はじめに│タイ🇹🇭ラオス🇱🇦旅行記
タイが好きだ。ゆったり流れるチャオプラヤー川のそばにいるだけで、心がほどけていく。そんな国に、私は若い頃から何度となく足を運んできた。
タイが好きといえば、パリピのような人や、松岡修造みたいに快活でエネルギッシュな人を思い浮かべるだろうか。私はその真逆だ。陰気で、平凡で、庶民――。それでも、いや、だからこそ余計に、タイが持つ明るさは、自分の欠けているところを満たすようにフィットする。
そんな旅好きなアラフォー女、しかも子持ち。日本で生活しながらでは、1週間から1か月弱の滞在を10回ほど重ねるのが、せいぜいだった。計5か月ほど。けっこう行ったつもりだったけれど、書き出すと妙に少なく見える。
若い頃、タイでは基本的に一人旅だった。内気で臆病なこともあって、ドミトリーには泊まったことがない。バックパッカーというには「なんちゃって」を頭につけないと、大げさな気がしてしまう。でもバックパックを背負って船や電車、時には飛行機でタイ全土をうろうろするスタイルは、バックパッカーといっていいだろう。

ガラス越しにじゃれてきました
子どもが赤ちゃんの頃は、長期休みといえば遠方の義実家への帰省ばかり。喜ぶ義両親を前にすると、タイに行くなんていう選択肢そのものが消えた。
しかし時々タイに行くことで気持ちのバランスを整え、「なんとか日本でまたやれそう」と生き延びてきた私は、どこかで無理をしていたようだ。結果、ぷっつんした。下の子が2歳の時だった。それを機に、10年の空白を経て家族でタイに行くようになった。
家族旅行ではバックパックだけというわけにはいかず、さらにスーツケースも必須だった。でもマインドは昔のまま。5歳の上の子と、まだ赤ちゃんっぽさの残る下の子を連れて、スコータイやカンチャナブリなどを回った。
バンコクはもう十分楽しんだし、レアな場所に行く冒険感も、やっぱりたまらない。地方のほうが物価が安いという旅ハックもある。
そんな旅も2回でコロナ禍に突入し、中断。今回は5年ぶりのタイだった。
2024年夏。仕事やお金など、身の回りを整え、家族を引き連れてタイへ――途中からは一人旅で、ラオスにも少し足をのばした。31日間の旅だった。これまでで最長の滞在で、子持ちの主婦としては暴挙ともいえる。家族、母、義両親と過ごす期間も設けたのは、ジジババが孫と海外旅行というのがまたとない機会だからというのと、祖母や妹から向けられる冷たい視線を薄めるためも少し……。
タイへは、私が独身だった頃に母と訪れたこともある。一人旅とは違い、年齢層の異なる家族と一緒だと、旅のスタイルはずいぶん変わる。それでも当時の母はまだまだアクティブだったし、子どもも幼い頃は、ただついてきてくれた。
だが今回は、母は高齢者になり、子どもたちは小学生になった。まずは母に無理のない旅程を組むのが最優先で、子どもたちからの希望もいろいろ出た。さらに、母とは時期をずらして旅に加わる義両親が楽しめるかにも、嫁として心を砕いた。
旅の形はすっかり変わっていたし、義両親との海外旅行は今回が初めての試みだった。
行き先は入念に選んだ。その結果、全員がそれぞれに楽しめた。自分の選択がうまくいったのも嬉しかったけれど、同時に思った。
タイはきっと、誰がどこへ行っても楽しめる国だ。
旅を続けるうちに、そんな確信も芽生えた。そしてタイが、ますます好きになっていった。
タイ好きとしては致命的なことに、私はアトピー性皮膚炎のせいで肌が汗にものすごく弱い。それでもタイでは汗とほこりにまみれながら、体力と肌が耐えられるギリギリまで一日中あちこちをうろうろする。時限爆弾を抱えながら旅をしているようなものだ。
たとえ宝くじに当選してコンドミニアムが買えるような大金を手にしたとしても、肌のせいで長期的に住んだりするのは難しい。タイ人に紛れて暮らす機会は、この人生ではきっと訪れないと、認め、受け入れた。
だからこの先も、タイに住んでいる日本人には経験も知識も敵うわけがない。それでもタイが好きな気持ちは誰にも負けないと思っている。思うぶんには自由ってことで、よろしく。
「そうだ、記憶を凍結しよう」――これまで考えたこともなかったが、日本に戻ってから突然思いついた。特別珍しいところに行くわけでも、危険なところに足を踏み入れるわけでもない。そんな平凡な旅でも、毎日が感動や喜びに溢れているし、ヒヤリハットも時々起こる。
記憶とは曖昧なものだから、新鮮なままの記憶を、文字にして残しておこうと思った。他の出来事に上書きされてしまわないように。
在住者ではないからこそ、タイに対して猛烈な渇望感がある。だから小さなことにもいちいち「キャー!」と心が反応する。そのおかげで記録していたわけでもないのに、帰国後に書き出してみると、細かいところまでしっかりと覚えていた。夢中になってすみずみまで書いていたら、気づけばとんでもない分量になっていた。
念のため書いておくと、全体的にシケている節約旅だ。高級レストランへは結局一度も行かなかった。なんならスターバックスも高くて入れなかった。読んでいるとケチくさく感じる場面があるかもしれない。私は暗いから、暗さゆえの回りくどい行動を何度もしていて、明るい人にはうっとうしく感じられるかもしれない。
それでも私はタイの魅力を伝えたい。すでにタイが好きな人には、ある人間からはタイがこんな風に見えるのかと、違う一面を感じてほしい。
暗いのに、タイの話題になると異常に明るくなるやつ――そんな友達の話を聞くように、旅の雰囲気を感じてもらえたら嬉しい。
✍️この記事は、31日間のタイ&ラオス旅行記の【はじめに】です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これから少しずつ旅行記をかいつまんで投稿していく予定です。
また、旅行記にまつわる自己紹介も書いています。
よかったらこちらも読んでいただけたらうれしいです👇
