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『カペリンの奇跡』#04                                     プロローグ 《スタビレの帰還》                             第四章 【守れなかったもの】

前回のお話はこちら。第三章 【待っていた家族】▼

戦地から戻ってきたスタビレは、帰還後、矢継ぎ早に残酷な事実を知る事になった。

帰るべき故郷、『マハル』の消滅。

たった一人の家族の死。

戦禍を逃れたはずの故郷で、何故父は命を落したのか……
仕事中の事故でも、病気でもないとしたら……

スタビレは、事実を知るピービーの言葉を待っていた。

そのピービーの口から意外な父の死因が明かされようとしていた。

「……君のお父さんが亡くなったのは、事故や病気じゃないんだ。」
「デマが原因だったんだ。」

「デマ?」
「……デマって。」

「そう、それがな……疎開用のシャトルが足らず、住民が取り残される。」
「……そんなデマが流れたんだよ。」

(何故、皆が不安に思っている時に、__何故?そんなデマが。)

目の前の少年に残酷な話を続けるピービーの声はふるえていた。

「デマのせいで、治安部隊と住民との間に衝突が起きた。」

「君のお父さんは、たまたま、その衝突を目の前にしたんだ。」

ピービーは喉を詰まらせた。
「その時、巻き込まれた子供を助けようとして……」

「……命を落したんだ。」

話に耳を傾けていたスタビレは愕然とした。

優しい父だった。
優しい父だったから、
混乱した状況で、それでも人助けに入ったんだろう。

でも、もしも僕が軍に入隊しなかったら……父のそばに居たら。

父は死なずに済んだかもしれない。

反対を押してまで入隊した僕は、劣勢が続く戦局の中。
只々、敗走に次ぐ敗走だった。

必死で戻って来たのに……

命がけで守ろうとした家族は、心無い一部の住民のデマによってはかなく失われたのだ__

……スタビレはただ一人の家族も失い、帰る故郷も無くなっていた。

突然の不幸に声も出ないスタビレ。
故郷の疎開とそれに関連したデマ、巻き込まれた父。

スタビレは言い知れぬ不条理を感じていた。

次章、第五章 【放課後の予兆】
心無いデマにより家族を失ったスタビレ。
彼を迎え入れるはずだった居場所はもう無い。
それでも……
「君に帰れる場所はあるのか。」


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