メイドットの黄金比 vol.01

あらすじ

この国の金持ち全員だましきれ!詐欺師と贋作師の一攫千金コメディ!
腐敗はびこる大イースタニア帝国で、悪い金持ちから巻き上げた金を貧民に配る17歳のペテン師・メイベル。ある日彼女は、自らを世界一の贋作師と名のる少女・リルドットに出会う。
リルドットは、史上最強の王族と言われたエドムンド・イーストミンスターが残した財宝を探しだす一攫千金を夢見ていた。育ての親が襲われたことをきっかけに、メイはリルドットと手を組む。
ふたりは王宮からイーストミンスターの巨大絵画を盗み出し、それをエサに国中の金持ちをだます旅に出る。その一方、財宝を狙いい、育ての親を襲った敵がふたりにしのびよっていた。

本編

中世の英国風の屋敷の大広間。でっぷりした悪人面の老人、ノード男爵が床にヒザをついて怒鳴っている。

ノード男爵「馬鹿な!」

床には、彼が怒りに任せて壊したグラスや家具が散らばっている。

ノード男爵「あいつ… あの女は… 私をだますためだけに、ここまで準備をしたというのか?!」

男爵の隣には、金髪長身の美女・リルドットが立っている。黒いノースリーブのドレスを着こなし、男爵とは対照的にいたって冷静だ。その視線には、男爵に対する軽蔑すら感じる。

ノード男爵「これが、潔癖の偽善師か…!」

***

にぎやかな朝の市場。新聞を持った男が、果物屋のさえない店主に興奮気味に話しかけている。

お客「おい、また出たってよ。"潔癖の偽善師"が!」

果物屋「悪い金持ちから取った金を、皆にバラまいてるっていうペテン師のことか?」

お客「ああ。今回は東の男爵から全財産をだまし取ったらしい。」

果物屋「あの男爵はひどかったらしいからね。でも、そんなにお金を取ったなら、ちょっとぐらい俺にも分けてほしいなぁ。明日は子どもの誕生日で…」

メガネをかけ、この時代には珍しい女性向けズボンを履いた黒髪の女性、メイが横で話を聞いている。売り物のリンゴを取って、店主に代金をわたす。

メイ「お釣りはいらないから」

果物屋とお客は、足早に去っていく彼女をぽかんと見る。彼女が去った後、代金を見た果物屋が大声をあげる。

果物屋「なんだこの大金は!」

少し離れたところでその叫びを聞いたメイが、メガネを取って小さく笑う。

メイ「ちょっとぐらいは分けてあげないとね」

通りを歩くメイ。路上には、飢えた子どもや物乞いをする老人がたくさんいるが、誰も気にかけていない。

ーー私は潔癖の偽善(ルビ:ペテン)師・メイベル。
ーー腐敗と汚職がはびこるこのイースタニア帝国で、悪い金持ちからペテンでお金を巻き上げている。
ーーだましとったお金はすべてこの組織に渡し、組織はそれを貧しい人たちに配っている。

大通りを離れたメイは、細い路地裏にある "組織" の事務所のドアを開ける。

メイ「ただいま」

親父「だからこれは俺の飴ちゃんだーーーーッ!!!」

子ども「嘘だ!おっちゃん昨日も食べてたもーーーん!!!」

せまい事務所のテーブルの上には、書類が山積みになっている。奥の方では、初老の男性と5歳の子どもがペロペロキャンディをめぐって本気で言い争いをしている。メイに気づいた親父が声をかける。

親父「おう!メイか。おかえり。」

メイ「親父、また近所の子を預かってるの?」

親父「仕方ないだろ。ひとりでさみしそうだったし……」

その隙をついて、子どもが親父が持っていたペロペロキャンディをばくっと手ごと食べる。

親父「あーーー!こら!よだれで手がべとべとに…」

メイ「もう噂になってたよ。昨日のこと」

言い争いをスルーして、メイが言う。親父の表情が変わる。

親父「だろうな。今回の "仕事" で随分もうかったから、しばらく子ども達も食べるものには困らんだろう。お前のおかげだ」

メイ「私は親父の指示にしたがっただけ。」

親父「それでも、1年以上もあの館に行商人として潜伏して、信頼されるために貿易商の国家資格まで取ったのはお前だ。本当にたいしたやつだよ、メイは」

メイの頬が少し赤くなる。

メイ「ペテン師は用意がすべてだからね。親父が教えてくれたことだよ」

親父「悪い金持ち以外は巻き込むな。これも俺が教えたことだ」

親父がテーブルに新聞を投げる。『潔癖の偽善師、悪領主を討つ!』の見出しの下に挿絵があり、怒るノード男爵と若い金髪の女性の姿が描かれている。

親父「彼女のことは、お前の報告にはなかったな。新聞には "標的" の娘だと書いてあったが、本当か?」

メイ「わからない。確かに館で見たことはあるけど、"標的" と仲がよさそうには見えなかった」

親父の目つきが厳しくなる。

親父「"標的" はあれから夜逃げしたらしい。もし娘なら、彼女が代わりに借金を負うことになる」

メイの目が泳ぐ。

親父「俺たちは罪のない人を "仕事" には巻き込まない。俺たちは偽善者だ。偽善者なりのやり方がある」

メイ「娘だと決まったわけじゃないし、娘だとしても罪がないとは限らない。私は最善を尽くした」

親父がため息をついた。

親父「そうだな。お前を信じるよ」

メイが少し考え込む。後ろで親父が、子どもを抱きかかえて「ほーら、もうすぐお父さんが迎えにくるぞー!」とあやしている。

***

夜。満月に照らされたノード男爵の屋敷の庭で、目立たない格好をしたメイがこそこそと木陰に隠れている。

(結局来ちゃった……)
(親父、関係ない人を巻き込むとすぐ悲しむのよね)
(あの女の人がいまどうしているか確認したら、さっさと帰ろう)

館の庭にある小屋にこっそりメイが近づいていく。

(あの人、館にはほとんどいなかった。いるとしたら…)

メイが窓から小屋の中をのぞく。暗くて見えず、手に持っていたランプを高く掲げる。その瞬間、壁や床に巨大な油絵が大量に貼られているのが見える。

メイ「なに、これ……」

絶句するメイ。窓のカギが開いていることに気づき、そのまま小屋に侵入する。絵ひとつひとつにランプをかざす。

メイ「え、これ….」「これも、これも…」「全部、私でも知ってる絵だ」

リル「当たり前でしょ」

暗闇から、金髪の女性リルドットが全裸で現れる。暗くて体はほとんど見えないが、胸元に八角形の大きなペンダントをつけているのはわかる。

メイ「イヤーーー!!キャーーー!!!」

リル「うるさい」

リルが腰に手を当て、ぶるぶる震えて座り込んでいるメイを上から下までじろじろ見る。

リル「あんた、この家から全財産をうばったペテン師じゃない。何しに来たの?」

メイ「いやその… あなたが借金を肩代わりするかもしれないって聞いたから…」

少し落ち着いたメイが、上目遣いでリルを見る。リルは眉をひそめる。

リル「あたしが?しないわよ」

メイに背を向け、大胆に背中の空いたドレスを着ながらリルが言う。

リル「面倒だから新聞には娘って言ったけど、あれは嘘。用事がすんだら今夜にでもトンズラするわ」

リルが心底迷惑そうな顔でメイを見る。

リル「それより、あんたに文句言いたかったのよ。抜け駆けするなんて最低じゃない?」

メイ「抜け駆け?」

リル「あたしもアイツからだまし取るものがあったの!あんたのせいであたしの計画が狂ったのよ!」

メイ「なにそれ?あなたも同業者(ルビ:ペテン師)ってこと?」

それを聞いたリルがブフーっと鼻で笑う。イラッとするメイに向かって、リルがからかうように言う。

リル「ペテン師なわけないじゃない」

窓のカーテンを開ける。部屋の大量の絵画を背景に、リルが不敵に笑う。

リル「あたしは画家。世界一の贋作師よ」

メイ「贋作師……?」

リルが、床に座ったままのメイの手を取る。

リル「ちょうどいいわ。あたしいまから館に行こうと思ってたの。ついてきて」

***

荒れた屋敷の廊下を、ランプを持ったリルがずかずか歩いていく。リルのヒールの音がカツカツ響く。その後ろを、メイが恐る恐るついていく。

メイ「ねぇ、何しに行くの?この館の物にはもうめぼしいものは…..」

リル「贋作」

リルが廊下に飾られた風景画を、急に指差す。そのまま隣にある絵画や壺を次々と指さして言う。

リル「贋作。」「贋作。」「これも贋作。」「ねぇ知ってる?この世の芸術品の2/3は贋作だって言われてるの」

メイが怪訝な顔をする。

リル「そんなわけないって顔してる。まぁいいわ。この館は9割以上は贋作ね。でも、ひとつだけ本物があるの。どれかわかる?」

大広間に着いたリルが、振り返ってメイを見る。メイは、広間で一番目立つところに飾られているノード男爵の肖像画を指差そうとする。

リルはそんなメイに目も向けず、「よかったー!あったー!」と言いながら上座にある大椅子の背もたれに取り付けられた大きな宝石を、ガコンという大きな音とともに取り外す。

メイ「ちょっと!いくら金目のものがないからって、そんなものまで取るなんて…」

リルがそのまま宝石を暖炉の上のくぼみに載せる。途端、暖炉の床が開いて人ひとりが通れるほどの階段が現れる。

驚いて声を失っているメイの横で、リルがつぶやくように言う。

リル「やっぱりね。文献で調べて行き方はわかってたんだけど、あいつがずっとこの部屋にいるから試せなかったのよ。」

そのままリルが階段を降りていく。ためらうメイ。

リル「ちょっと!来ないの?」

階段からリルがひょこっと頭を出してメイを見る。

メイ「いや….私も行っていいの?」

リル「当たり前じゃない。このために来てもらったんだから」

メイ「そのためって?」

リルがあっけからんとした口調で言う。

リル「あたし、暗いとこ怖いのよ」

***

地下の階段を降りていくと、すぐに古い重厚な石の扉にたどり着いた。リルが扉を開けると、中はなにもない石のレンガで出来た地下室が広がっている。

メイ「….何もないけど?」

リル「あんた盗んだ?」

リルが疑り深い目でメイを見る。

メイ「盗んでないわよ。私は男爵に『金目のものをくれたら倍にする』って言っただけで館をあさったわけじゃないし」

リル「じゃあ男爵がこの地下室を知っていて、中の宝をあんたに渡したのかもね。男爵から渡されたものの中に、古いリンゴの絵画はなかった?」

メイは男爵からだましとった時のことを思い出そうとする。

ーーメイ「それは売らないの?」
ーー親父「これは売らない」
ーーそう言って親父は古びた絵画を1枚丸めて、売り物とは別に事務所の奥にしまいこんだ。

メイ「あ。」

リル「盗んでるじゃない!あたしがその絵のためにどれだけ頑張ったと思ってるの?!」

メイ「あなたが探してるなんて知らなかったの!」

リルに掴みかかられ、メイが体勢を崩す。メイの右足が、八角形の文様が刻まれた石畳みを踏む。
部屋全体が突然揺れ、部屋中のレンガの隙間から黒い液体が流れだす。

(揮発性の油…?!)

においをかいではっとするメイ。部屋の仕掛けに気づいたリルとともに出口に走るが、リルはヒールがひっかかって転んでしまう。リルが持っているランプの火が、床の油につきそうになる。

メイはリルを出口に突き飛ばす。ドーンという音がして油に火がつき、部屋が炎につつまれ、メイの姿が炎で見えなくなる。

メイに突き飛ばされたおかげで出口に間に合ったリルは、振り返って部屋全体に燃え盛る炎を見てしばらく呆然とする。
が、意を決したように口をぎゅっと結ぶとメイを助けるために炎の中に飛び込もうとする。

メイ「待った待った待った!」

後ろから、猫のようにリルの首根っこをひっつかむメイ。驚いて振り返るリル。

リル「あんた死んだんじゃなかったの?!」

メイ「勝手に殺さないでよ。別の仕掛けを踏んだらしくて、床に急に穴が空いてそこに落ちたの。たぶん避難用の仕掛けだったのね。落ちた先に階段があったから、真っ暗な中を登ってきたらあんたが見えたの」

ふたりはしばらく何も言えずに見つめ合う。リルが黙って、石の扉を閉めて階段を登り始める。

リル「燃えるものがないとはいえ、煙は出るわ。早めに脱出しましょう」

布を口にあてながら急いで階段を登り、大広間に戻るふたり。疲れてメイが座り込む。その隣で、リルがぜえぜえ言いながら大の字で寝転ぶ。

リル「……あんた、あの状況でよくあたしをかばおうと思ったわね」

メイ「…….そうするように教えられてきた」

リル「…….誰に?」

メイ「親父。血のつながってない私を、娘みたいに育てた偽善師。私たち親子は偽善師だから、どんなときでもそうする」

リルが起き上がり、あごに手をあててじーっとメイを見る。

リル「……あたし、リルドット」

メイが、首を動かさず目だけリルの方に向ける。

メイ「メイベル。メイって呼ばれてる」

リル「ねぇメイ」「あんた、あたしの相棒になってくれない?」

メイ「は?」

***

リル「ねぇ〜!相棒になってよ〜!」

館から出て事務所に帰ろうと急ぐメイを、リルが後ろから追いかける。

メイ「しつこい。なによ急に」

リル「だってメイ、すごくいいやつだもん。同業者だし、あたしたちって最高の組み合わせだと思わない?」

メイ「思わない。だいたい同業者じゃないってさっきあなたが言ったんでしょ」

リル「つ〜れ〜な〜い〜!でもそんなところもかわいいぞ♡」

メイ「うるさい。だいたいあなたと組んで私にどんな得があるのよ」

リル「あら、それ聞いちゃう?」

リルがメイの前に踊りでる。長い髪を耳にかけながら、決め台詞のように言う。

リル「そもそも、メイも気になってるでしょ?なんであたし達がさっき死にかけたのか。なんであたしが古びた絵をここまで探してるのか。どうしてあたし達が最強のふたり組になれるのか。」

メイ「最初のひとつしか興味ない」

リル「じゃあ最後から答えちゃう!あたしはいっか…….」

喋り始めたリルを無視して、メイは「ただいま」と言って事務所のドアを開ける。

親父「遅かったな。どうしたんだ」

リル「こんにちはー!今日からメイの相棒のリルです!」

後ろから入ってきたリルが親父ににこやかに挨拶をする。メイが振り返り、うんざりした顔でリルに言う。

メイ「あのね。私は組織のために働いてるの。いくら寛大な親父でも組織はそう簡単に抜けられない。あなたと相棒になるなんて……」

親父「いいぞ」

メイ・リル「えっ?」

親父「うちを抜けて、その女性と組むんだろ?別にいいぞ」

***

事務所を出て再び小屋に向かって夜の道を歩くふたり。来たとは逆にリルが前、メイが後ろから元気なさそうに歩いている。メイがついさっきの会話を思い出す。

ーー親父「いい機会だ。外でも見てこい」
ーーメイ「こんなどこの馬の骨かわからない女に、私を取られて不安じゃないの?!」
ーー親父「大きな声で挨拶ができる奴に悪い子はおらん。ハキハキしたいい子じゃないか」
ーーメイ「いい子判定、甘すぎじゃない?!」
ーー親父がカバンを投げてよこす。
ーー親父「お前はもう組織の人間じゃないからな。荷物は持ってけ。手紙もよこすな。達者でやれよ」

メイ「私、親父に捨てられた…….」

リル「そういうこともあるわよ。メソメソしないで」

メイ「あなたのせいでしょ!あの一瞬で親父にどう取り入ったの!?」

リル「何もしてないわよ。強いていえば美人すぎたかもしれないけど」

メイがにらむ。

メイ「で、結局あなたは何がしたいの?」

リル「あたしは贋作師」

メイ「それは知ってる」

リル「で、一攫千金ねらいなの。イーストミンスター家の財宝をねらってる♡」

メイ「イーストミンスターってあの史上最強の王族の?」

リル「そう!正確にはその初代当主、"黄金王"エドモンド・イーストミンスターが残した財宝よ。物乞いから王まで成り上がった彼には、一生かけても使い切れないほどの財宝があった。でも彼の死後、その宝はどこにも見つからなかった。一説には、彼が物乞いだった頃に行方不明になった妹のために財宝を隠したんじゃないかと言われてる。で、その隠し場所は.…..」

ドーンという爆発音がする。事務所の方角から煙があがっている。

メイ「親父?!」

メイが事務所にむかって走りだす。リルが後からついていく。さっきいた事務所は燃え上がり、消防士が必死に火を消している。家の前では親父がよく預かっていた近所の子どもが泣いている。メイが近くにいた消防士に食い入るように聞く。

メイ「中の人は?!」

消防士「わからない。火が回るのが早くて…..」

火の中に飛び込もうとするメイの首根っこを、リルが捕まえる。

リル「馬鹿ね!道連れになるわよ!」

メイ「でも親父が……」

リル「あなたの親父さん、館にあった絵を持っていたのよね。それってこの事務所にあったの?」

メイがへなへなとその場に崩れ落ちながらうなずく。リルがぼそっとつぶやく。

リル「先を越された…….かな」

燃え盛る家の前で、ふたりは立ち尽くす。

***

翌朝。跡形もなくなった事務所で、メイがうずくまっている。少し離れたところに何も言わずにリルが座っている。
きちんとした身なりの男が現れる。

弁護士「失礼ですが、メイベル・ブラックさんでしょうか?」

メイ「……はい」

弁護士「私は弁護士。ここの事務所のバーベリック・ブラックさんに何かがあったとき、あなたにこれを渡すよう頼まれていました」

弁護士の男が、メイに手紙を差し出す。親父の汚い字で「メイへ」と書いてある。弁護士の男が去ってから、メイは焼け跡でひとり手紙を読む。

ーーメイへ。お前がこれを読んでいるということは、俺はもうこの世にはいないだろう。この言葉を一回言ってみたかった。

メイ「うるさいよ」

ーー俺がいなくなったことは気にするな。お前は自分で思うよりなんでもできる。お前は俺の誇りだから。

メイの目からじわりと涙がにじむ。

ーーただ、言っておかないといけないことがある。お前はいつか、イーストミンスター家の紋章を持つ者と会う。八角形の印を持つ者だ。

メイが顔をあげてリルの方を見る。リルは少し離れたところで消防士の人のお弁当をおねだりしている。その胸には、八角形のペンダントがぶらさがっている。

ーー紋章を持つ者は二種類。とことん信じられる者、信じてはならない者。その真ん中はいない。お前なら、相手がそのどちらか見抜けるはずだ。
ーーこれ以上、詳しいことはここには書けない。何も言わずにいなくなってすまない。
ーー紋章の謎を解き明かせ。俺ができなかったことを、こうして託すことを許してくれ。

メイ「親父、何の話をしてるの……?」

リル「あたしに付いてきたらわかるかもね」

いつの間にか横に来ていたリルが言う。メイがあわてて手紙を隠す。

リル「親父さん、相当あぶない橋をわたっていたんだと思うよ。あんた達が館から手に入れた絵画は、イーストミンスターの財宝の手がかりだったから」

メイ「それがわかっていたから、親父は私をあなたのところに逃がしたのかな」

リルは答えず、メイに手を伸ばす。

リル「イーストミンスターのお宝は、彼が持っていた絵画に隠された暗号を解けば見つけられると言われている。あたしは一攫千金のため。あんたは親父が残した謎を解くため。もう一度言うわ」「あたしの相棒になってくれない?」


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