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日銀利上げで政策金利1%に住宅ローンの返済額はいくら増える?2026年6月決定のポイント

今回の記事はやや番外編です。今週あった政策金利引き上げの解説記事になりますが、普通の内容は調べれば出てくるので、極力簡単な内容で、生活に影響する部分をお伝えできるように書きたいと思っています。
そのため、専門用語を避けたり説明を端折ったりもしているので、もし、おかしいところがあればコメントなどで補足いただけると助かります。

では本文です。

6年前、私は変動金利・35年・約4,000万円のローンを組んで家を買いました。当時は「変動でも何十年も変わってませんから」と銀行に言われて、悩まずに変動金利にしたわけですが、2024年にマイナス金利政策が終了して以来、日本銀行が金融政策決定会合(年に8回行われています)を開くたびに、なんとなく身構えてしまうようになりました。2026年6月16日、日銀はついに政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げ、1995年9月以来31年ぶりの水準になりました。
ニュースでは「歴史的」「31年ぶり」といった見出しが目立ちますが、我々一般庶民として気になるのは「自分の生活にどれだけ影響が出るのか」ですよね。この記事では、①政策金利とは何か、②政策金利を上げる一般的な目的、③今回の利上げの背景と今後の影響——の3点を、できるだけわかりやすく整理してみたいと思います。

1.そもそも「政策金利」とは何でしょうか

政策金利とは、中央銀行(日本では日本銀行)が金融市場調節の目標として定める短期金利のことです。日本の場合、対象となるのは銀行同士が資金を貸し借りする際の金利です。

この金利が動くと、銀行が資金を調達する際の金利が変わるわけですから、それが企業への融資や個人向けローンの金利にもつながっていきます
住宅ローンの変動金利もこの流れに組み込まれているので、政策金利が上がれば変動金利も上がる、と考えて、基本的には間違いありません。

一方、固定金利は、政策金利ではなく「長期金利(10年物国債の利回り)」と連動します。こちらは、市場に参加する投資家たちの「これからの予測」で毎日変動します。「日銀がこれから利上げしそうだな」と市場が予想すると、実際に日銀が政策金利を上げるよりも数ヶ月〜半年ほど先んじて長期金利が上昇します。その結果、固定金利も先に出発して上がっていきます。

わかりやすく整理すると、固定金利は予測で動き、変動金利は結果で動くわけです。ですので、時期のずれはありますが、どちらかが上がってどちらかが下がる、のようなちぐはぐな動きはありません

2.政策金利を上げる目的──一般論として

中央銀行が利上げに踏み切る大きな目的は、過熱した物価上昇(インフレ)をやわらげることにあります。そのメカニズムは、おおむね次のような流れで説明されます。

①政策金利が上がる → 銀行が資金調達する時の金利も上がる
②企業向け融資、個人ローンの金利も上がる
③借金がしにくくなるので、企業は設備投資を、個人は大きな買い物やローンの利用を控えるようになる
④社会が買い控え状態になる。つまり「高いと売れない」状態になるので、物価上昇がやわらぐ

また、利上げは外国為替市場にも影響します。少し前の状況としては、米ドルをはじめとする他国の金利は高く、日本が極端に低い状態でした。つまり、ドルなどで貯金すれば利子が付きやすく、円で貯金しても利子はほとんどつかないことになります。ここで円の金利が上がると、円の貯金でも利子がつくことになりますから、円の価値が上がるということで、円高方向に動きやすくなります。円高は外国からものを輸入する際の価格を押し下げてくれるので、原材料や輸送費の上昇による物価上昇をやわらげる効果も期待できます。

ただ、利上げが急すぎたり大きすぎたりすると、企業の資金繰りや個人消費を必要以上に冷やしてしまい、景気後退や雇用の悪化につながるリスクもあります。中央銀行は、経済を熱しも冷ましもしない「中立金利」を見極めながら、利上げのペースを慎重に調整しています。

※そう考えると、今回は今のところですが、物価も下がらないし、円高にもならないという、期待とは違う動きになってしまっています。
ここが批判を受けやすい点です。

3.日銀はなぜ2026年6月に政策金利を1%へ上げたのか

今回の利上げの直接的なきっかけは、中東情勢の緊迫化にともなう原油価格の高止まりと言われています。以前から、物価上昇の目標として2%という数字が目安にされており、このままでは、燃料費の高騰から他の物も値上がりし、2%を大きく超えて物価が上振れしてしまうリスクを警戒したようです。
ただ、マイナス金利政策が2024年に終わったように、利上げは既定路線で、あとは時期の問題だけというのが実際のところでした。
他国との金利差が開き続けることで、円安が進みすぎており、この記事を書いている2026年6月は1ドル160円を超えていますが、2021年は1ドル102円だったりしていたのです。
つまり、海外旅行に行って何かを買う時、以前は1ドルのものを買うのに102円でよかったのが、今は160円出さないとダメということです。
円の価値が安くなっているので、今は円安ということですね。つまり、ものすごく簡単に言うと、物価を下げるために政策金利を上げた、という話です。

この時期に投資で上手くいっていた話がこちらの記事です↓

一方で日銀は、長期国債の買い入れ減額について、2027年4月以降は月間2兆円程度のペースで減額を止める方針も決めました。利上げという「引き締め」と、国債市場の安定を意識した「緩和維持」のバランスを取った形といえそうです。

なお、かつて自民党総裁選で「今、利率を上げるのはおかしい」と日銀をけん制していた高市早苗首相ですが、今回の利上げに対して政権側からの強い反発は表に出ませんでした。
利上げに反対する理由は前述の通りで、政策金利の利上げは住宅ローンや企業への融資など、借金の利息が上がってしまい、経済が回らなくなる恐れがあるからですね。

金利引き上げは物価引き下げの効果を狙っている一方、ローンの利息も上がり経済活動を停めてしまう可能性もあるということです。この辺の差し引きの結果については5章で書いています。

4.住宅ローンをお持ちの方への直接的な影響

ここからはいつもの通り、住宅ローンについて書いておきます。
利上げを受け、三大メガバンク(三菱UFJ・三井住友・みずほ)をはじめ主要行は、2026年8月3日付で短期プライムレートを一律+0.25%引き上げると発表しました。変動金利型住宅ローンの基準金利も、これに連動して上昇します。

主要行の短期プライムレート・普通預金金利の改定(2026年8月3日〜)

ここで気をつけておきたいのが、「いつ自分の返済額に反映されるか」というタイムラグです。基準金利自体は2026年8月に改定されますが、多くの銀行では実際の返済額への反映は契約の見直しサイクル(多くは年1回・1月)にしたがうため、主に2027年1月以降になる見通しのようです。さらに既存の借り手の方は、2025年12月の利上げ分(2026年7月の返済額に反映)に続いて今回分も反映されるという、いわば「二段階の負担増」を経験することになります。
具体的にどれくらい増えるのか、35年・元利均等返済で金利が0.25%上昇した場合を試算してみました(金利をその水準で全期間固定したと仮定した比較です)。

借入総額別・金利+0.25%時の返済額シミュレーション

借入額が大きいほど、また残りの期間が長いほど、金利上昇の影響は大きくなります。私自身の「4,000万円・35年」というラインで見ても、月々数千円・35年累計で約200万円規模というのは、決して小さくない金額ですね。
加えて、多くの銀行が変動金利型住宅ローンで採用している「5年ルール」「125%ルール」には、少し注意が必要です。こちらの記事で解説していますので、気になる方は該当の部分をのぞいてみてください。

5.家計全体では「+1兆円」、でも内訳は世帯によってさまざまです

みずほ総合研究所の試算によると、今回の利上げによる家計全体への影響は年間+1.0兆円とされています。つまり、利上げによるメリットデメリットを考えた場合、メリットが勝るという計算になっているということです。

普通預金・定期預金の利子収入の増加(それぞれ+0.7兆円、+0.8兆円)が、住宅ローン利払いの増加(▲0.5兆円)を上回るという内訳で、1世帯あたりに均すと、年間+2万円ほどのプラスになる計算です。
ただ、この恩恵は世帯ごとに均等に行き渡るわけではありません。同研究所の分析では、

・60代・70代以上の高齢世帯は年間+4万円前後のプラス
・住宅ローンなど負債を抱える世帯は平均で年間▲1.2万円のマイナス
・20〜30代の若い世帯は年間▲4万円前後のマイナス

とされています。
つまり、ローンが少なく預金が多い世帯はプラスになるが、ローンが多く預金が少ない若者のような世帯ではマイナスになるという話です。

実際、メガバンクは普通預金金利を0.40%へ引き上げており、これは34年ぶりの高水準とのことです。預金が増える方もいれば、返済が増える方もいる──同じ「利上げ」というニュースの裏側に、世代によって違った現実があることは、ご自身の状況に置き換えて、一度確認してみていただけたらと思います。

6.日銀の次の利上げはいつ?今後の見通し

市場の関心は、すでに「次はいつになるのか」に移っているようです。事前のアンケート調査では、エコノミストの多くが次の利上げ時期を10月か12月と予想していました。証券会社の分析でも、2026年内・2027年とさらに利上げが続き、ターミナルレート(利上げの最終的な到達点)は1.5%前後になるのではないか、という見方が示されています。
もちろん、不確実な部分も多くあります。日銀自身、中立金利を「1.1〜2.5%」という幅でしか推定できておらず、内田副総裁も会見で「先行きの利上げの見通しに使うには、あまり使えない」と話しています。為替の動き(円安がどこまで進むか)や米国の金融政策、審議委員の人事構成の変化なども、今後のペースを左右する要素になりそうです。

まとめ:今、住宅ローンをお持ちの方にしていただきたいこと

「政策金利1%」は、まだ通過点に過ぎないというのが、市場の共通認識になりつつあるようです。変動金利でローンを組んでいる方は、年内に次の3つだけでも確認しておくと安心かもしれません。

・自分のローンの基準金利の改定時期と、返済額の見直し時期を確認してみる
・「5年ルール」「125%ルール」が自分の契約に適用されるかどうかを再確認してみる
・今後さらに0.25〜0.5%程度の上昇があった場合の返済額を、あらかじめ試算しておく

利上げが続くのは既定路線です。ですので「利上げはなんだか怖い」と漠然と感じるだけでは不安が積み重なるだけなので、自分の数字に置き換えてみて、対策を具体的にしていくのがいいのではないかと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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