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【Astera Labs(ALAB)Q2 FY2026】AIラックの“接続構造”を握れるか。ScorpioとCOSMOSは不可逆モートになるのか

Astera Labs(ALAB)のQ2 FY2026決算をアウトプットする。

前回Q1決算では、私はALABをこう整理した。

割高で終わらせてよいのか。
AIラックの“接続標準”を取りにいく会社なのか。
CRDO、MRVLと比較した時、ALABの本質はどこにあるのか。

あれから3か月。

今回のQ2決算で、ALABの見方は一段進んだと思う。

結論から言えば、ALABはさらに高くなった。

バリュエーションを見る限り、Forward non-GAAP P/Eは100倍を超え、Forward P/Sも40倍近い。

普通に考えれば、触りにくい。

いや、かなり触りにくい。

ただし、今回も「割高」で終わらせるつもりはない。

今回見るべきことは、単に売上が強かったかどうかではない。

ALABが、AIラックの中でGPU、XPU、CPU、メモリ、NIC、ストレージ、PCIe、Ethernet、CXL、UALink、光接続をつなぐ“接続構造”そのものを握り始めているのか。

ここにメスを入れる必要がある。

前回Q1では、Scorpioは「物語から売上フェーズに入り始めた」と整理した。

今回Q2では、Scorpioはさらに一段進んだ。

Scorpio X-Seriesがvolume productionに入り、Q3にはScorpioが会社最大の製品ラインになる見通しとなった。

しかも、これは前回会社が示していた想定より1四半期早い。

ここが今回の決算の本丸だと思う。

ALABは、Retimer屋からAI Fabric企業へ変質し始めたのか。

ScorpioとCOSMOSは、AIラックの不可逆モートになるのか。


今回の決算は、この問いに対する答え合わせである。

■ 4四半期の決算数字


Q3’25 → Q4’25 → Q1’26 → Q2’26

・売上高:$230.6M → $270.6M → $308.4M → $392.4M
YoY:+104% → +92% → +93% → +104%
QoQ:+20.1% → +17.4% → +14.0% → +27.3%

Q2は売上成長が再加速した。Q1時点のQ2売上ガイダンス中央値$360Mに対して、実績は$392.4M。単なる達成ではなく、かなり明確な上振れだった。

・GAAP粗利率:76.2% → 75.6% → 76.3% → 73.3%
・non-GAAP粗利率:76.4% → 75.7% → 76.4% → 73.7%

粗利率は明確に低下した。ただしQ1時点で会社はQ2粗利率を約73%とガイダンスしていたため、想定外の悪化ではない。むしろQ2実績はガイダンスをやや上回った。

・GAAP営業利益:$55.4M → $67.0M → $61.8M → $89.2M
・GAAP営業利益率:24.0% → 24.7% → 20.1% → 22.7%

Q2のGAAP営業利益率はQ1から改善した。粗利率は下がったが、売上規模拡大による営業レバレッジが効いた。

・non-GAAP営業利益:$96.1M → $108.9M → $111.7M → $153.5M
・non-GAAP営業利益率:41.7% → 40.2% → 36.2% → 39.1%

ここはかなり強い。Q1で36.2%まで下がったnon-GAAP営業利益率が、Q2では39.1%まで戻った。粗利率低下を売上拡大で吸収している。

・GAAP EPS:$0.50 → $0.25 → $0.44 → $0.83
・non-GAAP EPS:$0.49 → $0.58 → $0.61 → $0.80

Q2のnon-GAAP EPSは$0.80。Q1の$0.61から大きく伸びた。市場予想も大きく上回ったため、P/Lだけ見ればかなり強い決算である。

・営業CF:$78.2M → $95.3M → $74.6M → $87.7M
・営業CFマージン:33.9% → 35.2% → 24.2% → 22.3%

営業CFはプラスを維持したが、売上成長ほどは伸びていない。売掛金、在庫、前払など、急成長局面の運転資本負担が出ている。

・設備投資額:$12.3M → $18.7M → $7.6M → $20.5M
・設備投資額 / 売上比率:5.3% → 6.9% → 2.5% → 5.2%

ALABはファブレス半導体企業なので、MicrosoftやMetaのような巨大CapEx企業ではない。ただし、Q2の設備投資は増えた。量産、テスト、サプライチェーン、光接続対応への投資は増えていると見るべきだと思う。

・FCF:$65.9M → $76.6M → $67.0M → $67.2M
・FCFマージン:28.6% → 28.3% → 21.7% → 17.1%

FCFはプラスだが、Q2の売上成長に対してFCFはほぼ横ばいだった。ここは今回の弱点。P/Lは強いが、キャッシュ転換はまだ追いついていない。

・SBC:$40.7M → $41.4M → $48.9M → $64.0M
・SBC / 売上比率:17.7% → 15.3% → 15.9% → 16.3%

SBC、つまり株式報酬はまだ重い。売上比16%台は無視できない。non-GAAP EPSだけを見るときれいだが、株主価値を見るならSBCと希薄化は必ず見る必要がある。

・希薄化後株数:180.6M → 181.2M → 181.2M → 183.3M

株数は急激に膨張しているわけではないが、Q2で183.3Mまで増えた。Q3ガイダンスでは185M株が前提となっている。SBCが大きい以上、ここは継続監視。

・現金+市場性有価証券:$1.13B → $1.19B → $1.18B → $1.25B

財務は強い。Q2末の現金・現金同等物と市場性有価証券は約$1.25B。成長投資、買収、設計センター拡張、光接続ロードマップを進めるだけの財務体力はある。

・PCIe Gen 6売上構成比:未開示 → 未開示 → 売上の1/3超 → 売上の50%超

製品別売上は未開示だが、PCIe Gen 6の売上比率は重要な補助指標になる。Q1では売上の1/3超、Q2では50%超まで拡大した。ALABの成長は、単なるAIテーマではなく、PCIe Gen 6への世代移行で実際に売上化している。

・Scorpio売上構成比:四半期別は未開示

Scorpioの四半期別売上構成比は未開示。ただし、会社は2025年通期でScorpioが売上の15%超を占めたと説明しており、Q3’26にはScorpioが最大製品ラインになる見通しを示した。ここが今回の最重要変化である。

・Aries:Q2もrecord quarterly revenue
・Taurus:Q2もstrong revenue growth
・Leo:2027年に標準・customのCXL memory controllerを2つの米国ハイパースケーラー向けにvolume shipment見通し

各製品の売上額は未開示。ただし、Q2の成長はScorpioだけではなく、Aries、Taurusも含む広いポートフォリオで作られている。Leoはまだ数字の主役ではないが、2027年以降の第2オプションとして見る。

・Q3’26ガイダンス:売上$540M〜$560M、non-GAAP EPS $1.16〜$1.21
売上中央値:$550M
売上QoQ:約+40.2%
売上YoY:約+138.5%

Q3ガイダンスはかなり強い。売上中央値$550Mは、Q2実績$392.4Mから一気に約40%増える前提である。会社は、Scorpio X-Seriesのvolume production、Aries PCIe 6、Taurus 800G関連を成長要因として挙げている。

・市場予想との比較
Q2実績:売上$392.4M、non-GAAP EPS $0.80
市場予想:売上$360.9M、EPS $0.69
Q3会社ガイダンス中央値:売上$550M、EPS約$1.19
Q3市場予想:売上$417M、EPS $0.81

市場予想との比較でも、Q2実績、Q3ガイダンスともに大きく上回った。特にQ3ガイダンスは市場予想を大幅に上回っており、Scorpioの立ち上がりが市場想定より速いことを示している。

■ 数字だけ見た結論


ALABのQ2は、売上、EPS、Q3ガイダンスだけを見れば非常に強い。

特に、Q3売上ガイダンス中央値$550M、QoQ +40%はかなり異常な強さである。

ただし、粗利率は73%台へ低下し、Q3ガイダンスでは72%。FCFマージンも17%台まで下がり、SBCも売上比16%台で重い。

つまり、P/Lは非常に強い。
しかし、キャッシュ転換と希薄化はまだ弱い。

今回の決算は、単純な好決算ではなく、Scorpioが会社の主役になり始める一方で、その成長が本当に株主価値に残るかを確認する決算だと思う。


■ ALABはRetimer屋からAI Fabric企業へ変質したのか


今回の決算で一番重要なのは、Scorpioである。

前回Q1では、Scorpioは「物語から売上フェーズに入り始めた」と整理した。

今回は違う。

Scorpioは、会社の主役になり始めている。

会社はQ2決算で、Q3にScorpioが最大製品ラインになる見通しを示した。しかもこれは、前回想定より1四半期早い。

これはALABの見方を変える。

Ariesが中心なら、ALABはPCIe retimerの強い会社である。

Retimerとは、高速信号が劣化しないように信号を再整形する半導体である。AIサーバー内でGPU、CPU、NIC、ストレージを高速接続するには重要だが、基本的には信号品質を支える部品である。

一方で、Scorpioは違う。

ScorpioはAI Fabric Switchである。

Fabric Switchとは、複数のGPUやXPUをつなぎ、データを低遅延で行き来させるための接続基盤である。

つまり、Ariesが「信号を整える部品」だとすれば、Scorpioは「AI accelerator同士をどうつなぐか」という構造に入り込む製品である。

ここが大きい。

ALABがAries中心の会社なら、AIインフラの接続需要を取る優良半導体企業である。

しかし、Scorpio中心の会社になれば、AIラックの設計そのものに入り込む会社になる可能性がある。

これは、モートの質が違う。


■ Scorpio X 320-laneの本質は、レーン数ではなく“配線図”を取ること


Scorpio X 320-laneを、単に「大きなスイッチ」として見ると本質を外す。

重要なのは、320レーンという数字そのものではない。

AIラックの接続構造、つまりトポロジーをALAB側へ寄せることにある。

AIラックでは、多数のGPU、XPU、CPU、メモリ、NIC、ストレージを低遅延でつなぐ必要がある。

ここで複数のスイッチを何段もまたぐと、通信遅延が増え、通信効率も落ちる。

特に、AI推論がagentic workflows、multi-step reasoning、Mixture of Experts、KV Cacheのような方向へ進むと、通信の複雑さはさらに増す。

GPUが速いだけでは足りない。

GPU同士が、どれだけ速く、無駄なく、低遅延で話せるかが重要になる。

Scorpio X 320-laneが狙っているのは、より大きなXPUクラスターをsingle hopでつなぐことだと思う。

single hopとは、複数のスイッチを何段も経由せず、できるだけ一段で接続する構造である。

これにより、レイテンシを抑え、配線を単純化し、AIラック全体の効率を上げる。

この構造が顧客のラック設計に入り込めば、ALABは単なる部品サプライヤーではなくなる。

AIラックの配線図を握る会社になる。

ここが、今回のメスの切り口である。


■ COSMOSは監視ソフトからAIラック運用レイヤーへ進むのか


ALABのもう一つの本丸はCOSMOSである。

COSMOSは、ALABのソフトウェア基盤である。

もともとは、AriesやTaurusなどの接続製品に対して、設定、監視、診断、最適化を行うためのソフトウェアとして見ていた。

しかし今回のQ2では、COSMOSの見方も少し変わった。

経営陣は、COSMOSがHypercast、In-Network Compute、dynamic traffic shaping、real-time performance managementを支えると説明している。

Hypercastとは、1つのGPUが複数GPUへ同じデータを送る通信を、スイッチ側で効率化する仕組みである。

In-Network Computeとは、GPU同士の集約処理の一部をネットワーク側、つまりスイッチ側で実行する仕組みである。

要するに、GPUに全部やらせるのではなく、通信や集約処理の一部をScorpio側へ逃がす。

これにより、GPUのI/O帯域や計算資源を節約し、AIラック全体の実効性能を上げる。

ここで重要なのは、これらがCOSMOSを通じて有効化されることだ。

COSMOSが単なる診断ソフトなら、モートは限定的である。

しかし、COSMOSがAIラックの通信状態、障害診断、性能最適化、ワークロードの実行効率に関与するなら、話は変わる。

ALABは、ハードウェア会社から一段上に行く。

Aries、Taurus、Leo、Scorpioを横断し、顧客のAIラック運用スタックに入り込む会社になる可能性がある。

ここが、不可逆モートの候補だと思う。

ただし、まだ確認できないこともある。

COSMOS単体の売上は未開示。
ソフトウェアとして別課金されているのかも明確ではない。
顧客がCOSMOSを次世代ラックでも継続採用するかも、まだ完全には見えていない。

だから現時点では、COSMOSは不可逆モートそのものではない。

不可逆モート候補である。


■ 5年後の利益プールは、XPU当たりの接続コンテンツで決まる


ALABを見るうえで、5年後の利益プールはここだと思う。

GPUやXPUの台数が増える。

それだけではない。

1つのXPU当たりに、どれだけALABの接続製品が付くか。

ここが重要である。

IPO時点で、ALABの中心はAriesだった。

Ariesのコンテンツは、XPU当たりおおむね$50〜$100という見方だった。

そこにTaurusが加わる。
Scorpio Pが加わる。
Scorpio Xが加わる。
Leo CXLが加わる。
Opticalが加わる。
Custom connectivityが加わる。
UALinkやNVLink Fusionも加わる。

この結果、会社はXPU当たり$1,000超の接続コンテンツ機会を語るようになった。

さらに経営陣は、今後複数千ドルへ拡大する可能性も示唆している。


これは非常に大きい。

ALABの利益プールは、AI acceleratorの台数増加だけでなく、XPU当たりの接続課金が増えることで拡大する。

つまり、ALABが狙っているのは、AIファクトリーの中でGPUを売ることではない。

GPUやXPUが増えれば増えるほど、その周辺で必要になる接続、制御、診断、運用、メモリ拡張、光接続を重ねていくことだ。

これが本当に成立するなら、ALABの成長は単なる一製品サイクルでは終わらない。

AIラックが複雑になるほど、ALABの取り分が増える構造になる。

この意味では、ALABの5年後の利益プールはかなり大きい。

ただし、これはまだ完全に実証された利益プールではない。

Scorpioは実証が進み始めた。
CXL、Optical、UALink、Customはまだ2027年以降の話である。

だから、今は「5年後の利益プールが見えた」と言うより、5年後の利益プールに対する解像度が上がったという表現が正しいと思う。


■ 粗利率低下はモート劣化なのか


今回、数字で最も気になるのは粗利率である。

Q1のnon-GAAP粗利率は76.4%。
Q2は73.7%。
Q3ガイダンスは約72%。

明確に下がっている。

これは逃げずに見なければならない。

ALABのバリュエーションが高い理由の一つは、高成長でありながら粗利率が非常に高かったことだ。

もし粗利率が構造的に下がるなら、評価前提は変わる。

ただし、今回の粗利率低下を単純にモート劣化と見るのも早い。

Q2の粗利率73.7%は、Q1時点のガイダンスを上回っている。
Q2のnon-GAAP営業利益率は39.1%まで改善している。
Q3ガイダンスでは、non-GAAP営業利益率は約43%まで上がる見通しである。

つまり、粗利率は下がっても、売上規模拡大による営業レバレッジがそれ以上に効いている。

ここはかなり重要だ。

ALABは、粗利率だけで勝負している会社ではない。

売上が急拡大すれば、R&D、G&A、Sales & Marketingを吸収し、営業利益率を引き上げられる構造がある。

ただし、この構造が続くには条件がある。

Scorpioの粗利率が会社平均から大きく外れないこと。
Customが低粗利の御用聞きにならないこと。
Warrant影響が想定内に収まること。
Optical立ち上げで粗利率が崩れないこと。

ここは次回以降の重要チェックポイントである。


■ Amazon warrantは強みか、依存リスクか


Q2以降の粗利率には、顧客とのwarrant agreementによる非現金影響が含まれている。

ここも少し触れておきたい。

Amazonとのワラント契約は、単なる会計上のコストではない。

大口顧客との関係を深める仕組みでもある。

ポジティブに見れば、Amazonという巨大顧客がALABの製品ロードマップに深く関与し、将来の購入インセンティブを持つ構造になる。

これはScorpio、signal conditioning、optical engineの需要裏付けとして強い。

一方で、ネガティブに見れば、顧客集中リスクでもある。

特定顧客への依存が強くなりすぎると、価格交渉力、製品優先順位、粗利率に影響が出る可能性がある。

だから、このwarrantはモートにもなり得るし、依存にもなり得る。

ここで見るべきは、Amazonとの関係そのものではない。

Amazon以外の顧客へScorpio X、Scorpio P、UALink、CXL、Opticalが広がるかである。


■ StandardかCustomか。御用聞きになるのか、標準を作るのか

今回のコールでは、Custom Solutionsという言葉もかなり重要だった。

ALABは標準品だけの会社ではなくなっている。

NVLink Fusion、custom Leo、KV Cache offload、hybrid rack向けcustom connectivity。

これらは顧客専用に近い案件である。

ここには強みとリスクがある。

強みは、顧客の次世代アーキテクチャに深く入り込めること。

ハイパースケーラーは、自社XPU、独自ラック、独自推論基盤を作る。
その結果、標準品だけでは足りない接続課題が出てくる。

そこにALABがCustomで入れれば、顧客との関係は深くなる。

一方で、リスクもある。

Customが増えすぎると、R&D効率が落ちる。
顧客ごとの御用聞きになる。
横展開しにくい。
粗利率が下がる。

だから、ALABが本当に強くなるには、Customで得た知見をScorpio、COSMOS、Leo、Taurus、Opticalの標準ロードマップへ戻す必要がある。

つまり、Customは目的ではない。

次の標準品を作るための先行情報であるべきだ。

現時点では、ALABはこの方向を狙っているように見える。

ただし、これもまだ確認途中である。

Customが高付加価値の顧客密着になるのか。
それとも低粗利の個別開発になるのか。

ここは、5年後の利益プールを考えるうえでかなり重要だと思う。


■ Opticalは銅接続の死ではなく、Scorpioの到達距離を伸ばす話


Opticalについても、今回かなり整理できた。

ALABにとって、光接続は銅接続の置き換えではない。

むしろ、上乗せ機会である。

AIラック内では、銅接続はまだ強い。

低コスト。
低消費電力。
低遅延。
信頼性。

使えるなら銅を使う。

しかし、AIクラスターが1ラックから複数ラックへ広がると、銅だけでは届かなくなる。

ここでOptical、つまり光接続が必要になる。

だからALABのOptical戦略は、TaurusやAriesを殺す話ではない。

Scorpio Xを中心にしたscale-up fabricの到達距離を、ラック内から複数ラックへ伸ばす話である。

ここはかなり重要だと思う。

ALABは、Scorpio XをAIラックの接続基盤にし、その周りにNPO、CPO、optical engineを重ねようとしている。

NPOはNear-Package Opticsで、パッケージ近くに光接続を置く方式。
CPOはCo-Packaged Opticsで、スイッチや半導体パッケージと光エンジンをより近くに統合する方式である。

Q2時点では、Opticalはまだ本格的な売上の主役ではない。

2027年にfiber couplerやNPO、2028年以降にCPOが見えてくるという段階である。

だから、今回の記事ではOpticalを主役にしすぎない。

主役はScorpioである。

Opticalは、Scorpioの将来の到達距離を伸ばすオプションとして見る。


■ CXL / Leoはagentic inference時代の第2オプションになるか


Leoも重要だが、まだ主役ではない。

CXLとは、CPU、GPU、メモリの間で、メモリ拡張や共有を可能にする接続規格である。

AI推論がagentic、つまり複数ステップで長く思考する方向へ進むと、メモリがボトルネックになる。

特にKV Cacheである。

KV Cacheとは、LLMが過去の文脈を効率よく再利用するために保持する中間データである。

文脈が長くなればなるほど、このKV Cacheが重くなる。

HBMは高価で供給制約もある。

そのため、CXL attached memoryを使って、より安価なDRAMをGPUやCPUの近くに接続できれば、推論インフラのコスト効率を改善できる可能性がある。

ALABのLeoはここを狙っている。

今回、会社は標準Leo memory controllerで米国ハイパースケーラーの新規design winを獲得し、2027年には2つの米国ハイパースケーラー向けに標準・custom Leoをvolume shipmentする見通しを示した。

これは良い。

ただし、Leo単体売上は未開示であり、今の売上の主役ではない。

現時点では、Leoは「2027年以降の第2オプション」として見るのが妥当だと思う。


■ CRDO、MRVL、AVGOと比較するとALABの位置が見える


ALABを単独で見ると、すごく見える。

しかし、競合比較をしないと、モートの質は見えない。

まずCRDO。

CRDOは、高速接続の純度が高い会社である。

Active Electrical Cable、SerDes、DSP、optical DSPなど、AIデータセンターの高速接続そのものに寄っている。

CRDOは、AIクラスターの帯域需要を取る会社として非常に分かりやすい。

一方で、ALABはScorpio、COSMOS、CXL、UALink、NVLink Fusion、Opticalまで広げ、よりAIラック全体の接続制御に寄せている。

CRDOは高速道路の車線やケーブルを強くする会社。
ALABは、その高速道路の交差点、信号制御、監視システムまで取りにいく会社。

この違いだと思う。

次にMRVL。

MRVLは、AIインフラ半導体の総合企業に近い。

Custom ASIC、networking、optical、storage、データセンター向け半導体を広く持つ。

MRVLは、ALABよりも大きく、事業の幅も広い。
その分、AIインフラ純度は少し下がるが、事業耐性は高い。

ALABはMRVLほど広くない。
しかし、AIラックの接続層にかなり集中している。

ここに爆発力がある。

最後にAVGO。

AVGOは、直接比較というより到達点である。

Custom AI accelerator、networking、software、VMwareまで持つ巨大インフラ企業である。

ALABが本当にScorpio、COSMOS、Optical、CXL、UALinkで接続標準を取るなら、目指す方向は「小さなAVGO的な接続インフラ標準企業」に近い。

ただし、AVGOはすでに巨大顧客、巨大製品群、巨大ソフトウェア資産を持つ。

ALABはまだそこまで行っていない。

だから現時点では、ALABはこう整理する。

CRDOよりプラットフォーム志向。
MRVLより接続層に集中。
AVGOほどの支配力はまだない。

この位置にいる。


■ Future40フィルターで見るALABの現在地


ここで、自分のFuture40フィルターにALABを通してみる。

Future40は、現在もっとも優れた企業を選ぶランキングではない。

バリュエーションも加味していない。

見るのは、5年後も利益プールを拡大し続ける可能性が高いか。
そして、その利益プールを不可逆的なモートとして防衛できるかである。


問いは4つある。

第一問。
5年後に、この企業は価値創造のボトルネックを握るか。

この問いに対して、ALABはかなり前進している。


AIラックでは、GPU単体性能だけではなく、GPU、XPU、CPU、メモリ、NIC、ストレージ、スイッチをどう低遅延でつなぐかが重要になる。

ここでALABは、Aries、Taurus、Leo、Scorpio、COSMOSを通じて、AIラックの接続ボトルネックを取りにいっている。

特に今回のQ2では、Scorpio X-Seriesがvolume productionに入り、Q3にはScorpioが最大製品ラインになる見通しとなった。

したがって第一問は、通過にかなり近づいた。

第二問。
未来の利益プールを、十分な割合で捕捉できるか。

ここも前進している。


Q2売上は$392.4M、前年同期比+104%。
Q3売上ガイダンス中央値は$550Mで、Q2比+40%。
PCIe Gen 6売上は全社売上の50%超。
ScorpioはQ3に最大製品ラインになる見通し。

さらに、XPU当たり接続コンテンツは$1,000超へ広がり、将来的には複数千ドルも狙う。

つまり、ALABはAIラックの中で、細い部品売上を取る会社ではなく、接続層の利益プールを取りにいく会社になり始めている。

ただし、Scorpio単体売上は未開示。
Scorpio XとP-Seriesの内訳も未開示。
顧客別の最終需要も見えにくい。

だから第二問は、まだ完全通過ではない。

第三問。
その利益は、他者へ漏れずに維持できる構造を持つか。

ここはまだ未通過である。


ALABの粗利率は高い。
しかし、Q2で73.7%、Q3ガイダンスで72%まで下がる。

CRDO、MRVL、AVGO、NVIDIA、ハイパースケーラー内製、UALink、ESUN、Ethernetの標準化競争もある。

したがって、ALABが利益を他者へ漏らさずに維持できるかは、まだ確認できていない。

第四問。
その防衛構造は、5年間さらに拡大するか。

ここは可能性がある。


Aries、Taurus、Leo、Scorpio、COSMOS。
さらにUALink、NVLink Fusion、Optical、Custom。

この広がり方は、単なる製品追加ではない。

AIラックの接続ボトルネックが複雑になるほど、ALABの関与領域が増える構造になっている。

特にCOSMOSが顧客の運用層に入るなら、防衛構造は5年間拡大する可能性がある。

ただし、COSMOS単体売上は未開示であり、収益モデルも明確ではない。

だから第四問も、まだ実証途中である。

以上をまとめると、ALABは現時点でFuture40本表ではない。

ただし、Watch候補にはかなり近づいた。

前回Q1では、重要監視だった。

今回Q2では、Scorpioが会社最大の製品ラインになる見通しとなり、AIラック接続標準への道筋が一段見えた。

だから、ALABはこう整理する。

Future40本表ではない。
しかし、ScorpioとCOSMOSが複数顧客・複数世代へ広がるなら、Watch入りを検討できる企業。

Q2決算は、その条件点灯に近づいた決算である。


■ それでもバリュエーションは重い


ここまで書くと、ALABはかなり魅力的に見える。

実際、事業は強い。

しかし、投資判断は別である。

バリュエーションを見る限り、ALABはForward P/S約40倍、Forward non-GAAP P/E約118倍である。

これは、良い会社の価格ではない。

AIラック接続標準になる会社の価格である。

つまり、株価はすでにFuture40入り後の未来を織り込んでいるように見える。

ここが難しい。

ALABが良い会社であることは、今回の決算でさらに確認できた。

Scorpioは前倒しで伸びている。
PCIe Gen 6も強い。
Ariesもrecord revenue。
Taurusも成長。
Leo、CXL、Optical、Customも2027年以降の布石がある。

しかし、株価はそれをかなり先取りしている。

決算発表の翌日に-12%で着地したことにも、期待が先行した結果の調整だ。

だから、今回の決算を見て「強いから買う」とはならない。

むしろ、こうだと思う。

事業は強い。
モートも拡大している。
しかし、株価はさらに強い未来を要求している。

ここを分けて考える必要がある。


■ 今回の結論


ALABのQ2決算は、非常に強かった。

売上は$392.4M、YoY +104%。
non-GAAP EPSは$0.80。
Q3売上ガイダンス中央値は$550M、QoQ +40%。
ScorpioはQ3に最大製品ラインになる見通し。
PCIe Gen 6売上は全社売上の50%超。

普通に見れば、かなり強い決算である。

ただし、今回の本質はそこではない。

今回の本質は、ALABがRetimer屋からAI Fabric企業へ変質し始めたことだと思う。

Scorpio X 320-laneは、単なる大型スイッチではない。

AIラックの配線図を取りにいく製品である。

COSMOSは、単なる監視ソフトではない。

AIラックの運用レイヤーへ進む可能性がある。

この2つが本当に組み合わさるなら、ALABはAIラックの接続構造を握る会社になる。

ここに不可逆モートの芽がある。

ただし、まだ芽である。

Scorpio単体売上は未開示。
COSMOS単体売上も未開示。
顧客分散もまだ確認途中。
粗利率は72〜73%台へ下がっている。
SBCは重い。
FCFは売上成長に追いついていない。

だから、ALABはまだコア候補ではない。

しかし、重要監視からWatch候補へ近づいた。

自分の整理としてはこうなる。

ALABは、割高だから見送るだけの銘柄ではない。
しかし、強いから買う銘柄でもない。

ScorpioとCOSMOSがAIラックの接続構造を握り、5年後の利益プールを不可逆に捕捉できるか。

そこを監視する銘柄である。

今すぐ飛びつく必要はない。

ただし、AIファクトリーの構造を理解するうえで、ALABは今後必ず見続けるべき企業になったと思う。


■ 次回決算チェックポイント


・Q3’26売上ガイダンス$540M〜$560Mを達成、または上振れできるか
・Q3 non-GAAP EPS $1.16〜$1.21を達成できるか
・Scorpioが本当に最大製品ラインになったか
・Scorpio XがP-Seriesを上回る構成になっているか
・Scorpio Xのvolume productionがlead customer以外へ広がっているか
・Scorpio Xの10社超engagementがdesign winやrevenueへ進んでいるか
・Scorpioの粗利率がcorporate gross margin並みで維持されているか
・Q3粗利率72%が底なのか、さらに低下するのか
・non-GAAP営業利益率が43%前後まで上がるか
・PCIe Gen 6売上比率が50%超からさらに拡大するか
・AriesがScorpioに食われず、record revenueを更新し続けるか
・Taurus 800G、1.6T、3.2T関連が売上に出てくるか
・Leo CXLの2米国ハイパースケーラー案件が2027年売上化へ進むか
・KV Cache offload向けcustom Leoの用途と量産時期が具体化するか
・UALink-enabled Scorpio X-Seriesの2027年投入計画が維持されるか
・NPO、fiber coupler、optical engineの2027年量産計画が進んでいるか
・CPO、fully optically enabled Scorpioの2028年計画が具体化するか
・Custom Solutionsが高付加価値の顧客密着なのか、低粗利の御用聞きなのか
・COSMOSが診断ソフトではなく、ワークロード最適化・運用レイヤーとして採用されているか
・SBC / 売上比率が16%台から低下するか
・希薄化後株数が185M前後でコントロールされるか
・営業CF、FCFが売上成長に追いつくか
・売掛金と在庫の増加がQ3売上成長で正当化されるか
・Amazon warrantが顧客粘着性の強化なのか、依存リスクなのか
・CRDO、MRVL、AVGO、NVIDIA、ハイパースケーラー内製との競争で、ALABがどの接続層を取れているか
・Forward P/S約40倍、Forward non-GAAP P/E約118倍を正当化できる成長とモートが続くか



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