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ハッピーライテイングマラソン#5「あなたは子供のころ、どんな本を読んで、何を感じましたか?」

小学生の頃、好きだった本は『すえっこOちゃん』。
7人きょうだいの末っ子・Oちゃんが主人公の、日常を描いた物語だ。

自分ではもうしっかりしているつもりなのに、兄や姉たちからは赤ちゃん扱いされて、いつも味噌っかす。

私は末っ子ではないけれど、近所の子どもたちは年上が多く、しかも家同士で仲良くしているグループの中に、うちは入れていなかった(たぶん母の性格上……私の母だから仕方がない)。

だから、仲間に入れてもらえない寂しさはよく知っていた。
Oちゃんがなんとなく自分と重なってみえた気がする。

その、つまらない気持ちを打ち消すように、Oちゃんは一人で面白いことをしようとする。
でもまだ幼いから、やることは時にズレていて、いろんな失敗をする。
ワクワクした気持ちと、「ヤバい、怒られる!」というヒヤヒヤ、そしてしょんぼり落ち込むOちゃんの様子……その感情の揺れが、すごく丁寧に描かれていた。
たしか、拗ねてどこかに隠れるシーンがあった。
隠れたのに誰も気づいてくれない――。
「出ていこうか?でもそれも面白くないし……」
あのひねくれた気持ちも、よくわかる。

外国の話だから「乳母車に子豚を乗せて散歩する」なんて日本では考えられないようなエピソードも出てくる。
でも気持ちは共通するものなんだなと、当時の私は感じていた。

失敗したときには、一番年の近い小さなお兄さんがそっと慰めてくれたり、大学生くらいのお姉さんやお兄さんがさりげなく助けてくれたり……。
Oちゃんが家族に愛されている描写に、私まで誰かに可愛がられているような、あたたかい気持ちになった。


中学生になると、図書室にあった灰谷健次郎の本をよく読むようになった。
物語の内容そのものはもうあまり覚えていないけれど、主役の少年(たしか小学生)の葛藤や悔しさ、恥ずかしさといった感情がものすごくリアルだった衝撃は強く覚えている。

中学生の私でさえ忘れかけていた、もう少し幼いころの心の機微。
読んでいると、まるで記憶を呼び起こされたように感じた。
「どうして大人がこんなにリアルに子どもの気持ちが書けるの?」
「この人、自分が子どもの頃の気持ちをずっと覚えてるの?」
「日記でもつけてたのかな?」
そんなふうに思った。
(灰谷健次郎が教師だったことは、当時の私は知らなかった)

子どもの世界は狭い。
でもその中で、感情は驚くほど豊かに動いている。
情緒や思考の及ぶ範囲が限られているからこそ、誰もが一度は通った感情が、くっきりと物語になる。
だからきっと、子どもが主人公の話は心を揺さぶられることが多いのだ。

いま私は、自分で文章を書くようになった。
何かが起きたとき、自分はどう感じたか――それを書きながら、「これは共感されるだろうか」と考える。

もう私は大人だ。世界のすべてに身を置けるわけじゃない。
たとえば子持ちの主婦である私は、独身で仕事に打ち込んでいる人の暮らしを、もう実感としては知らない。
違う世界にいる人が、どんなふうに考えているのか……それはもう、想像するしかない。

どこかで私は、きっと人格がねじれて成長し、さらに老化してきている。
「リアルな気持ち」として書いたことが、誰かにとっては「えっ」と思われるようなことかもしれない。

結局、文章を書くというのは、人格や価値観をそのままさらけ出すことだ。
時に、それは恥をさらすことにもなる。
まあいいや。
恥をかくことには、慣れてるから。

でも文章で誰かを傷つけることはあってはならない。
それだけは、ずっと気をつけていたいと思っている。
恥をかくのはいい。
けれど誰かを傷つけるのは違う。

ただ、ズレているかもしれない自分が、それに気づけるのだろうか――。
そんな怖さが、いつも心のどこかにある。

……と、話がずいぶんそれてしまった。
でもやっぱり、子どもの頃に読んだ本が、いまの私の「書くこと」の原点になっている気がする。

幼児期に好きだった本は、「みどりいろのたね」だ。
幼稚園で豆の種をまくことになった、まあちゃん。
飴を舐めていることが先生にバレて、「出しなさい!」って怒られる。
みんながまいた豆が育って、いざ収穫。
まあちゃんの豆の色、みんなのと違う……?
その味はなんと……!

土の中の、飴と豆の攻防戦が面白い。
児童書の形でも中身は絵本なので、2歳くらいでも楽しめると思う。
私は大人になってもこの本を読むとワクワクする。
これが現実になったらなーって!
ちょっとズボラで、水やりをさぼっちゃうまあちゃんが、最後にはヒーローになって「えへへ」って顔をする挿絵の可愛いこと!

子どもが主人公の本が今でも面白く感じるのは、複雑にこじれた自分の感情をシンプルに解きほぐしてくれるからかもしれない。
すえっこOちゃんも灰谷健次郎も、また読みたくなった。

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(高校生から22歳ごろに読んだ本バージョンです)

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