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『カペリンの奇跡』#03                                         プロローグ 《スタビレの帰還》                                第三章 【待っていた家族】

前回のお話、第二章 【喪失の砲身】はこちらhttps://note.com/agile_pika8738/n/na2544bafa090

空調も止まったアルバート社の小さく簡素な商談エリア。

微かに錆びた金属の匂いがする。
空気はよどみ、沈黙だけが重苦しく流れていた。

帰るべき故郷が無くなってしまった、という冷酷な現実に直面したスタビレ。

その現実を受け入れられないでいた。

「スタビレ、これからどうする……あては有るのか。」

「……そうですね……」
「これから……疎開エリアに行って父を探します。」

スタビレは切り替えるしかないのだと、飲み込んだ。

ピービーは、はっ、としてこちらに視線を向けた。

そうして、触っていたスイッチの蓋をゆっくりとカチッ、と開けた。

「……そうか、スタビレ……そうだよな、聞いていないよな。」

先ほどよりも一段低い声で名を呼ばれて、胸騒ぎがした。
暗く重い予感が腰のあたりから背中に上がってくる。

「つらい話だが……」
「君のお父さん……亡くなったよ。」

「父さんが……?」

スタビレは目を見開いた。
マグを持つ手が震え、口をつけることもできずにそのまま机に置いた。

父はいったい……

父は、口数も少ない真面目一辺倒な人だった。
スタビレを男手一つで僕を育ててくれた父。
優しい父だった……

「仕事中の事故、いや、病気……?」

必死に答えを求める表情で、様々な憶測が口から洩れていた。
集団疎開も有り……敗戦もしたが……それでも本国に戦禍が及んだ話は聞いていない。

「スタビレ、いや、そうでは無い……違うんだ。」
スタビレは、ピービーから信じられない事実を聞くことになる。

次章 第四章 【守れなかったもの】
戦地から帰ったスタビレに、次々と明かされる事実。
何故、父は死んでしまったのか……
スタビレ、「君に帰れる場所はあるか。」



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