AGAは生活習慣で治る?DHTが原因だから改善しない理由
睡眠時間を確保した。シャンプーを変えた。脂っこいものを減らした。
半年続けて、それでも枕の毛は減らない。
「AGA 生活習慣」と検索する人の多くは、この段階にいると思います。何かを試した後で、効かなかった後で。
先に言っておきたいことがあります。
抜け毛が減らなかったのは、努力が足りなかったからではありません。作用している場所が違うだけです。
AGAの原因はDHTという物質
AGAを進めているのは、DHT(ジヒドロテストステロン)です。
男性ホルモンのテストステロンが、5α還元酵素という酵素と出会うことで、DHTに変換されます。
このDHTが、毛乳頭にあるアンドロゲン受容体と結合する。すると、毛の成長を抑える信号が出ます。
結果として、本来なら数年かけて太く長く育つはずの毛が、十分に育たないうちに抜ける。生え変わるたびに細く短くなっていきます。
睡眠や食事の改善は、DHTの反応に届かない
ここが、この記事で一番伝えたいことです。
テストステロンが5α還元酵素と出会う。DHTが受容体と結合する。この2つの反応は、酵素と受容体の性質によって決まります。
睡眠時間を増やしても、5α還元酵素の活性は変わりません。食事を改善しても、アンドロゲン受容体の感受性は変わりません。
生活習慣が髪に影響しないという話ではないです。極端な栄養不足は髪の成長を妨げますし、頭皮の炎症は放置すべきではない。
ただ、それらはAGAとは別の問題です。同時に起きていることはあっても、原因としては別。
生活を整えて改善する抜け毛と、AGAによる抜け毛は、そもそも違うものを見ています。
「治った」という話をどう読むか
生活習慣を変えて薄毛が改善した、という話は実際にあります。
考えられるのは、そもそもAGAではなかった場合です。極端なダイエットの後、強いストレスの後、あるいは睡眠不足が続いた後。こうした抜け毛は、原因が解消すれば戻ります。
もう一つは、AGAと他の要因が重なっていた場合。生活改善で他の要因が消えて、抜け毛が減ったように見える。ただしAGAそのものは進行を続けます。
薬理の研究でも、症状が改善したという結果だけを見て、原因が何だったかを決めることはしません。何が変わって、何が変わらなかったのかを分けて考えます。
自分の抜け毛についても、同じ見方ができると思っています。
AGA治療薬はDHTの産生そのものに作用する
AGA治療薬が生活改善と決定的に違うのは、作用する場所です。
フィナステリドとデュタステリドは、5α還元酵素の働きを阻害します。テストステロンからDHTへの変換そのものを減らす。原因の上流を止める薬です。
ミノキシジルは別の場所に作用します。毛包の血流を改善し、成長期を延ばす。DHTの産生には触れませんが、毛が育つ側を支えます。
生活改善では届かなかった場所に、薬は直接作用できる。これがAGA治療において薬が使われる理由です。
どちらの薬をどう選ぶかは、フィナステリドとデュタステリドの違いと選び方で整理しました。
AGAの遺伝は、諦める理由にならない
DHTの影響の受けやすさには、遺伝が関わるとされています。
知られているのは2つの経路です。5α還元酵素の活性の高さ。そしてアンドロゲン受容体の感受性の高さ。前者が高ければDHTが多く作られ、後者が高ければ影響を受けやすい。
「家系だから仕方ない」と言われることがあります。
ただ、これはリスクが高いという話であって、進行の速さや程度が決まっているわけではありません。作用する場所が分かっている以上、そこに介入する手段はあります。
遺伝的素因があることと、対処できないことは、別の話です。
生活改善が無駄だという話ではない
誤解のないように書いておきます。
睡眠、食事、頭皮の清潔。これらは髪が育つ環境として意味があります。AGA治療を始めた後も、続けた方がいい。
言いたいのは、生活改善だけで進行を止めようとするのは、届かない場所に手を伸ばしている、ということです。
半年試して変わらなかったなら、それは方法の問題ではなく、対象の問題かもしれません。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、AGAの診断で生え際の後退や、前頭部・頭頂部の毛が細く短くなっているかを確認するとされています。自分では見えにくい部分も含みます。
自分の抜け毛がAGAによるものかどうか。それを確認してから、次の手を考えても遅くはないと思います。多くのAGAクリニックでは、初診のカウンセリングが無料です。
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参考資料
日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。診断や治療については医師へご相談ください。
