【Astera Labs(ALAB)Q1 FY2026】割高で終わらせてよいのか?AIラックの“接続標準”を取りにいく会社をCRDO・MRVLと比較する
Astera Labs(ALAB)のQ1 FY2026決算分析をする。
最初に正直に言うと、ALABは高い。
かなり高い。
バリュエーションを見ると、ALABのForward non-GAAP P/Eは80倍台、Forward Price/Salesも25倍台。普通に見れば、これは簡単に触れる株ではない。
ただ、今回の決算を「割高」で終わらせるのではなく、なぜここまで高いバリュエーションがついているのかを切り込んで見ていきたい。
大事なのは、単に売上が伸びている半導体銘柄かどうかではない。
この会社が、AIラックの中でGPU、XPU、CPU、メモリ、スイッチ、銅線、光接続をつなぐ“接続標準”を取りにいける会社なのか。ここにメスを入れる必要がある。
AIファクトリー時代に、ボトルネックはGPU単体性能だけではなくなる。GPUをどれだけ多く並べても、それらを高速、低遅延、省電力、高稼働率でつなげなければ、AIインフラ全体の効率は落ちる。
つまり、次の争点は「計算するチップ」だけではなく、計算資源をどう接続し、どう制御し、どう運用するかに移っていく。
その接続層を取りにいこうとしているのがALABだと思う。
Q2’25 → Q3’25 → Q4’25 → Q1’26
・売上高:$191.9M → $230.6M → $270.6M → $308.4M
Q1’26はQoQ +14.0%、YoY +93%。Q2’25はYoY +150%、Q3’25はYoY +104%、Q4’25はYoY +92%、Q1’26はYoY +93%なので、成長率は極めて高い水準で維持されている。Q2’25からQ1’26まで、売上は四半期ごとに$191.9M、$230.6M、$270.6M、$308.4Mときれいに積み上がっている。これはAIインフラ需要の一時的な跳ねではなく、少なくとも直近4四半期では、製品ポートフォリオ全体で需要を取り込めていると見てよい。Q2、Q3、Q4、Q1それぞれの会社発表でも、売上はこの水準で確認できる。
・粗利率:75.8% → 76.2% → 75.6% → 76.3%
粗利率はかなり安定している。Q1’26のGAAP粗利率は76.3%、non-GAAP粗利率は76.4%。ここは非常に強い。半導体企業で売上が急拡大している局面では、製品ミックスや量産立ち上げで粗利率が崩れることもあるが、ALABは少なくとも現時点では75〜76%台を維持している。これは単なる量ではなく、かなり高い付加価値で売れていることを示している。
・GAAP営業利益:$39.8M → $55.4M → $67.0M → $61.8M
・GAAP営業利益率:20.7% → 24.0% → 24.7% → 20.1%
Q1’26のGAAP営業利益率は20.1%。Q4’25の24.7%からは低下している。ここは少し注意が必要。売上は伸びているが、R&D投資、買収関連、組織拡大によって営業利益率はやや落ちている。とはいえ、成長率90%超の会社がGAAPで20%台の営業利益率を出していること自体はかなり強い。
・non-GAAP営業利益:$75.2M → $96.1M → $108.9M → $111.7M
・non-GAAP営業利益率:39.2% → 41.7% → 40.2% → 36.2%
non-GAAP営業利益率はQ3’25の41.7%をピークに、Q4’25は40.2%、Q1’26は36.2%まで低下している。ここは今回の数字の中で冷静に見るべき部分。ALABは高成長かつ高収益だが、次世代Scorpio、optical、custom、CXL、UALink、NVLink Fusionなどに投資する局面に入り、費用も増えている。つまり、今のALABは「利益率を最大化する会社」ではなく、「AIラックの接続標準を取りに行くために、利益率を少し削って投資している会社」と見るべきだと思う。
・GAAP EPS:$0.29 → $0.50 → $0.25 → $0.44
・non-GAAP EPS:$0.44 → $0.49 → $0.58 → $0.61
EPSは強い。Q1’26のnon-GAAP EPSは$0.61で、Q4’25の$0.58からさらに伸びた。ただし、Q4’25の会社開示は厳密には「non-GAAP pro forma diluted EPS」なので、完全に同じ定義として扱うよりは注記しておきたい。Q4’25のGAAP EPSが$0.25と低く見えるのは税金の影響が大きく、営業実力を見るならnon-GAAP EPSの推移を併せて見る必要がある。Q2’25からQ1’26まで、non-GAAP EPSは$0.44、$0.49、$0.58、$0.61と伸びている。売上だけではなく、EPSも伴っている。
・営業CF:$135.4M → $78.2M → $95.3M → $74.6M
・営業CFマージン:70.5% → 33.9% → 35.2% → 24.2%
営業CFは強いが、Q2’25の$135.4Mはかなり高く出ているため、そこを基準にしすぎない方がいい。Q3以降は$78.2M、$95.3M、$74.6Mで推移している。Q1’26の営業CFマージンは24.2%。売上成長の速さに対して、運転資本、在庫、売掛金の動きが出やすい局面だと思う。営業CFが赤字に落ちていない点は強いが、営業利益率ほどきれいには見えない。ここは今後も追うべき。
・設備投資額:$2.0M → $12.3M → $18.7M → $7.6M
ALABはMicrosoftやMetaのような巨大CapEx企業ではない。ファブレス半導体企業なので、設備投資そのものはそこまで重くない。Q4’25は$18.7Mまで増えたが、Q1’26は$7.6M。AIインフラ銘柄の中でも、ALABの投資負荷は「自社でデータセンターを建てる」タイプではなく、R&D、人材、設計、買収、サプライチェーン確保に寄っている。
・FCF:$133.3M → $65.9M → $76.6M → $67.0M
・FCFマージン:69.5% → 28.6% → 28.3% → 21.7%
FCFもプラスを維持している。Q1’26のFCFは営業CF $74.6Mから設備投資$7.6Mを差し引いて約$67.0M。FCFマージンは21.7%。高成長の中でFCFを出せているのは明確に強い。ただし、Q2’25のような異常に高いFCFマージンを常態と見るのは危険。今後は売上成長、R&D投資、在庫、売掛金、SBCを含めて、FCFがどれだけ株主価値に残るかを見る必要がある。
・SBC:$35.5M → $40.7M → $41.4M → $48.9M
・SBC / 売上比率:18.5% → 17.7% → 15.3% → 15.9%
SBC、つまり株式報酬は重い。売上比率はQ2’25の18.5%からQ4’25は15.3%まで低下したが、Q1’26は15.9%。比率としては下がりつつあるが、絶対額は$48.9Mまで増えている。ここはALABを見るうえで外せない。non-GAAP EPSだけを見ると非常にきれいだが、SBCが株主の取り分を薄めていることは事実。今後、売上成長とともにSBC / 売上比率が10%台前半、できれば一桁台へ落ちていくかが重要になる。
・希薄化後株数:178.1M → 180.6M → 181.2M → 181.2M
希薄化後株数は増えているが、Q3’25以降は大きく跳ねてはいない。とはいえ、SBCが大きい以上、株数推移は必ず追う必要がある。ALABのような高バリュエーション銘柄では、売上成長率やEPS成長率だけではなく、1株当たり価値が本当に増えているかを見る必要がある。
・現金+有価証券:$1.07B → $1.13B → $1.19B → $1.18B
財務は強い。Q1’26末の現金・現金同等物と市場性有価証券は、現金等$148.3M、marketable securities $1.036Bで、合計約$1.18B。Q1では買収関連支払いもあったが、財務体力は十分にある。つまり、ALABは成長投資をするためのバランスシートを持っている。
・Q2’26ガイダンス:売上$355M〜$365M、non-GAAP EPS $0.68〜$0.70
Q2’26の売上ガイダンス中央値は$360M。Q1’26実績$308.4Mから見るとQoQ +16.7%。前年同期のQ2’25売上$191.9Mから見るとYoY +87.6%。つまり、Q1で成長が終わるのではなく、Q2もかなり強い前提を会社は出している。一方で、Q2のGAAP / non-GAAP粗利率ガイダンスは約73%。Q1の76%台から低下する。会社のQ1コールでは、顧客とのワラント契約による約200bpの非現金影響が説明されており、ここは次回の最重要確認点になる。会社発表上も、Q2ガイダンスは売上$355M〜$365M、GAAP / non-GAAP粗利率約73%、non-GAAP EPS $0.68〜$0.70と確認できる。
ここまで数字を見ると、今回のALABはかなり強い。
売上はYoY +93%。
粗利率は76%台。
non-GAAP営業利益率は36%台。
FCFもプラス。
Q2ガイダンスも強い。
ただし、弱点もはっきりある。
non-GAAP営業利益率はピークから低下している。
SBCは売上比15%台でまだ重い。
Q2の粗利率ガイダンスは73%まで下がる。
製品別売上、Scorpio単体売上、顧客別売上は未開示。
つまり、数字だけなら強い。
でも、この会社を本当に評価するには、数字の奥にある構造を見る必要がある。
■ ALABは何の会社なのか?
ALABは、自社を「Intelligent Connectivity Platform」と説明している。
これは単なるかっこいい言葉ではなく、かなり重要だと思う。
ALABの製品は、Aries、Taurus、Leo、Scorpio、COSMOSに分かれる。
AriesはPCIe / CXL向けのretimerやsmart cable module。
TaurusはEthernet smart cable module。
LeoはCXL memory controller。
ScorpioはAI fabric switch。
COSMOSはこれらを設定、監視、診断、最適化するソフトウェア基盤。
10-Kでも、ALABは自社のIntelligent Connectivity Platformを、クラウド・AIインフラ向けに構築された高性能接続基盤として説明している。さらにCOSMOSは、顧客がIC、ボード、モジュールを設定、管理、監視、最適化、トラブルシュート、カスタマイズするための基盤と説明されている。
ここがALABの面白いところだ。
単なる半導体部品屋なら、競争は価格、性能、世代交代になる。
でもALABが狙っているのは、AIラックの中の接続層を、ハードウェアとソフトウェアの両方で押さえることだと思う。
特にScorpioが重要だ。
今回発表されたScorpio X-Series 320-lane Smart Fabric Switchは、frontier AI lab workloads向けのscale-up fabric switchとして説明されている。HypercastとIn-Network Computeによって、collective operationを最大2倍改善し、latencyを下げ、agentic inference workloadsのtoken economicsを改善するとされている。Scorpio X-Series 320-laneはすでに出荷開始しており、2H 2026にproduction ramp予定と開示された。
これは、ALABの見方を少し変える。
これまでは「PCIe retimerが強い会社」だった。
しかし、Scorpioが本格的に立ち上がるなら、「AI accelerator同士をつなぐfabricを持つ会社」になる。
ここはバリュエーションを考えるうえでかなり重要だと思う。
■ 今回の決算で最も重要なのはScorpio
今回の決算を普通に見れば、売上もEPSも強い好決算で終わる。
でも、自分が一番見るべきだと思うのは、Scorpioがどこまで主役になるかだ。
決算コールでは、Scorpioが年末までに最大の製品ラインになる見通しが語られている。さらに、X-SeriesがP-Seriesを上回る方向性も示された。これは非常に大きい。
ALABがAries中心の会社であれば、AIインフラの接続需要の一部を取る会社に見える。
しかし、Scorpio中心になれば、AIラックの構造そのものに入り込む会社に見えてくる。
ここで重要なのは、Scorpio X 320-laneの「320レーン」という数字を、単に「大きいスイッチ」として見ないことだと思う。
大規模なAIクラスターでは、GPUやXPUを大量に並べても、スイッチを何段もまたいで通信すれば遅延が増える。通信経路が複雑になれば、配線も複雑になり、運用も難しくなる。つまり、AIラックにおける接続の問題は、単なる帯域だけではなく、トポロジー、つまり接続構造そのものの問題になる。
Scorpio X 320-laneが狙っているのは、より高いradix、つまり一つのスイッチでより多くの接続点を持つことによって、複数スイッチをまたぐ構造を減らし、よりシンプルで低遅延なscale-up接続を実現することだと思う。会社も、Scorpio X-Series 320-laneについて、高radixのscale-up topology、Hypercast、In-Network Compute、token economics改善を強調している。
ここが本当に効くなら、ALABは「良い部品を売っている会社」ではなく、顧客のAIラック設計そのものに入り込む会社になる。
特にAI推論がagentic workflows、multi-step reasoning、KV Cache、分散推論へ進むと、ボトルネックはさらに接続側に寄っていく。
GPUが速いだけでは足りない。
GPU同士、XPU同士、CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークをどうつなぐかが重要になる。
この時、Scorpioがただのスイッチではなく、COSMOSと組み合わさって管理、診断、最適化、in-network computeまで担うなら、ALABはかなり面白い位置にいる。
ただし、未確認のことも多い。
Scorpio単体の売上は未開示。
P-SeriesとX-Seriesの内訳も未開示。
Scorpioの粗利率も未開示。
主要顧客数も未開示。
だから、今回の決算で確認できたのは、「Scorpioが物語から売上フェーズに入り始めた」ということまで。
「Scorpioが不可逆モートになった」と断定するにはまだ早い。
■ 標準品か、カスタム品か。ここは意外と重要
今回もう一つ気になったのは、custom solutionsの扱いだ。
ALABは、標準品だけの会社ではない。
一方で、顧客ごとの完全な御用聞きカスタム会社になってしまうと、それはそれで危うい。
標準品は、横展開できる。
一度作った製品を複数顧客、複数用途に展開できれば、R&D効率が高く、粗利率も守りやすい。
一方でカスタム品は、顧客に深く入り込める。
大口顧客の設計に入れば、スイッチングコストは高くなる。ただし、特定顧客向けに作り込みすぎると、開発負担が重くなり、横展開しづらくなり、粗利率も下がりやすい。
ALABが本当に強くなるには、単に顧客ごとのカスタム対応を増やすのではなく、カスタムで得た知見をCOSMOSやScorpioの標準機能に還元し、次の標準品に落とし込む必要がある。
ここはMRVLとの比較でも重要だと思う。
MRVLはcustom ASIC、networking、optical、storageを含む、AIインフラ半導体の総合企業に近い。カスタムで顧客に深く入る力も強い。
ALABがMRVLと同じ土俵で何でもカスタムを取りに行くなら、規模や顧客基盤で不利になる可能性がある。
ALABが守るべき立ち位置は、接続に特化したカスタムだと思う。
つまり、GPUやASICそのものを作るのではなく、AIラックの中で、それらをどうつなぎ、どう制御し、どう運用するか。ここに特化する。
この範囲でカスタムを取り、そこで得た知見をScorpio、COSMOS、optical、CXLに戻していけるなら、カスタムは粗利率を壊す要因ではなく、次の標準を先に知るための仕組みになる。
逆に、カスタム比率が上がるのに、製品横展開や粗利率維持が見えない場合は注意が必要だ。
ここは今後の決算で必ず見たい。
■ CRDO、MRVL、AVGOとの比較で見るALABの位置
ALABを考えるとき、比較対象としてまず見るべきはCRDOとMRVLだと思う。
そして、到達点としてAVGOも見ておく必要がある。
・CRDOは高速接続の純度が高い会社
CRDOは、AIデータセンター向けの高速接続銘柄として非常にわかりやすい。
Active Electrical Cable、SerDes、DSP、optical DSPなど、AIインフラの高速接続そのものに寄っている。
Credoの製品ファミリーはIC、Active Electrical Cables、SerDes Chipletsであり、同社の接続ソリューションは100G、200G、400G、800G、emerging 1.6Tのoptical / electrical Ethernet applications向けと説明されている。
CRDOは、接続需要のど真ん中にいる。
特にAECやSerDes、DSPでAIクラスターの帯域需要を取る銘柄として、非常に純度が高い。
一方で、ALABとの違いは、ALABがScorpio、COSMOS、CXL、UALink、NVLink Fusion、Opticalまで含めて、より「ラック全体の接続制御」に寄せている点だと思う。
CRDOは高速道路の車線やケーブルを強くする会社に近い。
ALABはその高速道路の中で、交差点、信号制御、監視システム、運用管理まで取りにいこうとしている会社に近い。
どちらが良いかではない。
見るべき構造が違う。
CRDOは成長率と接続需要の純度で評価されると思う。
ALABは接続層をプラットフォーム化できるかで評価されると思う。
・MRVLはAIインフラ半導体の総合寄り
MRVLはもっと大きく、もっと広い。
Marvellは、自社をデータインフラ向け半導体ソリューション企業として位置づけている。AI、データセンター、compute、networking、carrier、storageなどに向けたcustom semiconductor solutionsを開発している。
MRVLは、custom ASIC、networking、optical、storage、データセンター向け半導体を広く持つ。
ALABやCRDOよりも大きく、事業も広い。だから、AIインフラの恩恵は受けるが、純度は少し下がる。
逆に言うと、MRVLはALABやCRDOほど一点突破ではない。
その分、バリュエーションは相対的に許容しやすいと考える。
MRVLのバリュエーションは、Forward Price/Salesが13.6倍、Forward EV/Salesが13.8倍、Forward non-GAAP P/Eが44倍。ALABやCRDOよりは明確に低い。
つまりMRVLは、AIインフラの大型サイクルに乗るが、ALABほど「接続標準を取りにいく小型高成長銘柄」としての爆発力はない。
一方で、CRDOやALABよりはバリュエーションの事故耐性が少し高い。
MRVLは、サテライトとしてはかなり扱いやすいと思う。
ALABは、当たれば大きいが、今の価格では答え合わせのハードルが高い。
・AVGOは比較対象というより到達点
AVGOは純粋比較には向かない。
大きすぎるし、VMwareを含むソフトウェア事業もある。半導体でもcustom AI accelerator、networking、Broadcom独自の巨大顧客基盤を持つ。
Broadcomは、AI semiconductor solutionsとしてcustom accelerators / XPUs、Ethernet switching and routing silicon、Ethernet NICs、PHY、optical componentsなどを含むと説明している。
だからAVGOは、ALABの直接比較というより、到達点の比較だと思う。
もしALABが本当にAIラックの接続標準を取り、Scorpio、COSMOS、Optical、CXL、UALink、NVLink Fusionでプラットフォーム化できるなら、目指す方向は「小さなAVGO的な接続インフラ標準企業」に近い。
ただし、そこまで行けるかはまだ未確認。
AVGOはすでに巨大顧客、巨大設計力、巨大製品群を持つ。
ALABはまだ高成長フェーズで、Scorpioの本格量産もこれから確認する段階。
だから、AVGOを出すなら「競合比較」ではなく、「ALABがどこまで標準企業になれるかの到達点」として扱うのがよいと思う。
■ バリュエーションは許容できるのか
ここが一番難しい。
バリュエーションを見ると、ALABは明らかに高い。5月6日時点で、私がSeeking Alphaで3社を確認した。
ALAB
・Forward non-GAAP P/E:80.47倍
・Forward EV/Sales:24.53倍
・Forward Price/Sales:25.38倍
・Forward PEG non-GAAP:2.34
・Valuation Grade:F
CRDO
・Forward non-GAAP P/E:54.36倍
・Forward EV/Sales:23.97倍
・Forward Price/Sales:24.94倍
・Forward PEG non-GAAP:0.47
・Valuation Grade:C+
MRVL
・Forward non-GAAP P/E:44.04倍
・Forward EV/Sales:13.78倍
・Forward Price/Sales:13.59倍
・Forward PEG non-GAAP:1.19
・Valuation Grade:F
ALABとCRDOは、売上倍率ではかなり近い。
しかし、CRDOはPEGがかなり低く表示されており、市場予想上の成長率に対する割高感はALABより軽く見える。
一方、MRVLはP/SもP/Eも相対的に低いが、その分、成長純度や小型高成長としての爆発力はALAB・CRDOより下がる。
問題は、ALABのForward P/S 25倍が許容できるかだ。
普通の半導体銘柄として見るなら、許容しづらい。
かなり高い。
ただし、ALABが単なる半導体部品屋ではなく、AIラックの接続標準企業になるなら話は変わる。
売上が2026年、2027年と高成長を続け、粗利率75%前後を維持し、non-GAAP営業利益率30%台後半を維持し、Scorpioが最大製品ラインになり、Opticalやcustom、CXL、UALink、NVLink Fusionが2027年以降に売上化するなら、このバリュエーションは「高いが説明可能」になる。
逆に、どれかが崩れると厳しい。
Scorpioが期待ほど伸びない。
Q2以降、粗利率が73%台から戻らない。
Customが低粗利化する。
SBCが売上比15%台から下がらない。
顧客集中が悪い方向に出る。
CRDO、MRVL、AVGO、内製ASIC側に接続層を取られる。
この場合、ALABの25倍P/Sは重すぎる。
ここでAmazonとのワラント契約も見ておきたい。
ALABは2026年2月、AmazonとのTransaction AgreementとWarrant Agreementを開示している。最大3,262,299株、行使価格$142.82、最大$6.5Bのsmart fabric switch、signal conditioning、optical engine製品の購入に連動する条件になっている。
これは二面性がある。
ポジティブに見れば、Amazonという大口顧客がALABの製品ロードマップに深く関与し、一定の購入インセンティブを持つ構造になる。これはScorpioやoptical engineの需要裏付けとして強い。
一方で、ネガティブに見れば、顧客集中リスクがさらに強くなる可能性がある。しかも、Q2粗利率ガイダンスにはワラント関連の非現金影響が含まれる。つまり、単純に「Amazonが入ったから強い」ではなく、大口顧客との深い結びつきが、モートなのか、依存なのかを見極める必要がある。
だから自分の結論としては、ALABのバリュエーションは、今の数字だけでは許容しにくいが、ScorpioがAIラックの接続標準になるなら許容される余地はあるという見方になる。
つまり、これは安い株ではない。
でも、ただの割高株として切り捨てるには惜しい。
■ ALABのモートは深まっているのか
モートは拡大していると思う。
ただし、まだ不可逆とまでは言えない。
顧客基盤は強い。
ALABの顧客は主要ハイパースケーラー、AI accelerator vendor、system OEMだと説明されている。一方で、2025年は上位3エンド顧客が売上の約86%を占めている。これは強みでもあり、リスクでもある。深く入り込めているが、依存度も高い。
価格決定力も今はある。
粗利率75〜76%台を維持しているからだ。
ただし、Q2ガイダンスの73%は要確認。これが一時要因なら問題は小さいが、製品ミックス、顧客条件、ワラント影響、カスタム比率の変化で構造的に下がるなら、バリュエーションの前提が変わる。
スイッチングコストは作りにいっている。
COSMOSが管理、監視、診断、最適化に入るなら、単なるチップ交換では済まなくなる。AIラックの運用に深く入れば入るほど、顧客は簡単に乗り換えづらくなる。
プラットフォーム化の可能性もある。
PCIe、CXL、Ethernet、UALink、NVLink Fusion、Opticalを横断し、Aries、Taurus、Leo、Scorpio、COSMOSを組み合わせる。これは単一製品ではなく、AIラックの複数ボトルネックを同時に取りにいく構造だ。
ただし、まだ足りない。
Scorpio単体の売上開示がない。
COSMOS単体の収益貢献が見えない。
顧客別の継続採用率が見えない。
Opticalやcustomの売上化はこれから。
CXL/Leoもまだ大きな売上としては確認できていない。
だから現時点では、ALABは「不可逆モート確定」ではなく、不可逆モートに向かって接続標準を取りにいく段階だと思う。
■ 自分のポートフォリオにどう接続するか
自分のAIファクトリー投資の文脈で見ると、ALABはかなり重要監視に入る。
ALABは、AIラック内部の接続制御に寄っている。
これはかなり面白い。
特にScorpioが本当にAI fabricの中核になれば、ALABはAIファクトリーの「配線」ではなく、「接続標準」を握る会社になる。
ただし、今の価格でコアにするのは早いと思う。
コア銘柄に必要なのは、不可逆モートの拡大をある程度確認できること。
ALABはその候補ではあるが、まだScorpioの実売上構成、粗利率、顧客分散、SBC低下、2027年案件の回収が確認できていない。
なので現時点では、私はこう整理する。
ALABは、重要監視。
場合によってはサテライト候補。
ただし、今のバリュエーションでは焦って買う銘柄ではない。
次回以降の決算で、Scorpioの実需と利益率の質を確認してからでも遅くない。
逆に、もし市場全体の調整やAIインフラ銘柄のバリュエーション圧縮で、ALABが大きく下がる場面があれば、深く見る価値はかなりある。
ただし、私はNVDAとMRVLを待っている。AIファクトリーにポートフォリオを寄せすぎることにも注意しなければならない。
でも、AIファクトリーの構造を理解するうえで、今後必ず見続けるべき銘柄だと思う。
ALABは面白い。
■ 次回決算チェックポイント
・Q2’26売上ガイダンス中央値を上振れできるか
・Q2粗利率73%ガイダンスが一時要因なのか、構造的な低下なのか
・ワラント影響を除いた基礎粗利率がどの程度か
・Q3以降、粗利率が75%台へ戻るか
・Scorpioが本当に最大製品ラインへ向かっているか
・Scorpio X-Seriesの2H 2026 production rampが予定どおり進むか
・320レーンの高radix構成が、顧客のラック設計・トポロジーに深く入り込んでいるか
・Scorpio P-SeriesとX-Seriesの顧客数、用途、設計勝ちが増えるか
・PCIe Gen 6売上が売上の1/3超からさらに拡大するか
・Taurus Ethernet SCM、Aries、Leoの成長がScorpio依存を補完するか
・標準品とカスタム品のバランスが崩れていないか
・Custom Solutionsが粗利率を下げる要因ではなく、標準品強化につながっているか
・CXL / LeoのMicrosoft Azure M-Series案件が実売上として広がるか
・KV Cache offload向けcustom案件が2027年売上へつながるか
・NVLink Fusion、UALink、Opticalの進捗が具体的な顧客・量産計画として出るか
・Amazonとのワラント契約がモート強化なのか、顧客依存リスクなのか
・SBC / 売上比率が15%台から低下するか
・希薄化後株数の増加が抑えられるか
・営業CF、FCFが売上成長に対して維持されるか
・上位顧客依存が悪化していないか
・CRDO、MRVL、AVGOとの競争で、ALABがどの層を取れているか
・バリュエーションが、成長率とモートの深まりに対して許容できる水準まで下がるか
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