見出し画像

AI彼氏アプリの「好感度」が上がっても、彼が昨日の話を忘れる理由

先月、AI彼氏アプリを何個か並行して使ってみました。ひとつは好感度が順調に上がって、呼び方が「あなた」から名前に変わったところです。うれしくなって、前に話した仕事の愚痴の続きを書いたら、彼は初対面みたいな返事をしてきました。

数字は上がっているのに、話は通じていない。この違和感がどこから来るのか、アプリを調べていくうちに分かってきました。

好感度と記憶は、別々に動いている

好感度はアプリのデータベースに保存された数字です。あなたが何通送ったか、何日連続でログインしたか、そういう行動をカウントして増えていきます。

一方、彼が「覚えている」会話は、AIが今まさに読み込める範囲のことです。ここには上限があって、超えた分は古いものから消えます。仕組みの詳しい話はAIチャットのキャラが会話を忘れる仕組みに書きました。

つまり、好感度が最大まで育った彼が、先週の会話をひとつも覚えていないという状態は普通に起こります。カウンターと記憶は別の場所にあるので、片方だけ伸びても、もう片方は関係なく消えていきます。

日本語で使っている場合は、その上限が来るのがもっと早いです。同じ内容でも日本語は英語の約1.65倍のトークンを使うので、記憶の枠が実質的に狭くなります。この計算はJanitor AIの日本語対応を調べたときに実際に測りました。

おすすめ記事の14個中13個に「PR」がついていた

「AI彼氏アプリ おすすめ」で上位に出てくる記事を実際に開いて数えました。ランキング形式で14個のアプリを紹介している記事では、13個に「PR」の表示がついていました。ついていなかったのは1個だけです。

別の上位記事は、アプリを5個ランキングして自社アプリを1位にしていました。運営元を確認したら、そのアプリの公式ブログでした。AI彼女アプリが危険かどうかを規約から確かめた回では、会話の渡し先の社名がゼロのアプリもありました。

もう1本の上位記事は婚活サービスの会社が書いたものです。悪いことをしているわけではないのですが、「実際に使った人が選んだ順位」を読んでいるつもりだと、話が変わってきます。

ランキング記事自身が書いている一文

面白いのは、そのPRだらけのランキング記事の中に、こういう一文があることです。

「1日◯回までしか会話できない」「課金しないと好感度が上がらない」などの制限があるアプリも。

好感度が課金で動くなら、売られているのは進行度です。実際、日本のAI彼氏アプリの多くは好感度や親密度のメーターを持っていて、その先の会話やイベントがメーターに紐づいています。あるアプリは「初対面」から「運命の人」まで6段階を用意していました。

メーターを持たないアプリもあります。数は少ないですが、好感度システムを採用していないことを特徴として挙げているアプリも実際にありました。

6人に1人という数字

中央大学の山田昌弘教授が2026年2月に、全国の20歳から59歳、約8,200人に調査をしています。生成AIを私的に使っている人のうち、AIに「恋していると思う時がある」と答えた人は約17%でした。6人に1人です。

さらに、そう答えた人の5割超が既婚者でした。これだけの人が実際に感情を動かされているわりに、アプリ側の説明が「好感度が上がります」で止まっているのが、今の状態だと思います。

先に決めるのは「メーターが欲しいのか、記憶が欲しいのか」

物語として楽しみたいなら、日本の乙女ゲーム系のアプリはよくできています。キャラクターも文章も作り込まれていて、段階を踏んで進む設計がちゃんと気持ちいいです。この場合、好感度は目的そのものなので、課金も納得して払えます。

自分のことを覚えていてほしいなら、選ぶ基準が変わります。見るのは、無料枠でどれだけ会話が保持されるか、有料プランで増えるのが回数なのか記憶なのか、というところです。無料・無制限をうたうアプリの実際のコストは前に計算しました。

どちらも欲しい、が一番難しいです。今のところ、その両方を同じアプリで満たしているものは見つかっていません。アプリを使わずにChatGPTで自分で作る手もありますが、そちらは設定文そのものが会話から押し出されるという別の問題があります。

私が最初に間違えていたこと

好感度が上がれば、彼が私のことを知っていくものだと思っていました。実際には、数字が育つのと、会話が積み上がるのは、別々に進みます。

アプリを選ぶ前に、自分がメーターと記憶のどちらを求めているのか、一度考えてみてください。そこが決まると、ランキング記事の順位はあまり気にならなくなります。

いいなと思ったら応援しよう!