確定したらまた空港に戻ってきて、新しい帰国便の予約をすることにしました。
役所をまわって帰国のための書類を集める
パスポートが戻って来るのをキッパリ諦めて、帰国のために必要な書類を集めを始めます。

まずは、北京首都国際空港内にある派出所に行って、「事案発生証明」を取得します。パスポートをどこで無くしたか、氏名、生年月日、旅券番号などを聞かれて、ペライチの証明書をもらいました。
この「事案発生証明」を持って公安局(北京市公安局出入境管理局)に行きます。時間がないのでタクシーに乗りました。公安の人はやたらと高圧的でめっちゃビビりました。自分の拙い中国語で意思疎通できず、英語でも上手く会話できなくて自信さえも喪失しましたが、なんとか「紛失証明」を取得しました。

というか、「事案発生証明」と「紛失証明」は何が違うんや…「事案発生証明」だけでええやろ…と何度も頭の中でブチギレてましたが(自業自得なのに)、まあここは中国なので仕方がないと言い聞かせていました。
「紛失証明」を持って北京の大使館へ。
なんでまた自分はパスポートを無くしたんだ…本当、お手数をおかけてすみません…という気持ちでしたが、大使館のスタッフの方は慣れた様子でした。紛失の届出書、渡航書発給申請書、戸籍謄本のコピー、紛失証明、顔写真を提出して、即日「帰国のための渡航書」を発給して頂きました。感謝。

公安で査証(ビザ)を申請するも3営業日後発給と聞いて再び絶望
「帰国のための渡航書」を持って再び公安局へ行きました。
出国用の中国査証(ビザ)を発給してもらうためです。これが無いと出国できません。なんで出国するのにビザが必要なのか、中国という国を理解するのは難しいです。
で、また同じように公安で申請をしたわけなんですが、マクゴナガル先生のような厳格そうな眼鏡の女性スタッフに、「査証発給まで最短でも3営業日かかる」と言われ、再び絶望しました。
今日が木曜日だから3営業日は火曜日?ということは金月火と3日間も会社を休まないといけないの?というかそんな先まで北京に閉じ込められるの?
と、めちゃくちゃ絶望していたわけですが、そんな私の顔をみた公安のマクゴナガルが、「まあ、やむを得ない理由があれば1営業日で発給できなくもない」と言うわけです。やたらと高圧的だったのに、ちょっと優しくなってる気がする。
「やむを得ない理由、というと…?」
「急を要する事由、例えば病院に行かないといけないとかかな〜(知らんけど」
おお、これは絶望の中の希望…!そういえば月曜日に病院の予約ある!(健康診断だけど)
時刻は16時半を過ぎており、この日はここでタイムアウト。しかし、一日で役所をまわりきって、出国査証発給の見通しがたてられました。
再度、公安で査証(ビザ)を申請
翌日の金曜日、健康診断の予約確認書類を印刷し(Google翻訳して中国語版も作成した)、再度公安へ。
中国語版を昨日と同じ眼鏡の女性スタッフに見せて「ほら、病院の予約あるから!翌営業日に発給してほしいです!」とお願いすると、渋々というか「しゃーないな」といった感じで、月曜日に受け取れるよう取り計らってくれました。ありがたい。

査証の発給が確定したので、翌日の土曜日に空港へ行き、中国国際航空のカウンターで帰国便の予約をしました。月曜日午後のフライトで日本に帰ることにしました。これでようやく、帰国の目処が立ちました。
翌営業日に査証(ビザ)をゲット→帰国
土日を挟んで月曜日、3度目の公安局です。無事に査証が発給されました。そのまま空港に行き、北京をあとにしました。
結果、パスポートを無くしてから4日(2営業日)で帰ってくることができました。紛失初日のほぼ丸一日を書類集め充てられたことが、功を奏したと思います。初動が遅れていたらもう1日かかっていたかもしれません。
帰国した翌日、会社に行くと上司や同僚から散々イジられましたね…旅行会社の社員が旅行先でパスポートを無くすなんてネタはなかなか無いです。
北京での滞在が延びて予算オーバーの出費となったり、会社を休むことになって有給休暇が削られたり、同僚や上司に笑われたりと(けどあまり怒られなかったのが幸い)、散々でしたが、まあ、話のネタにはなったかなと思います。
心沈むも北京の街は美しかった

査証発給待ちの土日に時間があったので、北京を観光しました。
せっかくだし万里の長城にでも行くか!と思い立ったものの、入場にパスポートが必要なんですね…故宮博物館も同様でした。パスポートって大事なんだなと、つくづく思いました。
旅費もパスポートも無く、北京の街をただ歩きました。
紫禁城の秋
故宮の中には入られないけど、外からは見られます。秋深まる10月の北京。銀杏が美しかったです。

北京の二郎系「ラーメン荘」

郷愁の念からラーメンが食べたくなり、北京の二郎系に行きました。大使館の近くにありました。土日ともに2日連続で行くほど美味しかったです。
以上です。
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