内省洋のマーメイド ― フィクションで描く心の実話
第1話 写真の中の微笑みと、心の温度差
“内省洋”に住むマーメイド“ナナエル”。
ナナエルは息子を連れて、祖母の家を訪れていた。ふと家族写真に目をやった。
「みんな“幸せそうな理想的な家族”って言ってくれるのよ」と祖母。
でもナナエルは、写真を見たり、「自分たちは幸せだ」なんていう話を聞いたりする度に、「これが幸せの形なの?」という少し冷めたような気持ちになってしまう。
ナナエルは15年前のことを思い出していた。
第2話 深海でまとった“いい子の鎧”
ナナエルは内省洋という暗くて静かな海の底をたった1人で泳いでいた。冷たくて生き物はほとんどいない。
時々「ナナエル〜」上の方から声がする。ナナエルは、鏡に向かって笑顔をつくる。何かのスイッチが入ったように「は〜い」と返事をする。
「ナナエル、この道を進んでね。」「ナナエル、言われた通りにしてればいいんだよ。」
ナナエルは、微笑んで頷く。
みんなは彼女をいい子だと言った。
本当は“いい子の鎧”をまとって生きているだけなんだけど。
🧜♀️「みんなの期待に応えて生きるって疲れませんか?」
第3話 “価値ある”自分の像
「ナナエルは字が上手。」「真面目だよね。」
そう言われる度に「優等生でいないといけない。そうじゃないと価値がない」と思うようになった。
周りの期待を裏切らないように、理想的な自分であり続けようとした。
でも、全てがうまくいくわけではなかった。
その度に「私はダメなんだ」そう思った。
“価値ある”自分の像が壊れないように、そおっとしまっておいた。
海岸では人間の姿で微笑むナナエル。
1人になるとまた海底へと戻っていく。
🧜♀️誰か一緒でも、孤独を感じることってありますか?
第4話 恋に溺れても消えなかった孤独
あるとき、ナナエルは恋に落ちた。彼と2人で海岸を歩く。心躍る毎日で、彼のことしか見えなくなった。「もしかしたら、私は人間なのでは?」そう思うほどに。
でも、この幸せはいつか壊れるものではないか?
何か違うかも。自ら幸せを手放してしまう。
心の穴を埋めるように、また別の誰かと出会う。
でも、いずれ孤独感に気づいてしまう。繰り返す出会いと別れに味気なさを感じて。
そしてまた静かな海に戻っていく。
🧜♀️自分の“スキ”に気づいてますか?
第5話 小石を拾って満たそうとした
ナナエルは自分の気持ちが分からない。
「何が好き?何をしたい?」
やりたいことなんてなかった。
目の前に落ちているきれいな石や貝殻をやみくもに拾って、少しだけ心を満たした。
でも、たくさん集めたところで穴は塞がらない。
🧜♀️毎日充実しているはずなのに、虚しさを感じることってありますか?
第6話 家族とともに浅瀬へあがる
「あ、そろそろ娘のお迎えの時間」
祖母の家から帰る途中
「また騒がしくなるなぁ…」と覚悟を決める。
家族ができて、子どもが生まれて
ナナエルは浅瀬に上がってくるようになった。
景色は明るく、そして賑やかになった。
でも、あの頃の静けさが恋しい…。
それでも、時々岩陰に隠れて1人静かな時間を過ごしていると、“静”の自分も満たされる…
はずなのに、やはり心にぽっかり空いた穴は完全には塞がらない。
🧜♀️「心の穴を埋めてくれるのは、誰の愛?」
第7話 心に湧く泉
ナナエルは気づいた。
心の穴は、恋人や家族に愛されるだけでは埋まらない。
どれだけ「あなたは大切だよ」と言われても、どこか白々しく感じてしまう。
実は、ナナエルが一番欲しかったのは――
誰かの愛ではなく、自分自身の愛だった。
「私はこのままでいい」
「私には価値がある」
自己理解を通して、自分のよさを知っていくたびに、
心の穴は少しずつ温かな泉で満たされていった。
その泉は、外から与えられるものではなく、自分の中から湧き出すものだった。
🧜♀️「自分の“価値ある像”、壊してみたことありますか?」
第8話 価値ある像を壊し、カケラに映ったもの
ナナエルは、指にも腕にもつけていた
「“価値ある”自分の像」の形をしたアクセサリーを壊した。
偶然にも、壊した像のカケラがキラッと光った。
そこに映っていたのは色とりどりのネックレス。
くすんで輝きを失っているようだった。
でも、それは、確かにナナエルの首にかかっていた。
🧜♀️ 「どうしても人間になりたい?あなたのままで生きていけるとしたら?」
第9話 人魚のまま生きていくという選択
首にかかったネックレスを見て
「私も持っていたんだ」とナナエルは嬉しくなった。
指で擦ってみるとほんの少しだけ光って見えた。
ナナエルはいまだに…いやこれからもずっと海からあがることはないかもしれない。
それでもいい。
ときどきは海岸を歩き、時々は海底を泳ぐ。
ナナエルはマーメイドのまま生きていく。
🧜♀️ 「子どもに受け継ぎたい未来は、どんなかたち?」
第10話(最終話)
未来を抱きしめるために
ナナエルは娘の顔を見て思い出す。
「私は人間ではない」
そして、この子もまた人間ではないかもしれない。
しかも“マーメイド”でもないかもしれないということ。
だけど、ありのままを抱きしめたい。
ありのままの姿で人間の世界を
本当の笑顔で歩ける未来を想像してる。
🌱さいごに
・Xで毎日ポストした10話分の「内省洋のマーメイド」をまとめてみました。
・フィクションの実話を物語にしてみました。
▼物語のもとになったnoteはこちら
・家族のことや自己理解について説明では伝えきれないことを物語で表現してみました。
どれぐらい伝わるのか分からないので…
質問や感想をいただけると、次回作への励みとなります🥰
・物語は前回の「喫茶YOHAKU(余白)の物語」に続いて2作目になります。自分で言うのもなんですが、ちょっとは上手になったと自負しています。もしよろしければ前作にも目を通していただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございました😭
