眠れる資源に「意味」を与える家具職人──あいホームと歩むクリエイター
生まれ育った故郷を、持続可能なかたちで次の世代につなげたい──。
そうした思いから、東北地域に根差した工務店・株式会社あいホームは「捨てない」プロジェクトに取り組んでいます。本来であれば捨てられていた建築端材を中心に、地域資源に眠る価値を掘り起こし、端材家具の制作・活用などを続けてきました。
その取り組みの可能性をさらに大きく広げてくれる存在こそ、月日工作舎の山内健嗣さん(以下、タケシさん)です。
偶然に重なる「捨てない」という価値観
タケシさんが営む月日工作舎は、宮城県石巻市に拠点を置く古家具屋です。
以前このnoteで紹介した「石巻マリンヴィレッジ」の立ち上げにあたり、代表の伊藤謙はその土地に暮らす人や企業の魅力を知るため、地域の輪に自ら飛び込む──いわば「石巻にdive」する活動に注力してきました。そうしたなかでタケシさんの活動を知り、すぐにアプローチしたのです。
すると、偶然にもタケシさんの創作活動の中心にある「アップサイクル」という思想が、当社の「捨てない」に込めた思いと確かに重なることがわかりました。
「アップサイクル」とは、使われなくなった古家具や廃材に新たな命を吹き込むこと。資源の活用の先に新しい価値を生み出し、地域の暮らしを豊かにしたいと考える私たちにとって、タケシさんはまさに探し求めていた存在でした。
ものづくりの根っこにある「人」への思い

タケシさんと当社の重なる部分は、それだけではありません。ものづくりに対する考え方にも、大きな共通点がありました。
それは、ものは「つくって終わり」ではないということです。
私たちの家づくりも、家を建てた瞬間がゴールではありません。家は、暮らす人の笑顔で満たされて初めて「完成」します。私たちが提供しているのは、家というハードではなく、暮らしというソフトなのです。
タケシさんの作品からは、まさに同じ思想が伝わってきます。使うときの手触りの良さ。長く生活に寄り添うための塗装。ものを使う人へ丁寧に思いを寄せる姿勢──その一つひとつに、いつも心を動かされます。

そして、地域資源の価値発掘の道をタケシさんと共にしたいと考える理由は、もう一つあります。それは、繊細で行き届いたものづくりに加え、クリエイターとしての底知れないバイタリティです。
これまで、住宅の階段に使うスロープ、ロッドスタンド、ペットの食事台、看板、小屋といったものまで、私たちは毎月のように制作をお願いしてきました。
そのたびに返ってくるタケシさんの言葉は、いつも同じです。
「つくれますよ」
気さくなその声には、クリエイターとしての揺るぎない自信がにじんでいます。


暮らしに温かさを添える、一点ものの魅力
将来的には、タケシさんと共にアップサイクル家具だけで囲まれた宿「アップサイクル・ハウス」をつくる構想もあります。
家具には、目で見て手で触れることで初めてわかる価値があります。アップサイクル・ハウスなら、宿泊を通してアップサイクル家具のある暮らしをそのまま体験でき、気に入った家具を購入することもできる──そんな宿泊体験を描いています。
アップサイクル家具を選ぶ理由には、私たち日本人に根付いた「もったいない」という気持ちもあるでしょう。しかし、それ以上に大きいのは「心地よさ」です。
古家具や廃材から生まれたアップサイクル家具は、世界に一つしかない一点もの。一人ひとりの暮らしが多様化するいま、自分らしさに寄り添う存在として改めて注目されています。
そして、一点ものの良さはそのユニークさだけではありません。何よりも、クリエイターの手間ひまと思いが込められていること。だからこそ、ほかにはない温かさが宿っています。
その温かさが、暮らしの中に小さな心地よさを生み出してくれるのです。
編集/三代知香
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