【Cloudflare(NET)Q2 FY2026】AI時代のインターネットOSになれるのか。通過点から課金点へ、Cloudflareの不可逆モートを検証する
Cloudflare(NET)のQ2 FY2026決算をアウトプットする。
今回の決算は強かった。
売上高は$696.1M、YoY +36%。
non-GAAP営業利益は$96.1M、営業利益率は13.8%。
FCFは$56.4M、FCF marginは8%。
Dollar-Based Net Retentionは120%。
Large Customersは4,698社、YoY +27%。
さらに2026年通期売上高ガイダンスは、前回の$2.805B〜$2.813Bから、$2.864B〜$2.870Bへ引き上げられた。Q3売上ガイダンスも$736M〜$737Mである。 Q2-26-Exhibit-99-1.pdf
決算発表後、株価は時間外で10%を大きく超えて上昇した。
Reutersは、AIエージェント需要を背景にCloudflareが通年見通しを市場予想以上へ引き上げ、株価が時間外で18%上昇したと報じている。Barron’sは時間外で16%上昇、Investors.comは15%超上昇と報じている。
市場が反応した理由は分かる。
Q1では、粗利率低下、人員削減、Q2ガイダンスの弱さ、DNR低下が疑われた。
しかしQ2では、売上成長率は再加速し、DNRは120%へ回復し、gross marginも前四半期比で改善し、通期ガイダンスも引き上げられた。
つまり今回の決算は、Q1で生まれた疑念に対する反証だった。
ただし、今回の本質も「決算が良かった」ことではない。
今回見たいのは、CloudflareがAI時代のインターネットOSになれるのか。
もっと具体的に言えば、AIエージェント時代のWeb、API、コード実行、セキュリティ、課金、決済のどこまでをCloudflareが握れるのかである。
Cloudflareの論点は、すでにCDNではない。
「インターネットの通過点」から、「AI時代の課金点」へ進化できるか。
ここが今回の中心である。
■ 4四半期の決算数字
Q3 2025 → Q4 2025 → Q1 2026 → Q2 2026
・売上高:$562.0M → $614.5M → $639.8M → $696.1M
YoY:+30.7% → +33.6% → +33.5% → +35.9%
QoQ:+9.7% → +9.3% → +4.1% → +8.8%
Q2は売上成長率が再加速した。
Q1のガイダンスでは成長鈍化が疑われたが、Q2実績はその疑念をかなり打ち消した。今回の数字で最も重要なのは、成長率が再び36%近くまで戻ったことである。
・US売上:$282.6M → $303.6M → $315.8M → $354.4M
売上構成比:50.3% → 49.4% → 49.4% → 50.9%
YoY:+31.5% → +31.4% → +34.4% → +40.7%
QoQ:+12.2% → +7.4% → +4.0% → +12.2%
米国売上はQ2で明確に再加速した。
AIネイティブ企業、開発者基盤、エンタープライズ案件の中心が米国にあることを考えると、ここが今回の成長加速を主導したと見てよい。
・EMEA売上:$153.3M → $168.0M → $175.7M → $187.0M
売上構成比:27.3% → 27.3% → 27.5% → 26.9%
YoY:+25.9% → +30.9% → +31.3% → +30.4%
QoQ:+6.9% → +9.6% → +4.6% → +6.4%
EMEAも30%前後のYoY成長を維持している。
Q2は米国ほど加速していないが、Cloudflareの成長が米国だけに依存しているわけではない。
・APAC売上:$84.7M → $96.6M → $98.6M → $99.4M
売上構成比:15.1% → 15.7% → 15.4% → 14.3%
YoY:+43.3% → +50.0% → +34.3% → +32.3%
QoQ:+12.7% → +14.0% → +2.1% → +0.8%
APACはYoYでは高成長を維持している。
ただし、Q1、Q2のQoQは鈍化しており、今回の全社再加速を主導した地域ではない。
・Other売上:$41.5M → $46.3M → $49.6M → $55.1M
売上構成比:7.4% → 7.5% → 7.8% → 7.9%
YoY:+21.1% → +28.0% → +34.2% → +31.7%
QoQ:-0.9% → +11.7% → +7.1% → +11.1%
Otherは規模こそ小さいが、Q2も二桁QoQで伸びた。
Cloudflareのネットワーク効果は、米国・欧州以外にも広がっている。
・Channel partners売上:$149.9M → $176.0M → $193.0M → $217.7M
売上構成比:26.7% → 28.6% → 30.2% → 31.3%
YoY:+68.6% → +73.6% → +71.4% → +66.9%
QoQ:+14.9% → +17.5% → +9.6% → +12.8%
チャネル売上は非常に強い。
CloudflareがPLG中心の会社から、大企業・政府・SASE・Zero Trustを取りにいくエンタープライズ販売企業へ変わっていることを示している。
・Direct customers売上:$412.2M → $438.5M → $446.8M → $478.4M
売上構成比:73.3% → 71.4% → 69.8% → 68.7%
YoY:+20.8% → +22.3% → +21.9% → +25.3%
QoQ:+7.9% → +6.4% → +1.9% → +7.1%
Directも伸びている。
ただし、Channel partnersの伸びがさらに強いため、構成比は低下している。これは悪い低下ではなく、大型案件・複雑案件への浸透が進んでいると見る。
・Large Customers:4,009 → 4,298 → 4,416 → 4,698
YoY:+22.8% → +22.9% → +25.2% → +26.6%
QoQ:+8.0% → +7.2% → +2.7% → +6.4%
Large Customersの成長率はQ2で再加速した。
Q1でやや伸びが鈍ったが、Q2は282社の純増となり、エンタープライズ浸透が続いている。
・Large Customers売上構成比:73% → 73% → 72% → 73%
前年差:+6pt → +4pt → +3pt → +2pt
QoQ:+2pt → 0pt → -1pt → +1pt
大口顧客売上比率は70%台前半で安定している。
今後の注目点は、$100K+顧客数だけではなく、$1M超、$5M超の顧客がどれだけ増えるかである。
・Dollar-Based Net Retention:119% → 120% → 118% → 120%
前年差:+9pt → +9pt → +7pt → +6pt
QoQ:+5pt → +1pt → -2pt → +2pt
Q1で118%に低下したDNRは、Q2で120%へ戻った。
既存顧客が利用を拡大しているかを見るうえで重要なKPIであり、Cloudflareのモート確認には欠かせない。
・RPO:$2.143B → $2.496B → $2.544B → $2.732B
YoY:+42.6% → +48.0% → +36.4% → +38.2%
QoQ:+8.4% → +16.5% → +1.9% → +7.4%
RPOはQ2で$2.732Bまで拡大した。
Q1は伸びが鈍かったが、Q2で再び増加した。売上高$696Mに対して、契約済み未認識売上は約3.9四半期分ある。
・Current RPO比率:64% → 63% → 64% → 64%
QoQ:-2pt → -1pt → +1pt → 0pt
Current RPO比率はほぼ横ばい。
短期認識分と長期契約分のバランスは大きく崩れていない。
・GAAP粗利率:74.0% → 73.6% → 71.2% → 71.8%
前年差:-3.7pt → -2.8pt → -4.7pt → -3.1pt
QoQ:-0.9pt → -0.4pt → -2.4pt → +0.6pt
GAAP粗利率はQ1で大きく低下した後、Q2でやや改善した。
ただし、過去の70%台半ばからはまだ低い。Workers、Developer Platform、paid traffic mixの影響は継続確認が必要である。
・non-GAAP粗利率:75.3% → 74.9% → 72.8% → 73.1%
前年差:-3.5pt → -2.7pt → -4.3pt → -3.2pt
QoQ:-1.0pt → -0.4pt → -2.1pt → +0.3pt
non-GAAP粗利率もQ2で小幅改善した。
会社はgross margin単体よりunit economicsを見るべきだと説明しているが、投資家としては75%台へ戻れるかを確認する必要がある。
・GAAP営業利益率:-6.7% → -8.0% → -9.7% → -29.6%
前年差:+0.5pt → -0.5pt → +1.4pt → -16.5pt
QoQ:+6.4pt → -1.3pt → -1.7pt → -19.9pt
Q2のGAAP営業利益率は大きく悪化した。
主因はrestructuring and other chargesであり、営業力そのものの悪化ではない。ただし、AI-first operating modelへの移行コストは無視できない。
・non-GAAP営業利益:$85.9M → $89.6M → $73.1M → $96.1M
non-GAAP営業利益率:15.3% → 14.6% → 11.4% → 13.8%
営業利益 YoY:+35.2% → +33.3% → +30.5% → +32.9%
営業利益 QoQ:+18.8% → +4.3% → -18.4% → +31.5%
営業利益率前年差:+0.5pt → 0.0pt → -0.3pt → -0.3pt
営業利益率QoQ:+1.2pt → -0.7pt → -3.2pt → +2.4pt
Q2はnon-GAAP営業利益が大きく回復した。
売上高が再加速する中で、営業利益率もQ1から改善した。ただし、まだQ3/Q4 2025の利益率には戻っていない。
・GAAP EPS:$0.00 → -$0.03 → -$0.07 → -$0.48
前年差:+$0.04 → +$0.01 → +$0.04 → -$0.33
QoQ:+$0.15 → -$0.03 → -$0.04 → -$0.41
GAAP EPSはQ2で大きく悪化した。
restructuring chargesの影響が大きいため、単四半期のGAAP EPSだけで営業実力を判断するのは危険である。
・non-GAAP EPS:$0.27 → $0.28 → $0.25 → $0.29
YoY:+35.0% → +47.4% → +56.3% → +38.1%
QoQ:+28.6% → +3.7% → -10.7% → +16.0%
non-GAAP EPSはQ2で過去4四半期の中で最も高い。
売上の上振れとnon-GAAP営業利益の改善が反映された。
・営業CF:$167.1M → $190.4M → $158.3M → $117.6M
営業CFマージン:29.7% → 31.0% → 24.7% → 16.9%
営業CF YoY:+59.6% → +49.6% → +8.6% → +17.8%
営業CF QoQ:+67.4% → +13.9% → -16.8% → -25.7%
営業CFはQ2で減少した。
Q2には人員削減関連のキャッシュ支出が含まれるため、単四半期だけで構造悪化とは判断しにくい。
・FCF:$75.0M → $99.4M → $84.1M → $56.4M
FCF margin:13.3% → 16.2% → 13.1% → 8.1%
FCF YoY:+65.6% → +108.2% → +59.0% → +69.4%
FCF QoQ:+125.4% → +32.6% → -15.5% → -32.9%
FCFはQoQで低下したが、前年同期比では大きく増加した。
Q2は売上再加速に比べるとFCF marginが低い。AI-first再編後にFCF marginが戻るかを見る必要がある。
・FCF算定上の投資額:$92.2M → $91.0M → $74.3M → $61.2M
売上高比率:16.4% → 14.8% → 11.6% → 8.8%
YoY:+55.2% → +14.3% → -20.1% → -8.0%
QoQ:+38.6% → -1.3% → -18.4% → -17.6%
ここでは、営業CFからFCFを差し引いた金額を、FCF算定上の投資額として見ている。
Q2は売上高比率が8.8%まで低下しており、ハイパースケーラーのように巨大CapExを先行させるモデルとは明確に異なる。
・現金+短期投資:$4.044B → $4.101B → $4.164B → $4.16B
QoQ:+2.1% → +1.4% → +1.5% → ほぼ横ばい
財務体力は強い。
転換社債はあるが、現金・短期投資は約$4.16Bあり、成長投資と再編コストを吸収する余力はある。
・従業員数:4,838 → 5,156 → 5,483 → 4,700
QoQ:未確認 → +6.6% → +6.3% → -14.3%
Q2で従業員数は大きく減少した。
CloudflareはAI-first operating modelへの移行として約20%の人員削減を実施した。これは効率化のシグナルでもあり、同時に組織リスクでもある。
・Q3 FY2026ガイダンス
売上高:$736M〜$737M
中央値:$736.5M
YoY:約+31.0%
QoQ:約+5.8%
non-GAAP営業利益:$129M〜$130M
non-GAAP EPS:$0.34
Q3ガイダンスも強い。
Q2の高成長後でも、Q3売上はさらにQoQ +5.8%程度の拡大を見込む。
・FY2026ガイダンス
売上高:$2.864B〜$2.870B
中央値:$2.867B
YoY:約+32.2%
前回ガイダンス中央値:$2.809B
上方修正幅:約+$58M
non-GAAP営業利益:$443M〜$445M
non-GAAP EPS:$1.25〜$1.26
通期ガイダンスは明確に上方修正された。
Q1時点では$2.805B〜$2.813Bだったが、今回は$2.864B〜$2.870Bへ引き上げられた。今回の株価急騰の直接的な理由はここにある。
(数字だけ見た結論)
CloudflareのQ2は、Q1で生まれた疑念への反証だった。
売上成長率は再加速し、DNRは120%へ戻り、Large Customersも再加速し、通期ガイダンスも引き上げられた。
一方で、GAAP営業損失は再編費用で大きく悪化し、FCF marginも8%に低下した。
したがって今回の数字は、文句なしに完璧というより、成長再加速を確認しつつ、収益性の再改善を次回以降に確認する決算である。
ただし、市場が買った理由は明確だ。
Cloudflareは、AIエージェント時代の物語を語っているだけではなく、その物語が売上、DNR、大口顧客、ガイダンスに反映され始めた。
■ 市場はなぜ時間外でNETを買ったのか
今回、株価は時間外で大きく上昇した。
理由は単純な決算Beatだけではない。
Q2売上は$696.1Mで、市場予想を明確に上回った。
non-GAAP EPSも$0.29で市場予想を上回った。
さらにQ3売上ガイダンス、通年売上ガイダンスも上方修正された。
しかし、それだけなら「良い決算」で終わる。
今回の株価反応が大きかった理由は、Q1で疑われた論点がかなり払拭されたからだと思う。
Q1では、Cloudflareに対して次のような懸念があった。
成長率は鈍化するのではないか。
gross marginの低下は構造的ではないか。
AI-first operating modelという名の人員削減は、単なるコストカットではないか。
DNRはピークアウトしていないか。
AIエージェントの話は、売上に反映される前の物語にすぎないのではないか。
Q2は、その疑念に対してかなり強い回答を出した。
売上成長率はYoY +36%へ再加速した。
DNRは120%へ戻った。
Large CustomersはYoY +27%まで伸びた。
gross marginも前四半期比で改善した。
通年売上ガイダンスも引き上げた。
このため、市場はCloudflareを「AI物語を語る会社」ではなく、「AIエージェント需要を実際に業績へ転換し始めた会社」と見直したのだと思う。
ただし、株価反応が正しいことと、現在価格が投資妙味を持つことは別問題である。
Cloudflareは素晴らしい企業である。
だが、素晴らしい企業をどんな価格でも買ってよいわけではない。
ここは後段でバリュエーションとして見る。
■ Cloudflareは何を握ろうとしているのか
Cloudflareの過去の見方は、CDN、WAF、DDoS、DNS、Zero Trust、SASE、Workersという個別プロダクトの集合だった。
しかし、今のCloudflareはそれだけでは見えない。
Cloudflareの本質は、世界中に広がる単一のプログラマブルネットワークである。
Q2 Investor Presentationでは、Cloudflareは335都市超、125か国超、13,000以上のネットワークと接続し、世界のインターネット接続人口の95%がCloudflareデータセンターから約50ms以内にいると示している。ネットワーク容量は534Tbpsである。
そして重要なのは、Cloudflareが「すべてのサービスを、すべてのCloudflareサーバーで、すべてのデータセンターにおいて動かす」という思想を持つことだ。
これは単なるCDNとは違う。
Web Application Firewallも、Bot Managementも、Zero Trustも、Workersも、AI Gatewayも、R2も、Durable Objectsも、同じネットワーク上で動く。
ここにCloudflareのモートの原型がある。
顧客はまず一つの機能でCloudflareに入る。
DDoS対策かもしれない。
WAFかもしれない。
DNSかもしれない。
Zero Trustかもしれない。
Workersかもしれない。
だが、一度Cloudflareのネットワークに入ると、そこから他の機能を追加しやすい。
ネットワーク、セキュリティ、開発者基盤、AI、課金レイヤーが一体になっているからだ。
この「一体化」が重要である。
ポイントソリューション企業は、特定の機能で優れていても、AIエージェント時代の複合的な問題をまとめて処理しにくい。
ハイパースケーラーは巨大な計算資源を持つが、CloudflareほどWebの入口に近く、かつ中立的な立場ではない。
Cloudflareの狙いは、クラウドの置き換えではない。
すべてのクラウド、すべてのWeb、すべてのAPI、すべてのエージェントの前段に立つことである。
だから私は、今回のタイトルをこうした。
AI時代のインターネットOSになれるのか。
Cloudflareが本当に握ろうとしているのは、サーバーではない。
インターネット上で、誰が、何に、どのようにアクセスし、どのコードを実行し、どのデータを使い、どこで課金されるかという制御レイヤーである。
■ AIエージェントは、検索するだけではなくコードを書く
今回の最も重要だった論点は、エージェントはただWebを読むだけではないという点である。
AIエージェントは、タスクを実行するためにコードを書く。
予定を調整する。
データを取得する。
APIを叩く。
ページを読む。
ファイルを作る。
決済を行う。
ワークフローを進める。
そのたびに、短命で小さなコード実行が発生する。
従来のクラウドは、VMやコンテナを前提にしている。
同じアプリケーションを何度も動かすには強い。
しかし、エージェントがタスクごとに違うコードを書き、実行し、終わったら消える世界では、VMやコンテナは重い。
Cloudflareが強調しているのは、ここでWorkersのIsolatesが効くという話である。
Isolatesは、VMのようにOSを丸ごと立ち上げない。
コンテナのようにランタイムを毎回重く立ち上げない。
必要なコードを軽く実行し、すぐにスケールし、すぐに落とせる。
これは、AIエージェント時代のCPU実行基盤として理屈が通っている。
ハイパースケーラーがGPU投資で勝負しているのに対して、Cloudflareは「エージェントが生成するコードをどこで実行するか」という別のボトルネックを狙っている。
ここは非常に面白い。
AI時代の主役はGPUだけではない。
モデルが考える。
しかし、考えたことを実行するには、CPU、ネットワーク、API、セキュリティ、認証、権限管理が必要になる。
Cloudflareは、その実行側を握りにいっている。
これがAct 3、つまりDeveloper Platformの本質である。
■ WorkersはCloudflareの「開発者向け商品」ではなく、AI時代の実行面になる
Cloudflareを見るうえで、Workersはかなり重要である。
ただし、Workersを単なる開発者向け商品として見ると、Cloudflareの本質を見誤る。
Workersとは、簡単に言えば、Cloudflareのネットワーク上でコードを動かすための基盤である。
従来のクラウドでは、開発者はサーバー、仮想マシン、コンテナ、リージョン、スケーリングなどを意識しながらアプリケーションを動かしてきた。
しかしWorkersでは、Cloudflareのグローバルネットワーク上で、軽量にコードを実行できる。
これまでは、人間の開発者が書いたコードを動かす場所だった。
しかしAI時代には、この意味が変わる。
なぜなら、これからは人間だけがコードを書くのではなく、AIエージェントがタスクごとにコードを書く時代になるからだ。
ここが重要である。
AIエージェントは、単に文章を返すだけではない。
旅行を計画する。
商品を比較する。
Webサイトを巡回する。
APIからデータを取る。
社内システムにアクセスする。
支払いを実行する。
ファイルを作る。
アプリケーションを組み立てる。
こうした作業をするには、AIが「考える」だけでは足りない。
考えたことを実行する場所が必要になる。
その実行場所が、CloudflareにとってはWorkersになる。
Cloudflareは、Workers AI、AI Gateway、Vectorize、R2、D1、Workers KV、Durable Objectsなどを開発者向け製品として並べている。
一つひとつを見ると、クラウド開発者向けの便利な部品に見える。
しかし、AIエージェント時代には、これらの意味が変わる。
AI Gatewayは、どのAIモデルを使うか、コストをどう抑えるか、推論をどこへ流すかを管理する。
Workers AIは、Cloudflareのインフラ上でAI推論を動かす。
Vectorizeは、AIが意味検索や記憶のような処理を行うためのベクトルデータ基盤になる。
R2は、画像、動画、ファイル、生成物を置くストレージになる。
D1は、エージェントが使うデータベースになる。
Workers KVは、軽量なデータを高速に保存・参照する場所になる。
Durable Objectsは、状態を持つアプリケーション、つまり「前回何をしたか」を覚えながら動く処理を支える。
そしてWorkersは、それらを束ねて、AIエージェントが書いたコードを実際に動かす場所になる。
つまり、CloudflareのDeveloper Platformは、単なる開発者向けツール群ではない。
AIエージェントが、Web上で仕事をするための実行面になり得る。
ここでいう実行面とは、AIが考えたことを、現実のインターネット上で動かすための土台である。
LLMが脳だとすれば、Workersは手足に近い。
LLMが「何をすべきか」を考える。
Workersは「それをどこで、どのように実行するか」を担う。
ここにCloudflareの大きな可能性がある。
Cloudflareは、AIモデルそのものを作っている会社ではない。
NVIDIAのようにGPUを売っている会社でもない。
MicrosoftやAmazonのように巨大なクラウドを貸している会社でもない。
しかし、AIエージェントがWeb、API、アプリケーション、データ、決済、認証に触れるとき、その実行場所になれる可能性がある。
これが本物なら、Cloudflareは単なるCDN企業でも、単なるセキュリティ企業でもない。
AI時代のインターネットOSに近づく。
インターネット上の入口を押さえ、トラフィックを制御し、セキュリティを担い、その上でAIエージェントのコードまで実行する。
この構造がつながると、Cloudflareのモートはかなり深くなる。
ただし、ここはまだ完全に実証されたわけではない。
Developer PlatformのARR成長率、開発者数の急増、Workers利用の拡大、大型顧客の契約事例はかなり強い。
しかし、CloudflareはWorkers単体、AI Gateway単体、Developer Platform単体の売上を詳細には開示していない。
そのため、投資家はこの仮説を直接確認できない。
全社売上の再加速、DNR、Large Customers、RPO、チャネル売上、gross margin、FCF marginから間接的に確認するしかない。
ここは魅力であると同時に、透明性の限界でもある。
Cloudflareのモート仮説は強まっている。
ただし、Workersが本当にAI時代の実行面になるのか。
それとも、まだ開発者向けプラットフォームの高成長に留まるのか。
ここを次回以降、数字で確認していく必要がある。
■ Zero TrustはAIエージェント時代に再評価される
CloudflareのZero Trustは、単なるリモートワーク向けセキュリティではない。
Zero Trustとは、簡単に言えば「社内ネットワークにいるから安全」と考えず、ユーザー、端末、アプリケーション、データへのアクセスを毎回確認し、必要な権限だけを与える考え方である。
つまり、「一度ログインしたら何でも見られる」ではなく、「誰が、どの端末で、どのアプリに、どの条件でアクセスするのか」を細かく制御する。
この考え方は、AIエージェント時代にむしろ重要性が上がる。
理由は単純である。
AIエージェントに仕事をさせるには、社内データ、SaaS、メール、カレンダー、CRM、コードリポジトリ、ドキュメント、業務アプリへのアクセスが必要になる。
しかし、エージェントにすべての権限を渡すのは危険である。
人間であれば、見てはいけないものを見ない、操作してはいけないものを操作しないという判断がある。
だが、AIエージェントは間違える。
プロンプトインジェクションもある。
権限管理の失敗もある。
勝手に社内情報を外部へ出す可能性もある。
つまり、AIエージェントが社内業務に入るほど、「何にアクセスできるか」「どこまで実行できるか」「どのデータを外に出せるか」を細かく制御する必要が出てくる。
ここでZero Trustの価値が上がる。
Cloudflareが面白いのは、Zero Trustだけを売るのではなく、Workers、AI Gateway、Access、Gateway、DLP、CASB、Email Securityを同じネットワーク上で組み合わせられることだ。
AI導入の会話から入り、そのままZero Trustの会話につながる。
これは営業上かなり強い。
従来のZero Trust企業は、CISO向けにセキュリティ製品を売る。
一方でCloudflareは、CIO、CTO、CEOが「AIを安全に使いたい」と考えたところから入り、その結果としてZero Trustを売れる。
ここに、CloudflareのSASE / Zero Trust再加速の可能性がある。
Cloudflareのモートは、セキュリティ単体ではない。
AIを使うための安全な実行環境として、セキュリティが組み込まれていることにある。
■ Act 4こそ、今回の核心である
今回の記事で最も重要なのはAct 4である。
Act 4とは、CloudflareがAIエージェント時代の新しいインターネットビジネスモデルを作ろうとしている領域である。
従来のWebは、人間が検索し、クリックし、ページを読み、広告を見ることで成り立っていた。
しかしAIエージェントは広告をクリックしない。
AI answer engineは、検索結果のリンクをクリックさせず、答えを直接返す。
人間のWeb流入が減る一方で、AIボットやエージェントのトラフィックは増える。
このとき問題が起きる。
コンテンツを作る側は、AIに読まれる。
しかし人間のアクセスは減る。
広告収入も減る。
サブスクにもつながらない。
一方、AI企業はコンテンツを使うことで回答品質を高める。
では、誰がコンテンツ制作者に払うのか。
この問題を、Cloudflareは真正面から取りにいっている。
AI Crawl Control。
Bot Management。
Monetization Gateway。
cloudflare.pay。
x402。
machine-to-machine payment。
ここにCloudflareのAct 4がある。
Cloudflareは、世界中のWebサイトの前段に立っている。
AI企業もCloudflareを使っている。
コンテンツ側にも、需要側にも接点がある。
この立場を使って、AIエージェントがページやAPIやデータへアクセスするときに、認証し、制御し、場合によっては課金する。
これが実現すれば、Cloudflareは「通過点」ではなく「課金点」になる。
ここが今回のタイトルの意味である。
通過点から課金点へ。
ただし、ここにはまだ大きな未実証がある。
AIボットを識別することはできる。
アクセスを制御することもできる。
コンテンツ所有者に交渉力を与えることもできる。
しかし、そこからCloudflare自身がどれだけ収益を取れるのかは、まだ確定していない。
AI企業、コンテンツ企業、決済企業、ステーブルコイン、既存カードネットワーク、規制。
多くのプレイヤーが関わる。
Cloudflareが中心に立てる可能性はある。
だが、利益プールの取り分がどれだけCloudflareに残るかは、これからの実証である。
だからAct 4は、現時点では完成したモートではない。
巨大なオプションである。
■ 「20%以上のインターネットがCloudflare上にある」は、どこまでモートなのか
Cloudflareは、20%以上のインターネットが自社上で動いていると説明している。
Q2 Investor Presentationでは、20%以上のInternet、top 10,000 sitesの37%、Fortune 500の45%がCloudflareに関係していると示している。
これは強い。
しかし、ここで勘違いしてはいけない。
「通っている」だけではモートではない。
インターネットの大量トラフィックがCloudflareを通る。
それだけなら、コストも増える。
粗利率が下がる可能性もある。
価格競争に巻き込まれる可能性もある。
重要なのは、通過するトラフィックに対して、Cloudflareがどのような価値を加え、どこで課金できるかである。
セキュリティを加える。
高速化する。
認証する。
ボットを識別する。
APIを守る。
エージェントのアクセス権を管理する。
コードを実行する。
AI推論をルーティングする。
コンテンツアクセスに課金する。
ここまでできて初めて、通過点は課金点になる。
Cloudflareの不可逆モートは、トラフィック量そのものではない。
トラフィックを、実行、制御、認証、課金へ変換する能力である。
■ Payment railを本当に握れるのか
Investor DayでCloudflareは、500M+ transactions per secondという数字を出している。
Cloudflareにおけるtransactionは、HTTP request、DNS query、Workers call、DDoS checkなどの単位であり、決済会社のtransactionとは定義が違う。ただし、同社はこの比較を通じて、インターネット規模のmachine-to-machine transactionを処理するには、既存決済ネットワークとは桁違いのスループットが必要だと示している。
ここは非常に重要である。
AIエージェントがWebを巡回し、APIを叩き、コンテンツを読み、データを取得する。
そのたびに、1回ごとのマイクロペイメントが発生する世界を考える。
従来のクレジットカード決済では重すぎる。
手数料も高すぎる。
処理量も足りない。
そこで、x402、stablecoin、wallet、cloudflare.payのような構想が出てくる。
これは、VisaやMastercardを置き換えるというより、機械同士の超小額・高頻度決済のための新しいレイヤーである。
ただし、ここは最も不確実性が高い。
決済は技術だけでは決まらない。
規制がある。
不正対策がある。
AML/KYCがある。
既存決済ネットワークとの関係がある。
ステーブルコインの制度設計もある。
AI企業とコンテンツ企業の価格交渉もある。
Cloudflareがこの領域で中心プレイヤーになる可能性はあるが、まだ本格収益化の実績は限定的である。
したがって、Act 4を今の売上倍率に織り込みすぎるのは危険である。
一方で、Act 4が本当に立ち上がれば、Cloudflareの評価軸は大きく変わる。
その場合、CloudflareはCDN、SASE、Developer Platformの会社ではなく、AI時代のインターネット決済・認証レイヤー候補になる。
ここまで行けば、不可逆モートの質は一段変わる。
■ 粗利率低下は危険信号か、それとも健全な投資か
Cloudflareの懸念点は、gross marginである。
non-GAAP gross marginは、Q3 2025の75.3%から、Q4 74.9%、Q1 72.8%、Q2 73.1%となっている。
Q2で改善したとはいえ、以前の75%〜77%レンジには戻っていない。
会社は、gross marginだけではなくunit economicsを見るべきだと説明している。
理由は分かる。
Developer PlatformやWorkersの成長は、初期には粗利率を押し下げる可能性がある。
free trafficからpaid trafficへの移行でも、コスト配賦がsales & marketingからcost of revenueへ移るため、見かけ上のgross marginは下がる。
Pool of Funds契約では、収益認識と消費のタイミングがずれる。
しかし、投資家としては、ここを簡単に許容してはいけない。
なぜなら、Cloudflareの高いバリュエーションは、高成長だけでなく、将来的な高FCF marginも織り込んでいるからだ。
もしDeveloper PlatformやAct 4が伸びても、粗利率が戻らず、設備投資やネットワークコストが増え続けるなら、今のバリュエーションは正当化しにくい。
逆に、gross marginが70%台前半で安定し、sales & marketingやG&Aの効率化によってoperating marginとFCF marginが上がるなら、会社の説明は正しい。
ここは次回以降の最重要ポイントである。
売上成長だけでは足りない。
Cloudflareは、AI時代のインターネットOSになるだけではなく、それを高いunit economicsで収益化する必要がある。
■ 人員削減をどう見るか
Q2で従業員数は5,483人から4,700人へ減少した。
Cloudflareは、AI-first operating modelへの移行として約20%の人員削減を実施した。
これは難しい論点である。
一方では、AIで社内業務を自動化し、組織を軽くし、より速くするという説明は筋が通っている。
Cloudflare OSを社内で使い、営業、開発、サポート、G&Aの生産性を高める。
AIによって、同じ売上成長でも必要な人員を抑えられる。
これが本当なら、Cloudflareのoperating leverageは一段強くなる。
しかし、もう一方で、人員削減は常に実行リスクを伴う。
優秀な人材が流出する可能性がある。
組織文化が傷つく可能性がある。
顧客サポートや開発スピードに悪影響が出る可能性もある。
特にCloudflareは、技術革新と営業変革を同時に進めている。
ここで組織を急激に変えることが、本当にプラスだけで終わるかはまだ分からない。
したがって、今回の人員削減は、単純なコストカットとして評価するのではなく、次のように見る。
本当にAI-first operating modelによって、売上成長率を維持しながら、営業利益率とFCF marginが上がるのか。
それとも、一時的にnon-GAAP利益を支えるだけで、成長力に傷がつくのか。
ここは2026年後半の確認事項である。
■ Pool of Fundsは、Cloudflareのプラットフォーム化を示す
Cloudflareの大企業案件で重要なのがPool of Fundsである。
これは、顧客がCloudflareの複数製品を将来的に使う前提で、一定の利用枠を契約する仕組みである。
単一製品の契約ではない。
Cloudflareプラットフォームへの包括契約に近い。
ここが重要である。
Pool of Fundsが増えるほど、Cloudflareは「この機能だけを売る会社」ではなく、「必要に応じて複数機能を消費するプラットフォーム」になっていく。
ただし、会計上は少し分かりにくくなる。
顧客が大きな契約を結んでも、利用タイミングや単価の変化によって、短期的な売上認識にはズレが出る。
CFOもQ4時点で、Pool of FundsはQ4のACVの約20%、2025年通年ではmid-teensだったと説明している。そして、Pool of Fundsの比率が上がるほど変動性が高まり、Q4が大きくなりQ1が小さくなる可能性があると述べている。
これは投資家にとっては見にくい。
しかし、構造的には悪くない。
顧客がCloudflareの将来製品も使う前提で契約しているということだからだ。
むしろ、Cloudflareのモートが広がるほど、Pool of Fundsは増えやすい。
WAFだけ。
Zero Trustだけ。
Workersだけ。
こういう契約ではなく、Cloudflare全体を使う契約になる。
ここにプラットフォーム化の証拠がある。
■ バリュエーションは高い。高すぎると言っていい
ここからは冷静に見る。
Cloudflareは高い。
決算後の時間外価格を仮に$328前後、希薄化後株式数を会社ガイダンス前提の約374M株として見ると、時価総額は約$123Bになる。
FY2026売上ガイダンス中央値は約$2.867Bである。
したがって、時間外ベースのP/Sは約43倍である。
これは高い。
かなり高い。
普通のSaaS企業なら、まず買えない。
では、会社側の長期目標で見ればどうか。
Investor DayでCloudflareは、2028年前に$5B annualized revenue run-rateを超えるペースにあると説明し、長期的にはoperating margin 30%+、FCF margin 30%〜35%を目標として示している。
仮に売上$5B、FCF margin 30%〜35%とすると、FCFは$1.5B〜$1.75Bになる。
現在の時価総額$123B前後で見ると、将来FCF倍率は約70倍〜80倍である。
つまり、会社側が提示する強い長期モデルを使っても、今の株価はまだ高い。
さらに逆算する。
仮に現在の時価総額$123Bで買い、5年で年率10%のリターンを求めるとする。
5年後に必要な時価総額は約$198Bになる。
5年後にFCF倍率35倍で評価されると仮定すると、必要FCFは約$5.7Bである。
FCF margin 32.5%なら、必要売上は約$17.5Bになる。
FY2026売上ガイダンス中央値$2.867Bから5年で$17.5Bへ到達するには、年率約44%成長が必要になる。
これは非常に厳しい。
不可能とは言わない。
しかし、相当強い条件である。
今のCloudflare株は、「成長企業として優れている」程度では足りない。
AI時代のインターネットOSになり、Act 4を立ち上げ、DNRを高く維持し、gross marginを安定させ、FCF marginを30%台へ持っていき、なお高い評価倍率を維持する必要がある。
ここまで要求している。
だから私は、Cloudflareを良い企業だと思う一方で、株としては非常に難しいと感じる。
安くない。
むしろ、明確に高い。
ただし、高いからダメと切り捨てるのものではない。
本当に不可逆モートが拡大している企業は、常に高く見える。
問題は、高いか安いかではない。
この高い価格に対して、5年後の利益プールが追いつくのか。
Cloudflareの投資判断は、そこに尽きる。
■ Future 40で見るCloudflare
私はFuture 40で、Cloudflareを39位に置いた。
今回の決算とInvestor Dayを踏まえると、Cloudflareは順位を上げる候補だと思う。
ただし、上位20に入れるにはまだ早い。
Future 40の四問で見る。
第一問。
5年後に、この企業は価値創造のボトルネックを握るか。
ここはかなり点灯している。
AIエージェントがWeb、API、社内システム、コンテンツ、開発者実行環境へアクセスする時代になるなら、Cloudflareの位置は非常に良い。
20%以上のインターネットがCloudflare上にあり、開発者基盤、セキュリティ、Bot Management、Zero Trust、AI Gateway、Workersを同じネットワーク上で持っている。
これはボトルネック候補である。
第二問。
未来の利益プールを、十分な割合で捕捉できるか。
ここはまだ未証明である。
Cloudflareをトラフィックが通るだけでは足りない。
Workersでエージェントの実行を取る。
Zero Trustで安全なAI利用を取る。
Bot Managementでアクセス制御を取る。
Act 4で課金・決済を取る。
ここまで進んで初めて、利益プールを捕捉できる。
現時点では、Act 1、Act 2、Act 3は実証が進んでいる。
Act 4はまだこれからである。
第三問。
その利益は、他者へ漏れずに維持できる構造を持つか。
ここは半分点灯、半分未確認である。
Cloudflareのネットワーク規模、開発者基盤、セキュリティ製品群、中立性は強い。
しかし、Act 4ではAIモデル企業、ハイパースケーラー、決済企業、ステーブルコイン事業者、コンテンツ企業が絡む。
Cloudflareが中心に立てる可能性はあるが、利益の取り分がどこに落ちるかはまだ分からない。
第四問。
その防衛構造は、5年間さらに拡大するか。
これは強い。
AIエージェントが増えれば増えるほど、Webアクセス、APIアクセス、コード実行、認証、セキュリティ、課金の複雑性は増す。
その複雑性がCloudflareのネットワークへ流れ込むなら、モートは時間とともに深まる。
結論として、Cloudflareは不可逆モートの入口に立っている。
しかし、まだ完成した不可逆モートではない。
正確には、こうである。
Cloudflareは、AI時代のインターネットOS候補である。
ただし、現在はまだ「通過点」から「課金点」へ移行する途中にある。
この移行が成功すれば、Future 40内での位置は大きく上がる。
失敗すれば、高すぎるSaaS株として評価修正される。
そして、今回の決算で「買えるようになった」のではない。
むしろ、企業価値の仮説は強まったが、株価もさらに遠くへ行った。
だからこそ、今後は焦って参加券を買う銘柄ではなく、バリュエーションと実証を見ながら、どこで本気のサイズを入れられるかを考える銘柄である。
Cloudflareは見送りではない。
監視を強める。
ただし、今の価格では、私はかなり慎重に見る。
■ 次回チェックポイント
・売上成長率がQ3ガイダンス通り、またはそれ以上で推移するか。
・DNRが120%以上を維持できるか。
・Large Customersの増加率が25%超を維持できるか。
・$1M超、$5M超顧客の増加が続くか。
・non-GAAP gross marginが73%台から75%方向へ戻るか。
・FCF marginがQ2の8%から再改善するか。
・人員削減後も開発スピードと営業力が落ちないか。
・Workers / Developer Platformの成長が全社売上にどれだけ反映されるか。
・Zero Trust / SASEがAI利用の制御層としてシェアを取れるか。
・AI Crawl Control、Monetization Gateway、cloudflare.pay、x402が実際の売上に転換されるか。
・Act 4が「物語」から「収益」へ変わる最初の証拠が出るか。
・現在の高すぎるバリュエーションに対して、5年後の利益プールが追いつく道筋が見えるか。
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