見出し画像

京都国立博物館、特別展「日本、美のるつぼ」 日本の宝、異文化交流のるつぼから生まれたの?

日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―

京都国立博物館に行ってきました。
とはいえ、行ったのは前期ぎりぎり5月10日です。この国宝展、作品の入れ替えがむちゃくちゃ激しく移動させていて、見たい作品と期間を確認しないと空振りもあり得ます。

日本の宝がるつぼから生まれってどゆこと?

国宝って日本の宝って意味だよね?
るつぼ、、って人種と文化の「るつぼ」NY!みたいに、入り混じるイメージだけど???

ということで、公式から

世界と出会う、日本の美術
古くから、日本列島では海を介した往来によって異文化がもたらされ、その出会いのなかでさまざまな美術品が創り出されてきました。その作品のひとつひとつが豊かな交流の果実であり、いうなれば、日本という「るつぼ」のなかで多様な文化が溶け合って生まれた奇跡なのです。

なんと!
日本の国宝は、日本のオリジナルでゼロから作られたわけではなく、海外の異文化との交流から、「るつぼ」のなかで多様な文化が溶け合って生まれたというのです。

島国なのに文化はるつぼ?!これは異なこと。
日本文化のルーツは海外にあり。
これは興味深いですね。

会期は、
2025(令和7)年4月19日(土)~6月15日(日)
[主な展示替]
前期展示:2025年4月19日(土)~5月18日(日)
後期展示:2025年5月20日(火)~6月15日(日)
※会期中一部の作品は上記以外にも展示替

奈良博、大阪市美とほぼ同じ。
かなり短いです。2ヶ月弱です。
場所は、京都国立博物館 平成知新館
アクセスは、JR、近鉄、京阪電車、阪急電車、市バス

このあたり、実は地下鉄の駅がないんです。
三十三間堂のお向かいになり、実はJR京都駅から歩くのがいちばん早いかも。約15分というところ。

歩いてる外国人がめちゃくちゃ多い。
日本人は近くても市バス利用ってことかな。
バスだと、京都駅下車、駅前市バスD2のりばから206・208号系統にて博物館三十三間堂前下車、徒歩すぐ。

さて、さっそくいきましょう。
題して、大河ドラマファンからみた国宝展推し

音声ガイド 冨永愛さん

音声ガイドナビゲーターは世界的トップモデル、冨永愛さん。冨永愛さんはNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で、大奥総取締の高岳を演じられており、やや低めの落ち着いた声で聞きやすい。

大河べらぼうより

音声ガイドの裏話スロットで、京都博の女性学芸員さんと「えー、そーなんですか、びっくり」みたいな楽しそうな会話にほっこりします。

万博で世界の集まる機会に、日本の芸術文化の特質を見直す

京都国立博物館の松本伸之館長は本展について、「タイトルにある通り、万博で世界各国の方々が集まるこの機会に、日本の芸術文化の特質を見直していただこうと企画した」とのこと。

世界と日本の違いを実感するには、まずは日本文化とはなにか? 象徴たる国宝を知らずして世界の文化がどう違っているか、または共通の部分はどこか、わからないですものね。

そして、今回も写真撮影禁止なので写真はありません。実際に足を運んでみてください。
料金:一般 2000円、損はありません。

構成はプロローグからエピローグまで、11セクションもあり、京博の建物を上下左右に動き回るので、割と体力使います。 
いつも思いますが、京博の館内の人の動線ってあまりよくない気がする。

プロローグI 万国博覧会と日本美術 世界に見られた日本美術

プロローグIからとんでもないラインナップです。
やはり葛飾北斎は外せない。2004年クリスティーズ・ニューヨークのオークションで5億円の値がついた、あの北斎の本物です。葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」「凱風快晴」など。

かなり順番待ちが長くて、諦めて2列目から観覧しました。
絵のサイズが約縦25cm×横38cmと思ったより小さいですが、実物は写真以上に鮮やか。
江戸時代の文化レベルの高さに驚きます

プロローグII世界に見せたかった日本美術

ここでは、1番並んでいたのは、国宝、俵屋宗達
<風神雷神図屏風>
 京都建仁寺蔵 ですね。
まぁしかし、京都博には常設展示で、建仁寺ではディジタル複製画が見られるので、目新しくはないかな。
 個人的な推しは、「埴輪・鍬を担ぐ男子
珍しくないですか?農具を右手に持つ埴輪。おーい、はにまる君みたい。

ちなみに、このセクションの副題「世界に見せたい」とあるのは、明治33年(1900)のパリ万博では、日本初の日本美術史をフランス語で編纂し、豪華な装丁を施して展示したことによるから。
ただ、この編纂史は万博開幕に間に合わず、パリ会場でスタッフが仕上げたそうですよ。冨永愛さんが「えー!間に合わなかったんですかぁぁ⁈という副音声が楽しかった。

第1部 東アジアの日本の美術 Ⅰ 往来がもたらす技と美

ここでの推しは、国宝でも重文でもない「高松塚古墳壁画模写のうち 東壁・西壁」です。あ、本物はむろん国宝ですよ。見ることは出来ませんが。

それぞれ青龍(せいりゅう)と太陽、白虎と月をモチーフに、男子群像と女子群像が描かれており、やや不鮮明ながら飛鳥時代の高度な文化を感じられました。
女子群像なんか、すごく生き生きしていて、4人の距離も近く、おしゃべりが聞こえてきそう。

第1部 Ⅱ 教えをもとめて

迫力というか、特級呪物のオーラをびんびんに感じたのが、宝桕華迦陵頻伽蒔絵壗冊子箱
(ほうそうげかりょうびんがまきえそくさっしばこ) 京都仁和寺の国宝です。
空海が唐から持ち帰った経典を守るため、醍醐天皇が作らせた蒔絵の箱。
麻布を漆で固めて整形する乾漆製なんですが、一見には単純な繰り返し同じ文様か、ふーんとよく見ると、28人の迦陵頻伽の姿がすべて異なる。
オゥ、クレージー! 製作者の念が籠ってそう。

第1部 Ⅲ 唐物―中国への憧れ

曜変天目も天橋立、(雪舟)も期日違いで展示されていません。
しかし、「国宝 山水屏風(せんずいびょうぶ)が見られました。6曲1隻で、各扇が縦146.4cm 横42.7cm。 単純に6✖︎42で2m50cmある大作の
平安時代後期の作品です。
山水屏風は真言密教で密教の師になるときの儀式を行うとき、その道場で用いられたもの。中国唐代の詩人白楽天らしき人物が見える貴重な作品。
そもそも1000年前でこの鮮やかさよ。

トピック 誤解 改造 MOTTAINAI

戦国時代好きにはたまらんアレが展示されていました。「唐物茄子茶入 付藻茄子(からものなすちゃいれ つくもなす)」

「付藻茄子」は、唐物(中国の陶磁器)の茄子型の茶入で、九十九髪茄子とも呼ばれます。大名物として知られ、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康など、戦国時代の三大人物が所有したと伝えられています。

本能寺の変、大坂夏の陣。
焼けても、割れても復活する奇跡の茶入「つくも茄子」 展示されてる横にX線で修復された跡が見られて本物感にゾクゾクしました。 

本当にちっちゃい!

大河ドラマ、「どうする家康」では、織田信長の娘・五徳姫(徳姫)が家康の息子・信康に嫁ぎ、その際に唐物付藻茄子が使われました。
織田信長は岡田准一さんです。

大河ドラマ、「どうする家康」織田信長

織田信長に渡る前、足利将軍家から松永久秀に渡ったとされ、松永久秀は付藻茄子を大変な高値で購入したと言われています。高値・一千貫で購入したようです。現在の価値で7000万円とも一億円になります。
「麒麟がくる」の松永久秀役は吉田鋼太郎さんでした。

「麒麟がくる」の松永久秀

第2部 世界と出会う、日本の美術
Ⅰ 地球規模の荒波

きました!
祇園会鯉山飾毛級見送・前懸(ぎおんえこいやまかざりけつづれ)
アポロン像を礼拝するプリアモス王とへカベー図
トロイアの戦争物語連作タペストリー

京都祇園祭の山鉾の一つ鯉山。
その周囲を飾る「祇園会鯉山飾毛綴」は、実はベルギー・ブリュッセル市で製作されたもので、周囲の意匠は16世紀末から17世紀初めにかけての様式。

ギリシャの詩人ホメロスの叙事詩『イーリアス』のトロイ戦史を題材としており、まさかの日本で京都祇園祭の山鉾になるとは!数奇な運命を感じます。

次なる魔改造は、秀吉
鳥獣文様綴織陣羽織 豊臣秀吉所用 絹(綴織) 綴織:ペルシア 16世紀 仕立て:桃山時代
京都 高台寺
 獣の頭部や孔雀、鹿、闘う動物などの文様を多彩な絹糸の綴織であらわした豊臣秀吉の陣羽織。
もとはサファヴィー朝ペルシアの宮廷工房で織られたと考えられます。ド派手な秀吉らしい趣味です。
NHK大河「どうする家康」で秀吉を演じられたのがムロツヨシさん。陣羽織がとても似合う。

NHK大河「どうする家康」で豊臣秀吉

徳川家康に仕えた 榊原康政 が、関ケ原の戦いの直前に家康から与えられた『紺糸威南蛮胴具足』もありました。
ヨーロッパの甲冑を模倣した南蛮胴で、兜の白い毛には、当時「唐の頭」と称されたヤクの毛が用いられています。
大河ドラマ どうする家康で榊原康政(小平太)役は野遥亮さん。この人なら、紺糸威南蛮胴具足も似合います。

大河ドラマ どうする家康で榊原康政(小平太)


第2部 Ⅱ グローバル時代のローカル製品

キセルに椅子にカルタ、小物が多い。
気になったのは、『黒檀椅子(伝 以心崇伝所用)』。京都の南禅寺。

黒檀椅子」は17世紀のインドで作られたが、当時のインドには椅子の生活の風習は無い。椅子を使わないインドの職人が作ったため彫刻は見事だが、座り心地は良くない

椅子より、あの以心崇伝(金地院)、「黒衣の宰相」と呼ばれる徳川家康の外交を担った策謀家・金地院崇伝がオランダ国使から贈られたと伝えられている品、なのが気になる。

なんか登場するだけで陰謀めいてるんだよなー、金地院崇伝は。

2023年NHK大河ドラマ「どうする家康」で、金地院崇伝を演じたのは田山涼成さんでした。

大河ドラマ「どうする家康」より

第2部 Ⅲ 技術移植と知的好奇心

蘭人行楽図 文:大田南畝筆
江戸時代 文化11年(1814) 
ちょうど大河ドラマ「べらぼう」で、第20回から大田南畝/四方赤良が登場しました。
演ずるする桐谷健太さんのキャラもあり「南畝は激動の時代に世の中を明るくしようとした人」
そんな天明狂歌の大スター・大田南畝(おおたなんぽ)が文を担当した蘭人行楽図。江戸に阿蘭陀人がやってきたんですかね。

第2部 Ⅳ 新・中国への憧れ

洞庭赤壁図巻:池大雅(いけの たいが)
日本の文人画が到達した記念碑的な作品だとの評価が高い国宝。
縦55センチ、横300センチの大画面に、洞庭湖周辺及び赤壁が描かれる。
モチーフは中国だけど、大雅は琵琶湖に足を運んで、湖面に立つ波の様子を熱心に観察したそうで、見事な写実的な水面の描写です。

エピローグ 異文化を越えるのは、誰?

吉備大臣入唐絵巻
きびのおとど にっとう えまき
日本の12世紀末から13世紀初めに作られた絵巻物の一つ。

絵巻の内容は、大江匡房の『江談抄』巻三(雑事)「吉備入唐間事」に記される物語と一致しており、遣唐使の吉備真備が在唐中に幽閉され、鬼となった阿倍仲麻呂に導かれて、皇帝による『文選』や囲碁による無理難題を解いて、遂に帰国に至るというものである。

wikipedia

作品自体も見事なのですが、この作品が最後のエピローグにある意味が深い。
所蔵者がアメリカ合衆国のボストン美術館なんですね。国宝クラスが海外に流出している。

美術品の海外流出を食い止める事が出来なかった法整備の不備で、流出の翌年4月1日「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」が公布・施行され、美術品の国外流出を防ぐ処置が取られるようになった。

いかに文化財を守るのがたいへんか、考えさせられます。

最後に動画リンクで、今日はおしまい

これで、2025関西3博物館の国宝展コンプリートです。

いいなと思ったら応援しよう!