雪山、放牧、砂漠──西安からウルムチへ26時間の鉄道旅|ユーラシア横断 #2
こにぞーです。
陸路の旅に取り憑かれた旅好きの30代です。
鉄道の旅では、窓の外をボーッと眺めている時間が一番好きです。
過ぎ去る景色がだんだんと変わってきて、「ここではないどこか」へと向かっている確かな実感があります。

西安からウルムチへの列車の旅は、そんな「没入」が長く続く旅でした。オセロを始めては飽き、また始め、車内販売の声を聞きながら、窓の外の大地が少しずつ乾いていくのを眺めるだけの時間。
ただ移動しているだけなのに、車窓の景色に吸い込まれて、旅がどんどん深まっていく──そんな26時間の鉄道旅を記録しました。
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西安→ウルムチ鉄道旅
朝5時半、シルクロードを結ぶ鉄道に乗る
まだ暗い早朝の西安駅には、冷たい空気がどんよりと流れていました。
シルクロードの起点であり、かつて都があった西安。ここからウルムチへの旅を始めます。薄暗い待合室には、大きな荷物を持った旅客がいっぱい。ベンチで寝ている人もいました。

眠いし、寒いし、腹も減ったし…ってことで朝食を買おうと売店を探しましたが、ほとんどが開店前。開いている一軒を見つけて、とりあえずバナナを買いました。列車の旅の朝食とします。
出発の少し前から改札が始まり、チケットを見せてプラットホームに入場。そのまま列車へと乗り込みました。細い廊下に三段ベッドの客室。
列車は定刻の06時03分に出発しました。26時間の鉄道の旅の始まりです。
何もないけどそれが楽しい
鉄道って、乗るまでは妙に緊張するんですが(遅刻しないか、ホームが合ってるかなど)、席に座った瞬間にふっと気が抜けて、もうめちゃくちゃ快適なんですよね。
また、目的地に着くと観光したり飯食ったりと「やること」が待ち構えているわけなんですが、列車の中では予定が一切ないわけです。その「何もしなくていいんだ〜」という状態が、心をゆるませてくれる気がします。

8時頃になってようやく陽が昇ると、周りの乗客たちが朝食をとり始めました。私はバナナを食べました。列車の中で、乗客たちが思い思いに朝食をとっているのを見るって、なんか良いです。みんな知らない人たちだけど、同じ列車で同じ朝を迎えているという、連帯感のようななものがある気がします。

程なくして、宝鶏駅に到着。各駅で5分から10分程度は停車するようで、ちょっとだけホームに降りてみました。ほとんど人のいないホームで、肉まんを売っているおじさんがいました。美味しそうだったけど…迷っているうちに買いそびれてしまいました。

10時に天水駅に到着。陝西省から甘粛省に入りました。天水駅にもほとんど人がいなかったです。天水駅を越えた頃から、だんだんと外の景色が変わってきたように思います。山の緑が減っているような。土地が乾いているような。

蘭州でカップ麺を買う
昼頃に蘭州駅に到着。ここまで来ると中国でもかなり内陸部ですが、思っていた以上に蘭州は都会で、駅周辺にはタワマンが建ち並んでいました。

蘭州駅のホームには売店があり、私は紅焼牛肉麺を、友達は蘭州牛肉麺のカップ麺を買いました。中国の列車内では、熱いお湯が無料で提供されており、お茶を飲んだり、即席麺を作ったりできるんです。

蘭州を過ぎると、いよいよ砂漠のような乾いた土地の景色になってきました。カップ麺をすすり、友達はビールを飲み、なんとなく落ち着くと、特にすることもなくただ窓の外を眺めていました。スマホでオセロの対戦をしたりもしました。どっちが勝ったのか覚えていないですが、覚えていないぐらい些細な勝負だったと思います。
西寧を越えると窓の外の景色が変わってきた

砂っぽい山々をいくつ過ぎたか、西寧駅に到着しました。16時半でした。
西寧は青海省の省都で、チベットへの入口とも言われています。この西寧駅は青蔵鉄道の起点となる駅で、チベット自治区のラサ(拉薩)まで続いています。標高が2,000m以上あるため、列車からホームに降りてみると、やや薄い空気が冷んやりして、いよいよ中国の奥地まで来たなという実感を持たせてくれました。
雪山、放牧、砂漠
西寧を出るといよいよ辺境らしい風景に変わってきました。ついに雪山が見えてテンション爆上がり。その麓では羊が放牧されており、シルクロード感満載でした。

いくつかの雪山を越えると、低い山しかない砂漠のような土地に入り、このあたりで夕暮れ。21時頃でした。中国北西部は夕暮れが遅いのです。

さすがにオセロにも飽きた
夜になると本当にすることがありません。携帯の電波はなにも拾いません。
晩ご飯を買おうと、嘉峪関の駅の売店を覗いてみましたが、美味しそうなものが何もなく…結局、晩飯抜きとなりました。列車の旅の食料調達は早めにすべき、という教訓を得ました。
飯も食えず、さすがにオセロをするのにも飽き、外は真っ暗。22時に消灯され、就寝しました。
翌朝9時、ウルムチに到着!

朝起きると、列車は新疆ウイグル自治区に入っており、既にトルファンを通過していました。乗客はそれぞれ身支度をしたり、顔を洗ったりしていました。私も歯を磨き、水を飲み、身の回りのものをバックパックに仕舞い、出発の準備をしました。
窓の外を見ると、朝陽に染まる山々があり、非常に美しかったです。何時間も列車に乗った甲斐があったといえる風景。新疆ウイグル自治区に入ってから、山が一層美し見える気がします。

9時10分、定刻より1時間ほど遅れて終点のウルムチに到着しました。駅員さんが「乌鲁木齐到了!」と大きな声で(もはや怒鳴るように)叫んでおり、乗客は大きな荷物を抱え、急かされるようにホームへと降ろされました。
この列車の旅は私のYouTubeチャンネルでも紹介しています。ぜひご覧ください!
ウルムチ滞在期
国家AAAAA級景勝地「天山天池」
ウルムチ駅に到着するや、慌ただしくタクシーに乗り、ウルムチ北郊バスターミナル(乌鲁木齐北郊客运站)へ向かいました。ここからバスで阜康へ行き、そこでタクシーに乗り換えて、天山天池(てんざんてんち)へ行くのです。
天山天池は、天山山脈の東端に位置する氷河湖です。 ウルムチ市中心部から東へ45キロメートルの距離にあります。
標高5,445mのボゴダ峰とエメラルドグリーンの湖面が美しいと、「地球の歩き方」に書いていました。この美しい山と湖を見るためにウルムチまで来たのです。

バスを1本見過ごしてしまうミスがあり、ウルムチに到着してから2時間ほどかかって天山天池の入口まで来ました。物見櫓が二つもあるやたらと立派な(その割に中はなにもない)建物に入り、チケットを購入。155元(約2,500円)もしました。さすが、国家AAAAA級景勝地です。Aが多い。Aの分だけ入場料が上がってるんじゃないか?
入口からはバスに乗って1時間ほど山を登ります。そうしてついに、天山天池に到着。

素晴らしい景色でした。到着した頃は曇っていたのに、だんだん晴れてきて、ボゴダ峰がくっきりと見えました。テンション爆上がり。感動。やはり自分は晴れ男なんだと自覚。
激辛火鍋 & 激甘ケーキ
ウルムチ市内に戻ってきて、夕食を食べに火鍋屋さんに行きました。「皇城食府」というウルムチ中心部にあるお店です。

手加減なしの辛さでした。あんまり辛くしないでと言ったのに、めちゃくちゃ辛かったです。羊肉が美味しかったけど、とにかく辛くて食べるのに苦労しました。美味しかったですけどね。ここではビール(燕京ビール)が飲めたので、友達はグビグビ飲んで辛さを洗い流していました。
その後、辛い口の中をどうにかしようと、火鍋屋さんの近くにあったカフェに入りました。

ウルムチに洋風のカフェがあることにビックリしました。ウルムチと聞くとシルクロードのオアシス都市で今でもラクダが行き来しているような(あまりにもステレオタイプな)イメージがありますが、新疆最大の都市であり、人口は450万人もいるんですね。大都会です。
このカフェは人気のお店のようで、若い人たちで賑わっていました。コーヒーを飲み、ケーキを食べました。ケーキはただただ甘いだけでしたが、それでも火鍋のあとに食べる甘い物は美味しいです。
ウルムチ街歩き

翌日。この日の夕方には、飛行機に乗って北京経由で日本に帰る予定でした。
少ない時間の中でウルムチという街をできるだけ知りたい。日が暮れるまで、この街を足で歩いてみようと思いました。

国際バザールを歩くとスパイスの香りでいっぱい。ウイグル感漂う市場の雰囲気をゆっくり見ていきました。なんとなく入ったお店で食べたプロフがすごく美味しかった!干しブドウが入っていて甘くて美味しい。新疆の料理の味付けはけっこう好きです。

紅山公園の高台に登ると、ウルムチの街が見渡せました。やっぱりウルムチは都会です。この日は天気がよくて、空気が澄んでいました。

もっと歩きたくて、下町っぽい地域の路地に入って、ナンを買ってみたり、羊の串焼きを食べてみたり。道行く人を見ていると、ウルムチでの暮らしがどんなものかが分かったような気になれて、面白いです。


あちこちで、仕事内容が書かれた板を持っている人が広場でたむろしていて、これは何だろうかと不思議に思いました。

どうやら仕事の依頼を待っている職人さんのようです。こんなので客引きできるのか?と思わないでもないですが、何時間も待っている様子を見ると景気は良くなさそうです。

そんなこんなで日が暮れてきました。最後に、夕暮れ時のウルムチの街を写真に収めて、タクシーに乗って、空港へと向かいました。
次回:北京でパスポートを無くした話
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