雲南メシ 汽鍋鶏(チーグゥオジー)
[日] 汽鍋鶏
[中] 汽锅鸡
汽鍋鶏と原理
汽鍋鶏は昆明から南に約160km、窯業が盛んで紫陶が有名な建水の名物料理。 汽鍋と言う土鍋で鶏を蒸し煮にした超濃厚鶏スープ。今では過橋米線と並ぶ、雲南を代表する料理になっている。



汽鍋は鍋の中央に「汽嘴」という管が通る土鍋。もう一つの鍋「底鍋(外鍋とも)」に水を張って沸かす。汽鍋には水を入れずに鶏肉と塩、香味野菜や漢方食材などを入れて、底鍋の上に置いて蒸すと、底鍋からの水蒸気が汽嘴を通り汽鍋の蓋の裏につき水滴になり、それが落ちて汽鍋の中に溜まりスープになる。元々食材に含まれている水分と旨みも滲み出す。スープの温度は95℃前後で沸騰することはない。3-4時間蒸すと濃厚な鶏スープが出来上がる。


原理は北アフリカのタジン鍋に似ているが、水を使わないで調理するように発展したタジン鍋と、水が豊富な建水で発展した汽鍋の収斂進化が面白い。
汽鍋鶏の由来
言い伝えでは、今から200年ほど前、清の乾隆帝の時代に、建水の福徳居という料理屋の楊瀝という料理人が鶏を煮た鍋料理「楊瀝鍋」を開発した。
※昆明郊外の楊林鎮で冬虫夏草を与えて育てた「楊林鶏」を煮た鍋料理「楊林鍋」が起源という説もある。
気鍋は1912年建水の陶工、向逢春が開発したと言われている。
20世紀に入り、「楊瀝鍋」は「建水汽鍋」を使って蒸気の力で蒸し煮にするように改良された。雲南特産の冬虫夏草などの漢方食材を入れるようにもなり、正しい「気(中国医学でいう人の体内を巡る活力)」を養う鍋「培養正気鍋」と呼ばれるようになった。「正気」と「蒸気」は中国語で同じ発音(声調は異なる)。1950年代から「汽鍋鶏」という名前で周囲に広まった。
大学時代を昆明で過ごした文人の汪曾祺(1920-1997)によれば、昆明のある汽鍋鶏店には「培養正気」という大きな額がかかっており、「今日は正気を養いに行く」というと「汽鍋鶏を食べに行く」という意味だった。この店は残念ながらもう無いと言う。
(筆者注 これにあやかり「正気汽鍋鶏」と言う名前で汽鍋鶏を売るレストランが昆明にある。)
基本のレシピ
汽鍋があれば、食材を入れて放置するだけなので超簡単。汽鍋と水蒸気の力で美味しいスープが出来る。
※「汽鍋」と、汽鍋が乗るサイズの「底鍋」が必要。汽鍋は直接火にかけず、必ず底鍋の上に乗せる。

材料 2-3人分
鶏もも肉、手羽など(骨付きの方が良い) 800g-1000g程度
生姜スライス 2片
塩 8g
クコ 10粒(入れなくても良い)
※生姜、塩、クコの量はお好みで調整のこと。
※きのこ類、ナツメ、漢方食材などを加えてもよいし、お好みでアレンジを。

作り方
1. 底鍋に水を入れ沸かす。
2. 汽鍋に鶏肉と生姜スライスを入れる。
3. 汽鍋を底鍋の上に乗せて弱火で3時間蒸す。底鍋のお湯が無くならないよう注意、少ないようであればお湯を足す。
4. 火を止める10分前に塩とクコを入れる。火傷に注意!汽嘴から蒸気が噴き出している。
5. 10分経ったら出来上がり。
※筆者は3ℓの底鍋に2ℓくらい水を入れている。3時間蒸しても水は0.8ℓほど余る。3口タイプの大きい方のコンロにかけ、火力は一番弱くしている。
その他
鶏肉以外に、豚肉、牛肉、魚、野菜などでも美味しいスープができる。
中国の市場の鶏肉は丸鶏や骨付きの腿肉など、基本は骨付きで売られているが、日本のスーパーの鶏肉は骨付きでない場合が多い。骨から滲み出るタンパク質が分解して「アミノ酸=旨み」になり深い味わいのスープになるので、骨付き肉があれば入れた方が良い。

