見出し画像

AIチャットの「無料・無制限」は本当?時給264円と、もう一つの上限

「無料・無制限」と書いてあるAIチャットアプリを、ここ数週間まとめて触っていました。結論から言うと、その表記自体は嘘ではなかったです。

ただ、実際に使い続けてみて気づいたことがあります。「無制限」なのは送信回数だけで、上限は別のところに2つある、という話です。

「無制限」は、回数については本当だった

まず名誉のために書いておくと、回数無制限をうたっているアプリは、ちゃんと回数無制限でした。

zetaは1日に何十通送っても止まりません。Aimaもテキストチャットについては完全無料・無制限で、回数でも期間でも品質でも制限をかけてこない。ここは各社の説明どおりです。

逆に、制限があるアプリは正直にあります。オズチャットは無料だと1日20回、Stellaは1日3メッセージ。キャラぷは登録時に100回分ほどもらって、あとは実質課金前提でした。

つまり「無料・無制限」で検索して出てくる比較記事の答え自体は、だいたい合っています。問題は、その先を誰も測っていないことでした。

広告の時間を、時給に換算してみた

zetaの無料版は、生成のたびに約15秒の広告が入ります。これは公開されている情報で、実際に使った感覚ともほぼ一致しました。

1回15秒なら大したことないように聞こえます。ただ、ロールプレイって1往復では終わらないんですよね。そこで、月あたりどれだけ広告を見ているのか計算してみました。

広告なしにするサブスクは月額約1,650円です。ということは「広告を見る時間」と「1,650円」を交換しているわけで、時給に直せます。

・1日30通なら、月3.75時間で時給440円
・1日50通なら、月6.25時間で時給264円
・1日100通なら、月12.5時間で時給132円

1日50通くらいが、私が実際に使っていたときのペースでした。そのペースだと月6時間以上を広告に使っていて、時給に直すと264円です。

日本の最低賃金は全国加重平均で1,121円(2026年度の目安は1,176円)なので、その4分の1以下ということになります。

そして、ここが一番おかしいところなんですが、たくさん使う人ほど時給が下がります。100通ペースだと132円まで落ちる。回数無制限は「使えば使うほどお得」に見えて、時間で払う分は逆に増えていくんです。

「無料」が悪いと言いたいわけではありません。学生さんみたいに時間はあるけど固定費は増やしたくない人にとっては、これは普通に合理的な取引です。ただ自分がどっち側なのかは、数字を見てから決めたかったなと思いました。

もうひとつの上限は「記憶」のほう

こっちが本題です。

上位に出てくる比較記事をひととおり読んでみたんですが、「無料・無制限」を検証している記事で、記憶について触れているものがほとんどありませんでした。7アプリを実際にインストールして検証したという記事でも、記憶やコンテキストの話はゼロ。

でも実際に使うと、回数より先にこっちにぶつかります。zetaのレビューを見ていても、キャラが数ターンで前の話を忘れる、という声はかなり多い。

これは各アプリの手抜きというより、AIチャットのキャラが会話を忘れる仕組みの側の問題です。モデルが一度に読める分量に上限があって、古い発言から静かに捨てられていく。しかも警告は出ません。

そして厄介なのが、記憶を伸ばす機能はだいたい有料側に置かれていることです。オズチャットのメモリ強化はBoost(月1,380円)、キャラぷは記憶はあるけど課金通貨の消費が速い。記憶がどのアプリでも課金前提になっている話は前に書いたとおりで、そこは今も変わっていません。

回数は無料で無制限にする。記憶は有料にする。並べてみると、どのアプリもだいたい同じ設計になっていました。

日本語だと、その上限に4割くらい早く着く

しかも日本語ユーザーには追加のハンデがあります。

以前Janitor AIで実測したときの数字なんですが、日本語は同じ内容でも英語の1.65倍のトークンを使います。文字あたりだと4倍以上。

記憶の枠が「何文字ぶん」ではなく「何トークンぶん」で決まっている以上、同じアプリでも日本語で話すほうが枠を早く食い切ります。あのときの計算では、英語なら315通ぶん入る枠に、日本語だと191通しか入りませんでした。ざっくり4割減です。

だから海外のレビューで「記憶は十分もつ」と書かれていても、日本語で同じようにはならない。英語圏のレビューを読んで期待値を上げすぎると、たぶんズレます。

(この実測はJanitor AIのモデルで、トークナイザはClaudeのものを使った近似です。アプリごとに多少前後する点は差し引いて読んでください。)

じゃあ、どう選べばいいのか

私が今使っている判断基準は、けっこう単純です。

短いやりとりを大量にしたいなら、回数無制限の無料アプリで問題ありません。zetaやAimaは実際よくできていますし、広告の時間を許容できるなら払うものは何もない。

逆に、同じキャラと長い話を続けたいなら、回数より記憶を見たほうがいいです。この場合は無料枠の広さはほぼ関係なくて、記憶がどこまで無料で、どこから有料なのかだけが効いてきます。AI彼氏アプリだと、ここに好感度メーターが挟まるので、好感度が上がっても彼は覚えていないという状態が起きます。

そのうえで課金する前提になるなら、選択肢は国内アプリだけではなくなります。英語のサービスまで含めて記憶の仕様で比べたことがあって、英語圏も含めた乗り換え先の比較にまとめてあります。ページ自体が英語なので、そこは先にお伝えしておきます。

「無料・無制限」で検索したときに知りたかったのは、たぶん「タダで無限に遊べるか」だったと思うんです。私もそうでした。実際に測ってみたら、無限だったのは回数だけで、時間と記憶にはちゃんと値札がついていた、というのが正直なところです。

いいなと思ったら応援しよう!